Logo Mark連載記事

Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝身近のオンライン化とアフターデジタル

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

続きを読む

野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
11回目です。新型コロナ感染症の蔓延に伴い、リモートワークによるオンライン活用が大きく増えたことは説明がいらないと思います。TVで見ている情報ではなくて身近に起こったことを振り返りながら考えてみましょう。


■ 新入生や新人社員が一度も登校・出社せずに数か月過ごしている

私は週1回英理女子学院高等学校というところでマーケティングを教えています。毎年1年生に「ステキをストーリーで創る」「誰はなぜ幸せになるのかをいつも考える」「心を揺らすことがマーケティング」という授業です。楽しみな4月の新入生を迎えるところだったのですが、登校自粛となりました。学校も混乱し、ベテラン先生方もオンラインを使っていつもの授業をしなければならなくなりました。プリントを配って宿題にするとか、動画を作って家で見ておいてもらうというのが精一杯のスタートのようでした。私は教師ではなくて講師なので4月、5月はお休みとなりました。教師の方々も自分の授業のことで精一杯ですし、国や県の指示も状況に応じて変わっていきますので仕方がなかったかと思います。6月に入り私のパートもオンライン授業が始まりました。私のスタイルは、講義→グループディスカッション→発表の繰り返しです。最初のネックは、グループディスカッションをするに際し、生徒が誰も顔を合わせたことがないということでした。グループディスカッションスタート!というとみんな黙っている…。それでもマーケティングに興味がある人がグループには1人くらいいて…そうするとほとんどその人の意見に収斂されていく。それでもなんとか面白い発表につなげていきます。もう一つは、オンライン環境がそれぞれの家庭で違うということです。WiFiのあるなし、パソコンのあるなし、ケータイの種類、個室があるかどうか…など。社会人の自宅ワークも娘の授業を優先してお父さんがベランダで会議に出ているなんてこともありました。ZOOMのブレイクアウト機能はよかったと思いますが、使いこなしの情報収集はいろいろしないといけませんでしたね。リアルの授業が始まり、例年よりも進展が遅れてしまっていることは明白で、2学期に楽しく挽回するつもりです。
また、企業での事例です。ある企業でマーケティングの研修をしました。先輩社員がいて新入社員がいます。先輩たちも配属された新人の顔を見るのが画面で初めてです。2時間は、とことんカスタマーを観察することに、デジタルのツールを使っていけば顔が浮かんできてアイデアがどんどん出てくるという研修。そのあと2時間がグループディスカッション。さきほどの学校とは違って先輩社員がいます。ディスカッションで新人をリードしてくれました。新人からは「他の会社の同期たちは課題が出て黙々とやっているだけのようなので、うちの会社はこういうコミュニケーションがあるから幸せ」というコメントがありました。先輩からは「新人の考え方とか興味とかがわかったのでありがたい機会であった」などの感想がありました。企業の考え方や、ITリテラシーのある担当者がいるいないなどで、こういったオンライン研修での効果に差がつくなあとも思った次第です。


■ オンラインでのフィットネス体験

コロナ禍において、ライブハウスやフィットネスジムは、クラスターが発生したこともあってかなり危険というレッテルを貼られてしまいました。トレーナーやヨガインストラクターと呼ばれる方々は、企業の業務委託とかフリーランスの形態で働く人が多いようです。人に来てもらえない彼らはいち早くオンラインでの発信に努めます。私はあまり運動をしないのですが、以前FiNCというヘルスケアのアプリケーションを開発している会社に勤務しているころの知り合いたちが頑張っているので、オンラインエクセサイズに参加してみました。顔のわかる人たちが小さく分割された画面の中でエクセサイズをし、全員笑顔で、子供も参加して、最後は記念撮影をする。とくに家で自粛しているので、わざわざ体を動かす理由をいただいた感じでした。講師も見え方とか、声のかけ方とか、だんだん機能の使いこなし方がアップしていきます。非常に活性化したジャンルでした。


■ オンライン飲み会

私は、家にいるのにここまではしたくない派で、あまり参加していませんでした。ある飲食店の救済策でZOOM飲み会を店が開き、PayPayで感謝の分だけ支払うという連続企画があり、そこのゲストスピーカーということで参加しました。しゃべるのは得意なので苦労はないのですが大きな発見がありました。そのオンライン飲み会に、メキシコとか苫小牧とかいろいろな場所から人が参加したことです。東京の飲食店。東京にいる人と東京に来た人が集う場所です。それがオンラインになることで昔の常連とかSNSで見ていて行ってみたかった人などがテーマ次第で入ってこれるということは今後の大きなヒントとなりました。世間では、リモートで演奏するバンド、TVのバラエティもリモート参加、オンライン講演は大きく数を増やしました。TV番組には多くの人がかかわって最高のクオリティを求めてめちゃくちゃ時間をかけちょっとした放映されないくらいが常識であったのですが、オンラインで作りが甘くても成立してしまうことが露呈してしまいました。会社の取締役会議もしゃべる遠慮さえ取り除ければ多くの社外取締役がわざわざ1か所に集まらなくても十分に成立してしまうことも明らかになりました。あとはクリエイティブな議論、新しいものを創造する議論などができるようになればやはり生活様式は変わっていくことになるでしょう。


■ 日本はIT化や国際判断が遅れているとよく言われるようになりました

台湾のIT大臣と、「USBは穴に指すやつ」という日本のIT大臣を比較するだけでも一目瞭然ですが、やはり国の施策と民間の活用がつながっている国と、日本のように国は国、民間は民間という国ではスピードの差がどんどん広がっていくことになります。エンターテインメントではそういった差があまり起こっていないと思いますが、マーケティングの世界はこの部分が課題となってきます。カスタマーをよくよく見て施策を出していこう、そのときにデジタルを使うと効果的である、という次元ではなくて、ほとんどデジタルの中で行動しているからこそリアルをどう活用するかという考え方へのシフトが遅いのでここを課題とするべきという意見が増えてきています。アフターデジタルと呼ぶようです。コロナ禍でのアーティスト活動も、ライブができないからオンラインで、とか、配信で、ではなく「心を揺らす活動」を追求し、1つの大きな感動の場としてライブのやり方を考えるくらいの考え方をいったんしてみたほうが良い気がしています。配信とインターネットを収益の基軸にしたブシロード傘下の新日本プロレスがようやく試合を復活し、エースの棚橋選手が言った「観客がいてはじめて自分たちが成立しているんだな」と泣きながらインタビューに答えたということも、もちろん追記しておきます。
変えるところと、変えてはいけないところ。たまにはそんな整理をしてみましょう。

この記事への感想はこちらへどうぞ

この記事への感想を送る


野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

続きを読む