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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝全員が勝つゲーム「GIFT」しようぜ!

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
33回目のコラムです。今回は、先般、講演を聞く機会を得たGIFTファシリテーター協会の田中克成さんが展開するコミュニケーションカードゲーム「GIFT」について書いていきます。


■ GIFTとは

一見カードを見るとUNOのようなイメージ、遊び方を聞くと七並べのよなイメージ。
カードゲームは先に上がると勝ちであり、その瞬間に興奮もしますし、がっかりもします。罰ゲームが待っていたりします。
ところがこのコミュニケーションカードゲームは全く違う目的を持っています。
テーマは「与えて与えてみんなで勝つ!」全員で勝つことをミッションとしたゲームなので敗者や優劣が生まれないのです。
まだ何を言っているのかわかりませんよね。「COMMIT」というカードが4色なり8色なりあり、プレイヤーが自分の前に選択した色の「COMMIT」カードを置きます。そこに七並べの要領で、1から、または11からカードを並べていきます。11枚並んだら最後に「SUCCESS」というカードを置いて手札がなくなることによってゲームは終了します。
ここまで読んでも早い人の勝ちと思いますよね。しかし、このカードゲームは、1人が「SUCCESS」したとしても他の人がすぐに続けて「SUCCESS」しないと失敗ということになります。つまり全員が続けて「SUCCESS」しないといけないゲームなのです。したがって、他の人がまだたくさん持っているのに自分が「SUCCESS」してしまうとゲームは失敗に終わります。また、自分が赤色の「COMMIT」を遂行しているとすると赤色の「SUCCESS」カードで終了しないといけません。青色や緑色の「SUCCESS」カードで他に人の「COMMIT」を終了することはできないのです。つまり、他の人の色の「SUCCESS」カードを引いてしまったらなるべく早く捨て場に戻してその色の人の手元に行く可能性を追求しないとゲームが成功しないことになります。七並べで言うところの途中で止めて意地悪をするということはチームを崩壊させる最悪の行為ということになります。
自分が着々とゴールに向かいながら、人の進捗も助ける精神を持っていないければならない、そして全体進行を把握しながらプレイするスタンスを持っていないといけないゲームなのです。


■ 悪魔がやってくる

「ACCIDENT」という悪魔カードが1枚入ります。これをつかむと自分の選択した色のカードしか動かせなくなります。
「GIFT」というカードが存在します。オールマイティーカードです。出せないところに他人が「GIFT」カードを出します。
「ACCIDENT」カードでがんじがらめになってしまった人が持っていそうなカードの代用として他に人が「GIFT」カードを使います。ばっちり合えば、「ACCIDENT」の人は呪縛から解放されます。つまり「ACCIDENT」の人にどこで「GIFT」カードを出してあげると早々に呪縛から逃れることができ、またみんなで一丸となってゴールに向かえるのかという協業です。
「どう勝つか」ではなく、「ここ出すと進むでしょ、これ出すとうれしいでしょ」というゲームなのです。他人のことばかり考えて自分が進まないとゴールできない、自分のことだけ考えるとゴールできない。チームの足を引っ張りたくなくて自分のことに専念するとゴールできない。今まで接してきたゲームはすべて「勝つ」ためにやってきたと思いますが、これは全く違うスタンスのゲームなのです。


■ 実際にやってみて

この日は体験会でしたので、これまでにこのコミュニケーションカードゲームが果たしてきた成果なども共有していただきました。
ここまで読んでお気づきだと思いますが、これはチームワークを向上させる、組織力を向上させるゲームなのです。それを講義や説教ではなく、ゲーム感覚で飛躍的に向上させるのです。
田中さんの行ってきた様々なチームでのゲームという研修。アスリートのチームワーク向上、学校の授業の活性化、一体感のある企業組織風土の醸成…あらゆる場面で効果を発揮してきたそうです。
いくつか動画を見させていただきました。大手企業の研修での場面。全員でゴールした瞬間は狂喜乱舞の様相です。とっつきにくい敬遠されがちな上司が最も喜び、そしてその人が嫌な奴ではなく、部下たちとのコミュニケーションに悩んでのことだったと判明する瞬間。1人よがりな生徒がいるチームだけがゴールできず、何回目かでゴールした時のその生徒の「みんなでできた!」という発言。ほんとうに効果の高いゲームであることがわかりました。
実際に自分もやってみてゴールした時には声をあげてハイタッチをしていました。「与えて与えてみんなで勝つのです」早速、自分が教えている高校でも導入してみようと思います。


■ 田中克成さんからのメッセージです

「全員で勝つ思考の筋肉を育てる」それがこのゲームを考案した目的です。
休憩時間に、「GIFTやろうぜ!」っていう言葉が飛び交えばなんだかステキじゃないですか。そして「GIFT」に慣れ親しんだ子供たちが大人になった時のことを想像してください。子供の頃から「全員で勝つ」ほうが「楽しい」という価値観を持った社会人が企業に就職する。「自分だけの一人勝ちでも自己犠牲でもなく、全体にとってのベストは何かを考えられる思考の筋肉」が鍛えられた社会人が過半数を超える。「GIFT」世代の大統領や総理大臣が誕生する。その世代は、誰かと比べて平凡な暮らしをしていることに人生を嘆いているだろうか。金持ちになれず一人勝ちの夢が叶わなかったことに不幸を感じているだろうか。単なるカードゲームではない。僕らが作って広げたものは、働き方、生き方そのものだ。その価値観は世界中に広がり続ける。自立した一人ひとりが利他を実践することで、そんな仲間が世界中の至るところで今できることから伝え合うことで、僕たちに見えているビジョンは現実になっていく。
「GIFTやろうぜ!」


■ 究極の利他はステキな利己

利他を続ける。私はそれを「GIVE」と呼んできた。悪くない。
しかし、田中さんに出会ってもっといい言葉に出会った。「GIFT」。
そして、自分もゴールしなければならないので、ちゃんと全体も見るし、想像していない「TAKE」も必ずある。役に立つことを前提として、そしてもっと役に立つことに思いを馳せて、利他を続ける。ステキが起こる。ステキが起こるので、究極の利他は、最高の利己だ! ステキな出会いでした!

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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