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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝メイクスマイルアーティスト・ミワンダフルのターゲティング

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
10回目です。私がマネジメントに関わっている不思議なアーティストがいます。ミワンダフルという世間的に言うとメイクアップアーティストですが、メイクスマイルにこだわっていてメイクスマイルアーティストという肩書を大事にしています。他にはない活動をしていますので、そのことを書きながらアーティストのターゲティングについて書いていきます。


■ ミワンダフルのスタート

札幌で生まれ育った彼女は少し引きこもりがちの子だったようです。そして周囲の人と同じことをしなければならないことが苦手だったようです。うまくいかない少女時代を経て社会に出るわけですが、一般社会人もそんなにはうまくいかず、悶々とする中、メイクという外見どころか心まで変身できるツールの世界が自分の生きる道ではないかと感じ始めます。どうやったら自分に合ったメイクができるのか、デパートの1階のコスメ売り場に行くと高い化粧品を買わされてしまうのではないか、などと不安を持っている中高生たち、そしてそのまま大人になった人たちがたくさんいることに気がつきます。デパートが怖いのであればどうしたらいいか? 知り合いに協力をしてもらって屋台を作り、屋台を引いて街中の人たちに「500円でメイク教えます」とはじめます。残念ながらその行動は警察のお咎めにあってしまうのですが、そのときの自信のない子たちがみるみる笑顔になっていくのが鮮明な体験になったようです。この子たちのことを「ひっそり女子」と呼びます。実は、同世代の中でけっして少ない比率の方々ではありません。表に出てこないだけです。彼女は、この子たちをターゲットに活動出来たら、たくさんの笑顔に会えるという希望を持ちました。


■ ミワンダフルの行動力

自分の生きがいになるかもしれないものを見つけた彼女は、タレントのメイクアップの仕事を受けることなく、マチを歩いているひっそり女子をメイクスマイルするために動き出します。人が入るくらいな巨大なピンクの写真フレームのようなオブジェをクリエイター仲間に作ってもらい全国を回り始めます。地元のスポンサー、銀行借り入れなどわずかな資金で、何の保証もない状態で歩き始めました。どこに行ってもひっそり女子が寄ってきて笑顔になって帰っていきます。1人1人のカスタマーの笑顔が心の中に積み上げられていきます。中には障害を持った方や外国人の方などもいるのですが、やはり笑顔になって帰っていきます。お子様はきれいになって有頂天です。ここからが彼女のすごいところ。「海外の方だって切れになって喜ぶのは同じはず」モンゴル、ミャンマー、タイ、ロサンゼルス…と次々になんとかぎりぎりの活動費だけ集めて出かけていきます。言葉が通じなくてもことごとくみんな笑顔のツアーになりました。


■ ミワンダフルとの出会い

あるリクルートの後輩から面白い子がいるから会ってほしいと言われ面談しました。なによりも幸せにしたいターゲットがしっかりしていることが気に入りいろいろ手伝い始めます。まずこれまでの活動の面白さを伝えようと、当時の取引先であった主婦の友社の前田取締役に相談して出版が即決します。そしてこれまでの様子の動画がいっぱいありましたのでDVDを出そうと古巣のHMVを擁するローソンエンターテインメントの坂本社長(リクルートの先輩で、私が社長をやったときに会長で招へいした方です)を訪ねDVD発売を即決していただきました。また両社がそのメイクスマイルツアーをサポートしてくれて行脚することもできました。私からは、「ひっそり女子を笑顔にする」ということをやめない限り応援するということで今に至っています。そして、なんとあのアミューズを創成期から支えた越中さんが加わりおじさんに支えられながら新しい発想を展開していきます。


■ メイクスマイルレストラン

DVDでは挿入音楽についても北海道の仲間と本人が作り本人が歌うという仕様で行いました。ではライブはどうするか? いつもは並んでもらって1人1人約5分でポイントレクチャーをしながらメイクしています。一度に500人を迎えるのであればどうするか。その答えがメイクレストランです。500人にホテルのパーティーのように円卓にたくさんのサーバーさんがお皿に乗ったメイクツールをコース料理のように少しずつ運びます。それを使って全員がミワンダフルを見ながら真似をして自分でやってみます。悩んでいるこのところにはミワンダフルがやってきてアドバイスします。時には音楽に合わせながら(歌詞もメイクの手順になっています)指導していきます。まさにメイクレストランです。終盤には、これもまたご紹介したサンリオの鈴木さんの計らいでキティちゃんが登場して盛り上げてくれてSHOWが終了しました。イケイケ女子の姿は見えずたくさんのひっそり女子の笑顔に包まれました。


■ 高校生も興味津々

私は、英理女子学院高等学校で週1回のマーケティング講師としてマーケティングを教えています。ここ数年は3月の一番最後の授業にご褒美としてミワンダフルに来てもらって、生き様とファーストメイクの授業をしてもらっています。私の授業の後に生徒たちが質問で殺到するなどのことはないのですが、彼女の授業の後は、次の先生がホームルームなのでと呼びに来るまで帰りません。彼女たちの気持ちが手に取るようにわかるのでしょうね。メイクスマイルを貫いてきたことがさらにメイクスマイルを発展させています。1人でも多くのカスタマーに会いたいという純粋な思いがたくさんのファンを作り、たくさんのサポーターを作っているのだと思います。


■ どんな誰をどうやって幸せにしたいか

今回ミワンダフルを取り上げた理由は、前述してきた「ひっそり女子」は、きっかけがないとなかなか行動に出られないのでそういうきっかけになりたいということが明確であることを伝えたいからです。私も「なんか応援したい」ではなくて、「彼女のこのコンセプトを応援したいので誰とつなごう」などと思いついていきます。スポンサーってありがたいのですがある種、お金なんですね。コンセプト作りや展開の応援とセットで獲得していくには、ターゲットを幸せにするストーリーが必要なのではないかと思います。ターゲットを語るときに、「1人でも多くの方に」とか、「どんな人でもターゲット」というのもわかりますが、マーケティングという観点からは、「特にどんな人を何をすることで幸せにするのか」ということも意識してみるとよいのではないでしょうか。


ミワンダフルの詳細はこちら。
ミワンダフル・オフィシャルサイト

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