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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝ライブハウスはどう復活するか

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
9回目です。新型コロナウイルス感染症に大きな影響を受けてしまったライブハウス。以前のコラムでも、オンライン技術の進化とともに、オンラインを活用しながらリアルがどう工夫をしていくか…ライブハウスだけでなく、多くのイベントや居酒屋などリアルの空間のルールが変化していくというコラムを書きました。今回は、ライブハウスについて、5月・6月のニュースを拾いながら書いていきます。


■ エンターテインメント業界の打撃

厚生労働省が発表した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」では、感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の人が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請するとされており、アーティストのみなさんも安全確保を最優先に考慮した結果、様々なイベントやライブが中止・延期されてきました。徐々に再開の兆しが見えてきているものの、withコロナの環境においては、以前のような熱狂の場であることへの制限がかなり大きいのが現実です。
あるライブハウス店長は、ライブハウスの売上は軒並み前年度比9割以上減だと予測しています。6月・7月も公演中止が決まっています。ライブハウスに行く不安や、学校や会社から避けるような指示が出ているケースもありまだまだ課題満載です。アーティストももちろんだが、ライブハウスには、無理解や中傷などもあり、経営者も疲弊しています。残念ながら「あのライブハウスが…」という閉店ニュースも後を絶たないことをもどかしく思います。


■ 行政の方針

大阪府では6月の要請解除に向けてガイドラインが出されました。ライブハウスについては、施設内は原則着席とし、できない場合は客どうしの距離を一定程度離すとともに、ステージと客席の間も一定程度離すか、アクリル板や、透明のカーテンなどで遮蔽することを求めています。6月に全国の自粛要請を解除した政府がまとめたガイドラインでは「出演者と客の間を2メートル空けること」、「店が狭く2メートルを確保できない場合は、フェイスシールドを着用する」、「客同士は1メートルのソーシャルディスタンス」などの内容が盛り込まれています。業界側もガイドラインを作っていて、小規模なライブハウスの団体「日本音楽会場協会」では、「演奏中、歌手の前には飛沫を遮断するものを設置して、ほかの演奏者はマスクを着用」、「観客が歌う行為は禁止」などのほかに、「握手会は自粛」とし、例外として、「すべての握手の間に手をアルコール消毒すれば実施できる」とする案などを検討しているとのことです。

まだまだ、心が揺れる、明日から頑張る気になれる、そんなリアルな体験ができるまでには。工夫や考え方を変える必要があります。そんな中で、いろいろなサポートも出てきていますので紹介します。


■ まずは今できること、オンラインライブのサポート

LINEが、チケット購入から事前通知による販売促進配信・配信・課金まで一元化した有料オンラインライブ「LINE LIVE-VIEWING」のサービスを開始しました。常に業績が向上し続けてきたライブビジネスですが、新型コロナウイルス感染症の流行により、ライブが相次いで中止・延期となっており、オンライン上での開催が余儀なくされています。もともと企業・アーティストもこの環境にならなくてもオンラインでのビジネスを推進してきましたが手探りも多く、新しいビジネスモデルは必要となっていました。それが急激に重要なツールとなってきています。この「LINE LIVE-VIEWING」は、チケット購入から事前通知による販売促進配信・配信・課金まで一元化、音楽ライブはもちろん、トークライブから握手会まで、様々なジャンルのイベントに対応しています。また、イベント当日の朝に「LINE公式アカウント」を通じてプッシュ通知を送ったりなど、LINEの各サービスと連携したプロモーションにより、ライブ視聴を促進・拡散することもめざしています。発表では6400万人へのアプローチ可能となっていますね。視聴者は、「ライブ配信中にアーティストの会話に参加したり、オリジナル応援アイテム(課金性)を送ったりすることができ、従来の一方的に映像を流すライブ配信では感じることが難しい「一体感」「非日常感」を体感することも魅力のようです。withコロナ・afterコロナという環境下でライブ配信の「新たな価値」を生み出す取り組みといえそうです。

応援アイテムを課金制で送る、つまり投げ銭のシステム。SHOWROOMなどが活用しているオンラインライブの手法ですね。インディーズでもなんとか頑張ろうとするニュースもありました。


