[ Spinart(スピナート) ] - あらゆる表現者・アーティストと出逢えるサイト

Logo Mark連載記事

Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝発行40年を超えたBURRN!について最近感じたこと

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

続きを読む

野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
29回目のコラムです。私の興味は、プロレス、ヘヴィメタル、モータースポーツに偏っており、定期的に購読している雑誌も「週刊プロレス」と「BURRN!」になります(笑)。THE WORLD HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINEを標榜するBURRN!誌について、最近のトーンが気になりましたので、今回はそれを書いてみましょう。


■ 趣味の専門誌を買う気持ち

月刊誌っていうのは、ファッション誌などもありますが、マニアックなものも多いですね。「月刊にしきごい」とか、「月刊近代盆栽」とか、「キルトジャパン」とか、「チューニングカー」とか、狭いマニアックなものに興味津々です。
総合誌や情報誌は、インターネットが発展する中で機能を終了していっており、私が出身のリクルートもほとんどのジャンルが紙メディアからネットメディアに変わっていきました。そんな中で残っているのが結婚式場などを探す雑誌「ゼクシィ」です。なぜ残っているか…。ステキな結婚式、検索だけではなくて雑誌を広げて、チャペルやリングなどを夢を見ながら探すものだからですね。これも専門誌といえば専門誌ですね。
私の「週刊プロレス」や「BURRN!」を買う心境…。「読みたくて待ち遠しい」という感覚よりも、「プロレスやヘヴィメタルを愛しているのに買わないなんてありえない」という感じです。
550円くらいであった「BURRN!」も今は820円です。けっこう高い…。でも裏切ることはできない(笑)。そのため定期購読を申し込んでしまいました。愛している証のようなものでしょうか。
昔は全ページむさぼるように読んで情報収集しCDを買う材料としていましたが、いまはちょっと自分の部屋のファッションアイテムのような感じもします。創刊号からすべて本棚に収まっているのを見て酔っているような…。以前も書いたようにアルバムもダウンロードせずにCD購入して展示しているような人間ですから、その空間が気持ちいいのでしょうね。


■ 最近の「BURRN!」の表紙=第一特集を見てみましょう

2021年5月号から少しだけ過去にさかのぼってみます。
・PAUL STANLEY(KISS)
・BLACKMORE‘S NIGHT(RAINBOW)
・聖飢魔II
・MICHAEL SCHENKER GROUP
・AC/DC
・ROB HALFORD(JUDAS PRIEST)
・BON JOVI
・COREY TAYLOR(SLIP KNOT)
・METALLICA
・MEGADETH
・IRON MAIDEN
・OZZY OSBOURNE
・CHILDREN OF BODOM
・SLAYER
・MOTLEY CRUE
・KISS
・QUEEN

創刊号は1984年10月号。ミュージックライフから独立したヘヴィメタル専門誌として登場。
80年代はヘヴィメタル/ハードロックブームとまで言われて、MTVでのビデオクリップのヘビーローテーションや、MTV HEADBANGER'S BALLといった専門チャンネルまで登場して世界を席巻しました。当時は、UKミュージックも人気で、いわゆる「洋楽」ファンが存在し、あまり日本のミュージックシーンを振り返らない人も多く見受けられました。
日本は、歌謡曲が主流で、それに対してロックもフォークも歌謡曲以外というジャンルである「ニューミュージック」というジャンルにされており、南こうせつさんもイルカさんも世良公則さんもゴダイゴさんも同じジャンルになってしまっていました。自分たちで楽曲を創るという人たちのジャンルというと近いでしょうか。洋楽ファンと邦楽ファンの会話がなかなか合わなかったなあと記憶しています。
私の場合は、沢田研二さんや松山千春さんのファンでしたが、高校の時にクラスメートから紹介されたRAINBOWとAC/DCを聴いてぶっとんでヘヴィメタルファンになりました。それからヘヴィメタル一辺倒になってしまって、尾崎豊さんやBOØWYといったすごい方々を感じる機会を逸してしまいました。
当時の新宿にあったヘヴィメタルディスコ「ツバキハウス」では日本人バンドの曲がかかると耳をふさぐという不思議な人も見かけたくらいです。そんな中、歌謡曲番組に出ているLAZYを見ていましたが、そこからLOUDNESSが出現した時の衝撃を覚えています。洋楽に学ぶみたいな雰囲気は、ビジュアル系ロックなどの登場、独特のミュージシャンの出現やアニメの世界観の広がりでなくなっていったような気がします。あくまで私見ですので根拠はありません。


