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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝「神田明神」伝統文化とサブカルチャーによる神社の革新

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
23回目のコラムです。今回は、年初に神田明神のイベントなどを運営している会社から呼んでいただいて、伝統文化とサブカルチャーによる神社の革新についてご相談いただきましたので、それを記しました。


■ 神田明神創建1300年記念事業・神田明神文化交流館 「EDOCCO」2018年12月開業

神田明神は神田・日本橋・秋葉原・大手町・丸の内地区の氏神さまです。神田明神文化交流館 「EDOCCO」は2029年に、天平2年(730年)の創建より1300年を迎える記念事業として、ご神徳の高揚と共に伝統文化の継承と新たなる文化の発信を志して建設されました。神札授与所・御参拝受付・飲食店や土産物店・様々な使用方法が期待できる「神田明神ホール」・多様な伝統文化を体験できるスタジオ・屋上庭園を備えた貴賓室など、充実した施設となっています。
毎年、年初には多くの企業がこぞって訪れる商売繁盛の神社ではありますが、近年は、『ラブライブ!』や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』など人気アニメとのコラボでも知られ、そのユニークな取組みで世間の耳目を集めています。延期となってしまいましたが、東京五輪で外国人参拝者の激増が予想される中、「神田明神を日本の伝統文化の発信基地として育てていきたい」との思いから構想されたものです。総工費は45億円。宮司は、新しい時代に向けて生き残るために、伊勢神宮や明治神宮ではできないことに取り組んでいきたいとの思いから常に新しい文化を取り込み続けています。伝統的な文化はもちろんのこと、アイドルやアニメなども日本を代表する文化として発信の場とするスタンスがステキです。
コンセプトは、「伝統と革新」。今まで神社に興味がなかった層や訪日外国人観光客を呼び込むために、まさにマーケティングを導入しました。イベントと日本文化体験によって集客を図り、新たな文化が生まれる装置として文化交流館を活用することとなりました。伝統を守り続けるだけという発想から、伝統を活用しながら、新しい文化も取り入れて、新しい、そして永続的な神社の役割を進化させようとなったわけです。


■ 1階のカフェ「EDOCCO CAFÉ MASU MASU(江戸っ子・カフェ・マスマス)」

日本古来から計る道具として使われている升とマスマス商売繁昌・マスマス縁結びをかけて命名。日本文化をモチーフにする中にもキティちゃんとのコラボが壁一面に広がっています。2020年は、「ハローキティ」とのコラボメニューとして、カフェラテ、抹茶ラテ、苺ラテ、枡パフェも展開しています。また、神社声援「ジンジャーエール」は、合格祈願・平癒祈願・必勝祈願等の「お守り」をボトルの首に掛けて贈り物として使えるアイデア商品で、瓶を返却すると御縁玉(五円玉)が頂けます。コンセプトである「伝統と革新」が実践されています。
また、物販SHOP ‐IKIIKI‐でも、「伝統×革新」の視点から、雑貨・御神具・神社関連の書籍からアニメコラボ商品、神田神社ならではのオリジナルグッズや土産物までバラエティ豊富な商品を販売しています。日本のアニメは世界的に人気を集めていますが、鬼滅の刃にとどまらず日本古来の文化・伝統がストーリーに反映しているものも多く、サブカルチャーの活用は理解促進の良いツールでもあるようです。


■ 地下1階のスタジオ、2階・3階は神田明神ホール

地下1階のスタジオは日本文化の体験スペースとなっており、日本の精神文化や伝統芸能が楽しめるプログラムを提供しています。和楽器の演奏から着付け、利き酒、書道・茶道や盆栽に至るまで、日本文化を体感できる企画やワークショップを充実させていくということです。「EDOCCO」のホームページには、「伝統と革新」について、連綿と受け継がれてきた伝統の継承のみならず、多様な文化や価値観を受け入れ、新たな文化を創出する、神社神道や日本がもつ文化の活性化に寄与する場所です と記してあります。
定期開催イベントを覗いてみると、若手噺家による落語を楽しむ会、抹茶と和菓子を食べながら日本舞踊ショーを鑑賞したり、書道・折り紙・和装着付けなどのミニワークショップが体験できるEDOCCO茶屋、神社体験トライアルツアーなど体験物が目白押しです。平日夜には、アクションや殺陣など迫力満点のショーを鑑賞しながら、食事が楽しめる新感覚のエンターテインメントショーレストランも行われていました。観光ツアーもいろいろ企画されていて、「上野公園歴史散歩」として、徳川家将軍霊廟~寛永寺~上野公園噴水~五重塔~東照宮~清水観音堂~上野彰義隊墓所~西郷隆盛像~弁天堂~韻松亭にて昼食という歴史を深く知るものから、「メイドカフェも楽しむ サブカルの聖地を歩く 神田明神~秋葉原」として、ラブライブで登場したゆかりの場所を巡り、メイドカフェ「めいどりーみん」に行くというサブカルチャーを体験してみるものまであります。AKBをはじめとしたアイドルグループのショーや、アニメ映画の記者会見などさまざまな発信の場としても認識が広がってきました。学問的には、神道・神社の信仰とその歴史を先生から深く学んでいくセミナー、さらに商売繁盛の神社らしく、ビジネスで成功を収めている豪華講師陣による経営セミナーを開催していく予定とのことです。すごい経営者の中で恐縮なのですが、私も講師を打診されておりまして、実現すれば、「カスタマーをとことん観察する」ことで見えてくるカスタマーの笑顔=事業の成功について語り継いでいこうと思っています。


■ なぜサブカルチャーを取り入れるか

私は以前、株式会社鎌倉新書という「終活」のポータルサイトを運営する会社に在籍していました。日本人の宗教意識が大きく変わり、檀家制度は衰退し、墓じまい→永代供養簿という流れ、家族葬が一般的になるなど現実も変わってきています。神社も参拝者減少という深刻な状況に直面しています。神田明神はが、その現代人に継続的に来てもらうことを考え、IT情報安全守護のお守りを出したり、アニメとコラボしたりするのは、伝統文化を担う存在であると同時に、それらが現代文化そのものであるとの認識からの必然なのです。先鋭的に見えるかもしれませんが、自社の役割を、伝統と文化を守り発展させると思ったときに、その発展に正面から取り組んだといっても過言ではない気がしています。
仕掛け人は誰か? 私がローソンでエンターテインメントやマーケティングの責任者をしていた時に、株式会社サンリオでローソンを担当してくれていた鈴木基博さんという方がいます。サンリオ時代にも改革派として知られていました。時には全国地下アイドル300組を見て、楽屋でサンリオグッズをプレゼントしたり、あのサンリオくじなどの開発にも携わったり大活躍の方でした。境界線を持たない方で、どのキャラクターのライセンサーさんとも交流があります。サンリオを定年退職したあとは、私がいつも「ステキ、ステキ」を連呼することに触発されたということで「すてきカンパニー」を創業され大活躍です。私もずっと「ステキ民族」仲間として交流しています。この鈴木さんが、文化創造交流産業として、伝統文化の継承と次世代に繋がる多様性に富んだ文化を組成し、持続可能な社会創りに貢献する という経営理念を持つ株式会社CoCoRoの清原正光社長と合流し、伝統文化とサブカルチャーによってこのステキなプロジェクトとなりました。


業界のプロデューサーの業界内の発想ではなく、神田明神が神社の役割としての発想で踏み出した取り組みに興味が集まっています。ちょっとしたアイデアではなく、本当に芯のある取り組み。ぜひ見習っていきたい「ステキ創り」です。一度、見学されてはいかがでしょうか?

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