2020/09/04
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
14回目のコラムです。株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長兼社長(CEO)の澤田英雄さんが創設された澤田経営道場にて、ランチを含めて6時間たっぷりと道場生にカスタマーを知るとアイデアが沸き、ストーリーが見えてくるという講演をしてきました。みなさんがライブや展示会などを行うのと同様に、私にとっては講演がライブであり、今回は、6時間というありえないと思われる提案をしたことについて書いてみます。とくに後半にご注目ください。
新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、とりわけ苦境に立たされている旅行業界ですが、澤田さんの経営方針やアイデアが必ずや打開されていくものと思います。私が、リクルート時代「アントレ」という起業家を目指す人向けの雑誌が創刊されました。1997年です。2019年に廃刊となるまで22年間多くの人を応援し続けました。初期のアントレでは、アントレプレナーを目指す若者がプランをぶつける相手として、ブックオフの坂本社長、TSUTAYAの増田社長、H.I.Sの澤田社長らに受けていただいて夢をつかむ支援をしていただいておりました。そんなご縁で私もリクルート在籍中にブックオフに出向させていただいてベンチャーを体験したのでした。さらに私が株式会社レッグスに在籍していた時は、レッグスの内川社長が澤田社長と経営の話を深くする仲で、レッグスでも澤田社長の講演のビデオなどを見ながら理念研修を受けていました。ハウステンボスの救済に乗り出されたときは、そしてそのあとの改革の数々を密につけ、やっぱり器が違うなと思ったものです。
澤田経営道場は、これからの世界競争の時代に向けて人材の育成がますます必要になってくる中、プロの指導者を育てるために設立されたものです。世界で戦える人材に必要なのは何といってもやる気と素質。経験は乏しくとも有望な若い人を集め、2年間かけて、座学と実践の両面から徹底的に鍛え、1人でも多く、世界で戦える人材が育つ場にしようという思いで創られました。道場生は、今までの仕事をやめて、兼業もせず、経営の知識の習得や、実際に経営を体験することを通じて成長していきます。なんらかの覚悟がないと踏み込めない世界です。
当たり前のことかもしれませんが、経営=マーケティング、つまり「この会社は、誰を幸せにするために、何をやるのか」ということを考え実践するという意味では、私がやりたいことにぴったりでした。
スタートしてから数か月は、たくさんの講師を迎えて座学が続きます。その後、ハウステンボスなどはもちろんのこと、いろいろな企業や官の仕事などを体験していき、2年間でマスターする取り組みです。私も4年ほど呼んでいただいているので、政治や経済の世界に果敢に挑んでいる道場生たちを応援しています。
私は高校生にもマーケティングを教えています。始業式もなく、オンラインでの授業となり、仲良くなる機会がないまま進んだ一学期。新社会人も同様に自宅で研修を受け続ける毎日。澤田経営道場の道場生も、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、スタートが遅れたり、脱落者が出たりしたということでしたが、残っている夢のある若者たちはとても元気でした。私の登壇も例年よりも遅い時期となりました。そのため逆に、道場生も自分のやりたい未来を考え始めたところでの「誰をどうやって幸せにし、さらに継続することができるのか」という役割として登壇できたのかなと思います。
当日は、私がやっている2つの講演をカスタマイズしました。
★とことん観察マーケティング
事例をベースに、長いヒット、深いヒットは、カスタマーをよく知り、よく聞き、よく観察して、それをベースに、上司の指示を鵜呑みにすることや、原価が上がらないように最初から調整してしまうことをせずに、カスタマーが幸せになるための軸をブラさないで進めることが大事という内容の講義です。
★クライアントのカスタマーを知る
よく「うちはクライアント企業への納品なのでカスタマーマーケティングはなかなかはまらないのです」という間違った意見を聞くことがありますが、クライアントには言ったとおりに納品しろといわれているだけかもしれませんが、クライアントの先にはカスタマーがいます。また、クライアントがカスタマーを理解している保証はありません。むしろ、ここが問題となっているケースの方が多いのです。なので、クライアントのカスタマーをよく知る我々が、クライアントと一緒になってカスタマーを幸せにしていくこと、それを目指しませんかという講義です
最近実践しながら思っていたことは、本当に腑に落とすにはある程度の時間がかかる。興味深かったではなく、本質がわかったと言わせないといけないのです。研修依頼者の希望に応じて、30分コース、60分コース、90分コースなどが指定されますので、それに応じて事例の数などを対応しています。研修依頼者は、90分以上は聞き手が飽きてしまってもたないと考えています。ところが、私の講演で、どんな時間でも、どんなに長くても「短かった、あっという間だった」と言われます。事例が面白いこと、その事例が私が経験したことであるため裏話も多く、それが「自分はどう動いたらよいか」と思えることなどがあげられます。私の話をメモするのではなく、刺激を受けて自分の明日からの行動に置き換えることを目的としているからです。今回、2時間、1時間、1時間半と3つに分けて、さらにランチもみんなでご一緒してみて、腑に落ち方が本当に違うとわかりました。道場生全員があきらかに紅潮した顔になっていました。
今回のレポートで言いたいことは、「人は長く集中することはできない」のではなくて、「自分の講義が、集中できる話になっていなかったり、活性化できるアイデアが生かされていなかったりする」ことなのです。もっとライブを長くすればいいということではなくて、時間なのか、休憩なのか、席の配置なのか、曲順なのか、プレミアムグッズなのか、アンコール数なのか、オンライン交流なのか、バックステージでの面会なのか…「だいたいこうすることになっている」というルールを、「どうすれば今までよりも喜んでくれるのか、有頂天になってくれるのか」という考え方にして提案してみることがステキを後押しするのではないかと感じたことです。いろいろな場面で、既存ルールや思い込みが改革を生まない、新しい創造を生まないようになっていないか、チェックしてみましょう。
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
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