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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝海外が憧れる日本の伝統文化、我々は胸を張って語れるのか

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
31回目のコラムです。今回は、能楽師の大倉庄之助さんにお会いして改めて日本の伝統・文化への日本人の関心について考えましたのでそれを書いてみます。


■ 能楽師:大倉庄之助さん

いただいたお名刺には、「重要無形文化財総合指定保持者 能楽師 囃子方大倉流大鼓」とありました。
ご本人のホームページの紹介は次のようになっています。
「大倉流小鼓十三世祖父・故大倉長右衛門、大倉流小鼓十五世父・故大倉長十郎より小鼓の稽古を受け9歳で能舞台 独鼓『難波』初舞台。その後、大倉流大鼓長老、故吉田太一郎師より大鼓の稽古を受け17歳で舞囃子『小袖曽我』大鼓に転向する。葛野流大鼓 故瀬尾乃武師に師事。伝統的な能舞台での活動と1979年より継続する能楽普及活動の一環として鼓や能楽囃子を中心とする体験授業を各教育機関に於いて展開。また大鼓独奏様式を確立し、国内外の様々なアーティストとの共演や各国の式典において大鼓独奏を披露する等、 国際文化交流の場で活躍。CM、ドキュメンタリー番組などメディアにも多数出演し日本の文化を世界に向け発信し続けている。」

ランチをさせていただいたのですが、学校での体験授業での子供たちの反応のことや、格闘技イベントPRIDEのオープニングアクトをされた話など、とても気さくに、しかし伝統芸能の伝播に対する思いを込めて話してくださいました。大型バイクでの世界各国でのツーリングをするなど幅広い活動でのたくさんの方々との交流を楽しそうに教えてくださいました。
その会話の中で出てきたテーマの1つが、能楽のような日本の伝統芸能への関心が高い企業は海外のトップブランドが多いということでした。次々に持ち込まれるコラボ企画があるとのことです。また中東などに呼ばれて行くと、国王級の待遇が待っているとのことです。いかにリスペクトされているかがわかります。
話をしながら、自分も含めて「あれ?日本人ってどこで能楽に触れるのだろうか」と思い始めます。
私は中学の時に古典の授業の一環で見学に行ったという経験が一度あります。おそらく記憶では時間になって会場に入って、見て帰ったという感じ…。能楽師の方からの説明などはなかった気がします。
大倉さんは、鼓などを学校に持ち込んで、実際に体験してもらうことなどを積極的に行い、高い関心を持ってもらっているとのことでした。
私は今、高校一年生にマーケティングを教えていますが、世の中で行われていることには、すべて意図があり、エンターテインメントには心を揺らす力がある…ということを伝えています。まだ若いうちにいろいろなものに興味を持って触れるということはとても重要だとお話を伺いながら強く思った次第です。


■ テレビ東京「世界!ニッポン行きたい人応援団」

かなり好きなTV番組です。
日本の伝統が好きになり、インターネットなどでめちゃくちゃ勉強している海外の方を探し出して、憧れの日本に招待するというドキュメント番組です。
たとえば、「にしきごい」。にしきごいに心を奪われた女の子が、にしきごいの種類や模様による価値を研究していると同時に、好きすぎてたくさんの大きなにしきごいの抱き枕をたくさん持っていていつも一緒に寝ているというおちゃめなところまで、見ていて笑顔がこぼれてしまいます。
「ぬかどこ」の大ファンの女性も出ていました。見よう見まねでぬかどこを作っているのですが、日本のぬかどこで発酵した食品を食べたことがなく、夢のような気持ちで来日して生産者さんにガンガン質問をしていました。
「村上の塩引き鮭」が好きな方は、もちろん食べたこともないのですが、町中で干している風景をインターネットで見ながら、いつか訪ねてみたいとずっと考えていたとのことでした。
「剣道」にあこがれる女流剣士はインターネットで警察の女性チャンピオンの動画を何度も何度も繰り返し見て研究していたそうで、日本ではお会いできるだけでなく稽古・指導もしてもらえるという感動に相対していました。
前述した大倉さんの能楽への海外ブランドの方々の興味と、この番組に出てくる日本の伝統や文化に対しての外国人の方々のあこがれる思いと、頭が下がる勉強知識が、一瞬だぶりました。日本の田舎の生産現場などに実際に行くので通訳さんがいないと会話が成立しませんが、生産者の方々も、外国の方がこんなに自分たちの仕事や生産品を好きになってくれるという喜びにあふれています。訪問した方に至っては夢にまで見た本物体験なわけでずっと興奮状態です。なんていい番組なんだと何度か涙を拭きながら見ていました。
そこでふと思ったのですが、再度、自分も含めて自分たちは、こんなに熱い思いで自分の国の文化を語れるのだろうか。アニメももはや日本文化の象徴であり、アニメの世界観を語るというシーンにはよく出くわしますが、伝統・文化については、関心を持つ機会が圧倒的に少ないのだと感じました。
私は、学校の授業にエンターテインメントを持ち込んでいますが、本当に伝統・文化を体験できる授業がもっともっとあるべきだなあと思います。「別に…」という感じで毎日過ごすよりも、「今日もステキに出会った」という毎日にしてあげることが大事ですね。


コロナ禍によってインバウンド需要が大きく後退しました。しかし、日本の伝統・文化は、海外の多くの国でステキな発信ができますし、ビジネス化もできると思います。改めてそれを感じました。
以前のコラムで、神田明神の発信について書きました。日本の伝統芸能を伝えるプロジェクトと、秋葉原に近い神田から、アニメやアイドルという文化を発信する文化の二本立てです。
「古きよき」をぶれなく伝えていくのも大事、変化する文化を批判を恐れずに発展させていくのも大事、みなさんもされているように、発信はとても大事ですね。それと同時に、日本人そのものが日本の伝統・文化に触れあい、海外に自信をもって伝えていくための機会をもっと作っていかないといけないということも感じた次第です。テーマは大きいですが、発信者として、発信者を応援するものとして感じた決意を今回のテーマとしました。

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