■ 御大たちの活動

前述の最近の「BURRN!」の表紙を見ていただいても、PAUL STANLEY、RITCHIE BLACKMORE、MICHAEL SCHENKER、AC/DC、ROB HALFORD、BON JOVI、METALLICA、MEGADETH、IRON MAIDEN、OZZY OSBOURNE、SLAYER、MOTLEY CRUE、KISSなど70~80年代のモンスターバンドたちが飾っています。60~80歳台にして、コロナ禍でも作品をリリースするなど第一線で活動しています。「BURRN!」をずいぶん前に買うのをやめてしまった人たちにとっては、「まだ、活動しているんだ!すごいなあ!」という感じだと思います。新しいバンド、新しいジャンルもどんどん出現しているのですが、表紙を飾る重みっていうのか、格というのか…がまだ厳然とあるのでしょうね。
ロックフェスもずいぶん行われていませんが、御大たちが来るたびに「これが最後かもしれない」と思って参戦して感動しているわけですが、解散を撤回したり、再結成したりしながらけっこうやってきます(笑)。
いろいろな会社の方と商談していてもこのころのミュージックシーンのことが話題になると急に商談そっちのけで盛り上がることも多いです。最近でもフィットネス会の仕掛け人の方とか、金融商品の営業の方と話していて商談に戻れなくなりました。転職したりアドバイザーをしたりして1つのことを極めていない自分がいるのですが、決めた道を永遠に走り続ける彼らをうらやましいと思ったり、勇気をもらっていると思ったりすることも多いです。


■ 掲載内容の変化

THE WORLD HEAVIEST HEAVY METAL MAGAZINEというスタンスは創刊以来変わっていないと思いますが、編集長も何代か変わっています。ポリシーと同時に数字の責任もあります。昔は、QUEENはこの雑誌の対象ではなく、ギタリストのBRIAN MAYだけは掲載する感じでしたが、映画「BOHEMIAN RHAPSODY」のヒットとともに特集が組まれているなあとか、日本のバンドの掲載が少なかったのですが、最近ブームとなっている女性メタルバンドの特集が増えてきたなあとか感じたりします。シーンの変化に対応するのも当たり前ですし、商業的に成立してこその継続だと思いますのでよいのですが、ずっと買っているとそのあたりの変化を感じることがあります。
聖飢魔IIが特集されました。デビューアルバムに0点をつけた「BURRN!」。その後、両者の関係は遮断されましたが、長い時間を経て特集が組まれました。昔を知る我々は、「やっと仲直り?」みたいな感覚で目を細めながら、じっくりインタビューを読んでしまいました。ヘヴィメタルというジャンルを伝え続けてくれている「BURRN!」の闘いを感じながら、これからも購読していこうと思います。

TV番組では、マニアックなジャンルはBSやCSや動画チャネルに移管しがちです。大衆受けにしぼっていくと番組も同質化していきます。
テレビ東京は、特定ジャンルのマニアックな30分番組などいろいろな仕掛けをしているなあと思っています。以前も「ヘヴィメタさん」というヘヴィメタルバラエティとか、ラウドロック系や格闘技系の番組をやっており、今もGTプラスのようなモータースポーツ番組をやっています。特定のジャンルが誰でも見るきっかけがあることも民放の大事さのような気もしています。
専門的でわざわざ見る・読む人をつかむもの、知るきっかけになって新しい体験を促すもの、それぞれの役割をもっとよく味わって、表現者の心も受け手の心も揺らせるような発信を実践していきたいですね。

この記事への感想はこちらへどうぞ

この記事への感想を送る


野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

続きを読む

関連記事

準備中