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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝ポイントサービス〜同じコンテンツのサービスの優劣を見る

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
15回目のコラムです。今回は、生活の必需品となったポイントカードについて、私がよく使う2枚のカードについて気になったことがありましたのでレポートします。あまりアートに関係ないように思えますが、ファン作り、つながり創り、あきられない発信の参考になればと思います。


■ 拡大するdポイント

私がローソン時代にPONTAポイントを開発しているころは、Tポイントの提携が終了し、いよいよPONTAポイント1本で行こうとしていました。現在は、株主でもあったNTTドコモの希望もあり、PONTAポイントかdポイントのどちらかを選択できることになっています。当時は、1つに絞りその効果を高めることが大事でしたが、現在では、カスタマーが使いたい方を選べるかどうかが重要とされています。以前のdポイントはドコモショップを利用したり、回線を利用したりするときにポイントが加算され、それをケータイ端末や周辺機器を購入する際に利用できる程度のものでした。転機は、ローソンとマクドナルドで使えるようになってからかと思っています。充電以外でケータイショップに行く機会は月に1回もないかもしれません。つまりポイントには不向きな状態です。それに比べると、コンビニエンスストアやファーストフード店にはいく機会が非常に多い。一般的な行動の中に入ることのできたdポイントは一気にかわいいアイテムに変わりました。今では、ローソン、マクドナルドの他にも、すき屋、ミスタードーナツ、モスバーガー、サンマルク、ドトール、かっぱ寿司、すかいらーくグループのレストラン、ビッグエコー、丸善など非常の多くの提携が結ばれています。以前はTポイントの独壇場であった立場がdポイントに取って代わられている感じがします。すごいなと思ったのは、ローソンがTポイントとの提携が終了したことにより、Tポイントと提携したファミリーマートが、Tポイントと並行でdポイントとの提携も始めたことです。ドトールも最近、Tポイントからdポイントに変更となりました。共有ポイントとしては健全な成長をしていると言えます。


■ ローソンのポイントから共通ポイントに成長したPONTAポイント

前述のとおり、私がローソン時代にはまずマイローソンポイントというハウスポイントをスタートさせました。その後、親会社が三菱商事ということもあり、出資先を中心とした共通ポイント構想が持ち上がりました。共通ポイントにおけるコンビニエンスストアは大きなメリットがあります。来店頻度がそんなに高くない企業における共通ポイントの役割は、競合に勝つ集客ツールになることです。どうせならPONTAポイントの付与されるほうを選ぼうということです。そしてコンビニエンスストアのメリットは、多くの提携店で付与されたポイントの使い先がコンビニエンスストアになるということです。ポイントを付与すると共通ポイント会社に手数料をのせて支払いをします。自店舗でポイント使用されると手数料を除く部分が還元されてきます。通常のカスタマーは、貯まったポイントをコンビニエンスストアで便利に使います。なので事実上のLポイントに近い状態になります。かなり多くの還元があります。また、リクルートポイントとの合体が行われました。2社とも私の出身企業なのでいろいろ相談も受けました。PONTAポイントは、ローソンをはじめとして、リクルート各種ネットサービス、シェル、GEO、ケンタッキーフライドチキン、ルートインホテルズ、すき屋、AOKIなどと提携しています。Tポイント、dポイントとの違いは、ファーストフード、ファミリーレストラン系との提携が弱いことです。


■ 両ポイントのアンケート企画

私は、関係したということで、この2つのポイントはなるべく活用しています。ポイント会社は、たくさんのサービスを展開しており、それがポイントを貯める、ポイントを使うことを武器に多くのユーザーをリテンションさせようとしていると同時に、新サービスの立ち上げ・成長に活用しています。購入するとポイントが貯まるのは当たり前ですが、アンケートに答えてポイントが貯まるという企画があります。これはユーザーにとってはとてもうれしい企画です。少しずつしか貯まりませんが、出費ゼロでこつこつ貯まっていく楽しみがあります。アンケートで付与するポイントは、ポイント会社が、広告料と合わせてアンケートを依頼する企業から受注します。あとは有効なアンケートが多かったり、継続的にフィードバックできることが大事になります。

今回は、この2つのポイントのアンケート企画について気になったことがありましたのでレポートします。アンケートが企画されると、事前スクリーニングされた情報をもとにDMでお知らせが来ます。数ポイントのこともあれば100ポイントほどの大きな企画もあります。基本的には質問数と連動していると思われます。dポイントは提携企業も多いと同時に、アンケートを受注している企業も多いと思われます。したがってアンケートが頻繁にDMされてきます。こつこつ答えてポイントを獲得し、ローソン、ファミリーマート、マクドナルドで営業の途中でポイントでコーヒーを飲むなどの使い方が楽しいです。アンケート企画が多いので貯まりやすいのと同時に、わりと5分くらいかけて答えるけれどポイントが高いものもあり張り切ってしまいます。当然、回線利用の感謝ポイントとかゲームとかいろいろ貯まっていきます。それと比較してみるとPONTAポイントのアンケート企画は、わりと1ポイント(つまり1円です)というものが多く、また少し高めのアンケート企画がDMが来てからアクセスすると、もう終了しましたというコメントがかなり多いです。ポイントが低い、アンケートが気がつくと終わっている…。2社のマーケティング担当の方にとってはとても小さいことのように思われるかと思いますが、これをユーザーが認識すると、PONTAポイントのアンケートの方は「もういいや」となっていきます。CRMから離脱するわけですね。ファンづくり、営業体制など実はポイント戦略の基本的なスタンスが細かいところから見えてきます。もっと簡単に言うと、ユーザーを大事にしているのか、お小遣い稼ぎのような感覚で運営しているのかの差のように見えてしまうということです。

よく研修でお呼びいただく企業の方々には、自分の企業、クライアントの大きな戦略だけでなく、小さな戦術を実際に体験してみて、そこから企業の課題を見つけることにより改善プランが提示でき、信頼されるマーケティングパートナーになりましょうと言っています。ライブハウスに来てくれる、友達を誘ってきてくれる、SNSで拡散してくれる、ファンクラブに入ってくれる、配信を見てくれる、チャンネル登録してくれる、タイアップの機会をつないでくれる…そのためには受け手の心が揺れているかどうか たまには確認してみるのもいいでしょう。

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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