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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝高校の授業でジェンダー平等についてふれてみた

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
26回目のコラムです。今回は、今年度の高校1年生向けのマーケティングの授業の最終日にお話ししたジェンダー平等について記します。


■ 今年度の高校の授業はコロナ禍によって翻弄されながらの進行でした

みなさんも既知のとおり今年度の一年生は、どの年代の一年生もコロナ禍に翻弄されました。
私がマーケティングの授業をしている女子高校でも入学式がなく、仲良くなるきっかけの新春合宿のようなものもなく、オンライン授業でスタートしたものの、家庭のオンライン環境やツールもさまざまで参加できにくい方がいたりという状態でした。徐々にリアルでの登校が始まり、緊急事態宣言とともにまたオンラインに戻るなどなかなか一定の環境では授業を受けられない感じでした。
マーケティングの授業というのは、みんなでわいわいステキなアイデアを考えて発表するというスタイルですから、例年ですと「ディスカッション止め!発表です…はい、そこ静かに!!!」となるのですが、ディスカッションもソーシャルディスタンスでマスクはマストでやっていますので飛んでるアイデアというより、まとまってしまうことが多かったです。
「もうちょっと騒げ!」
と言いたくなるくらいでした。Withコロナでの授業はもっともっと工夫する必要がありますね。
3学期の途中から再度緊急事態宣言となり、またディスカッションが禁止になりました。(オンラインならZOOMでできるのですが)でも生徒にとっては仲間や先生と会話できる登校の方が楽しいとのこと。
最後の授業は、ディスカッションできなかったので全員が1分で発表するというスタイルにしました。そして時間が少し余るので、なにか心に残せるものはないかということで前述したジェンダー平等についてお話をしました。


■ 東京五輪パラリンピック大会組織委員会の森喜朗元会長の発言

東京五輪パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議会の発言が、国内外のメディアで取り上げられて、さまざまな批判の声が上がりました。ちょうど「起業の天才」というリクルートの創業者の江副浩正さんのことを書いた本を読んでいたところ1960年代の女性の就業率は数%。1986年に施行された雇用機会均等法から30年以上が過ぎ、現在は当たり前のことになってきました。
それでも「女は腰掛け」的な間違った考え方を変えられない方々が、本件しかり、スポーツ系の偉い人しかり、失言の嵐です。失言というより変われないみっともない姿を露呈しているということでしょうか。
年寄りがパワハラ・セクハラして失脚したニュースということですまさずに、女性が働くということ(女子高校ですから)の知識を持ってもらうようにしました。また、メディアの切り取りニュースが醜いので、全文読んでみることの大事さも付け加えました。


■ お母さん食堂とミスター・ドーナツ

高校生からの提案としてファミリーマートの「お母さん食堂」というネーミングは、ごはんを作るのはお母さんであるという印象になってしまうのはいかがなものかという話題があることに触れました。
気持ちもわかりますが、たくさんの人はお母さんの味のようなうれしさという認知をしています。ビジネスマンという言葉もいつしかビジネスパーソンになっています。男女の差別をすべてなくしていくという流れと、男女の良い特徴に尊敬の念を込めるという話は判断が大変難しいことですが、向き合ってもらうにはちょうど良いかと思います。
お母さん食堂の次にはミスター・ドーナツはどうなんだという議論が起こったようです。
コロナ禍では非正規雇用者の率は女性の方が高いのは事実で家計や生活が厳しくなっています。どれが正しいという結論ではなく、まずはそのネーミングやコンセプトに尊敬があるのかどうか、聞いた人がステキだと思うか というふうに見ていこうというまとめです。賛否両論ありますし、ダメな文化の引きずり度によって見る側・聞く側への感情も変わると思いますので、まずは自分でどう感じるかという意味では大事な時間になったと思います。


■ 月夜のからくりハウス

Spinartの私の2回目のコラムで紹介した東ちづるさんが主宰する「月夜のからくりハウス」。身体に障がいがある方々、発達障がいがある方々、それは個性であり、努力によって才能が開花している方々ばかりです。ほんとうにステキなショーをしてくれます。終演後の笑顔もステキです。
いまの日本には、生きづらさを抱えている人がたくさんいます。障害、病気、国籍…。“ちがう”ということがハンディになる現実があります。“ちがい”をハンディにするのではなく、 特性としてアドバンテージにできる、“ちがい”をおもしろがる社会がいい。すべての人がもっと自然に、もっと気楽に、もっと自由に暮らせる「まぜこぜ」の社会はきっと作れる。アートや音楽、映像、舞台を使って、楽しく居心地のよい空間をつくることで、まぜこぜの心地よさをPRしていく活動です。
学校の授業では、なかなか教えてくれません。
そのショーの様子を食い入るように見ている生徒。
さらにMISIAさんが一昨年の大晦日の紅白歌合戦の大トリでレインボーの旗の下でステキなパフォーマンスをされました。
LGBTの方々への理解促進の思いも込められています。
差別が起こってしまうのは、きちんと理解していないことによります。
医療従事者のお子様を幼稚園・保育園に来させないようにしたり、福島県から来た子に放射能の子などと言う愚かなこともまた理解不足による本能的な不安から起こっているように思います。
そんなことを伝えられる良い時間になったのかもしれません。


■ ミワンダフル

マーケティングコラムの10回目で紹介したメイクスマイルアーティストのミワンダフルにも授業に来てもらいました。
人と同じ方向を向けずに1人で屋台を引きながら道端でメイクをはじめた彼女。路上での「ひっそり女子」たちの勇気になりました。その勇気と自信を追求する活動を続けています。そんな彼女の生き様を感じてもらうと同時に、マスクをしたままかわいくなれるメイクを教えてもらえる時間となりました。
1年間やってきた私のどの授業よりも生徒が集中していました(泣)。
アシスタントには世間一般では女子の姿と言われるファッションや髪型をした方も参加してくれました。ステキな方でした。生徒も興味津々で楽しそうに話していました。

大人は刺激的なものに対して教育に向いているのかどうかが心配になりますが、生徒たちはステキな好奇心の方が強いですし、たくさんの情報も整理できているように思います。TVやYoutubeに登場するタレントの方々やアニメの影響も大きいのでしょうね。
コンビニやリサイクルなどの授業もしてきました。SDGsが生徒の心にきちんとはいりこんでいくとよいなあと再認識した次第です。
みなさんの心を揺らす活動を楽しみにしてます。

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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