■ 苦肉の策でも活動を止めない 無観客配信ライブ「投げ銭」でライブハウス救う

ライブハウスも飛沫を防ぐビニールを投入するなどなんとか策を練っています。あるキャバクラでは地上から巨大ホースで空気を投入し、フロアから空気を外に出すというようなニュースがありました。ライブハウスの解決すべき大きな壁は、換気かもしれません。吉祥寺のライブハウスのニュース。アーティストが、無観客・観覧無料でライブ配信を行い、画面からできる「投げ銭」による支援を呼び掛けました。目的はこの店舗の救済で、自分たちの表現の場を失いたくないという思いで実施したとのことです。
また、ライブハウスで長い間活動するアーティストが、「またライブハウスで」という応援ソングを、賛同するアーティスト32組と手掛け、この楽曲の動画をYouTubeで公開し、投げ銭を募ると、半月で約250万円が寄せられたとのこと。ライブに飢えているファンの方々は、オンラインでの好きなアーティストに触れていたいし、応援していたい。この時期にはオンラインが大事。でもライブの代わりになるにはまだまだハードルがある。新しい試みとともに、いかに安心に、しかし興奮しながら実施できるか、たくさんの事例を業界が共有しながらやっていきたいものです。アーティストによって、ライブによって、あきらめた人生や日常の不安から立ち直った人たち、明日からまたがんばろうと思った人たちがたくさんいるのですから。


■ BASEとユニバーサルミュージックがアーティストのネットショップ開設・運営支援を開始

最近、ネットショップが開けるというBASEのTVCMをよく見かけます。そのBASEがユニバーサルと組んで 「ARTIST BASE」にて、アーティストショップの開設・運営機能をサポートするサービスを始めました。私もローソンのLoppiでアーティストグッズを取り扱っていたこともあるのですが、そんな簡単に爆発的な販売力にはなりません。ほしいものを創るのと同時に、いかに知らしめるかも大事で、さらに事務所にとっては在庫管理とか物流管理とか顧客管理が大変です。ファンとのコミュニケーション、情報発信、グッズののクオリティなどがサポートされるものです。
アーティストはプロフィールを登録すると「ARTIST BASE」内に公式ページが開設されます。公式ページでは、各種SNSとの連携機能、アーティストショップの開設・運営機能、ファンの応援を可視化するハート機能、オーディション企画参加機能が利用できると発表されています。イベント中止によってグッズが販売できなくなったアーティストの負担軽減や、無観客ライブやオンライン配信ライブを行うアーティストのグッズ販売をサポートできるとしており、この事態だからだけではなく、そもそも課題になっている業務が楽になったり、販売が増えたりできるとよいサポートになりますね。


■ 地域で立ち上がる

北海道のエンタテインメント事業の存続支援活動を行う北海道ライブ・エンタテインメント連絡協議会が「北海道STAGE AID」プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは「地域に根ざしたライブエンタテインメントの火を消さないこと」を目標に掲げています。サポーターには五十嵐浩晃、大黒摩季、GLAY、サカナクション、鈴井貴之、TEAM NACS、タカアンドトシ、DAISHI DANCE、初音ミク、ヤマザキマリといった北海道にゆかりのある表現者やキャラクターたちが名を連ねています。東京に、日本に、世界に…と飛び立っていくアーティストが、自分を育ててくれたところのために立ち上がる。ステキなことですね。私が、ローソンのエンターテインメントを統括しているころ、また、ローソンチケットの社長をしているころ、大変お世話になったのがロックフェス「RISING SUN」を主催するイベントのWESSさん、大泉洋さんを擁するTEAM NACKSをマネジメントするクリエイティブオフィスキューさん、初音ミクを世界に出したクリプトン・フューチャー・メディアさんなど北海道の経営者たちの結束力はいつも高いなあと思います。
北海道のふるさと納税を活用した支援策の検討や、クラウドファンディングプロジェクト「LIVE HOUSE AID IN HOKKAIDO」の実施を予定しており、クラウドファンディングは3000万円を目標にし、リターンにはTシャツやサンクスメールを用意しているそうです。北海道はエンターテインメント支援についてもいち早く行政を組んでいます。行政も巻き込んで各地域に広がるといいですね。

大変な事態が続きますが、ツールの活用、ナレッジの共有など前向きに、そしてエンターテインメントがたくさんの人の心を救うことを信じて頑張っていきましょう。

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