2022/01/29
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
47回目のコラムです。今回は、ここにきてコロナ禍前よりも圧倒的に動員を増やしている明るく、激しく、新しく、そして美しく! 輝く女子プロレス団体「スターダム」について、12月29日の大会を振り返るだけで急成長が語れるほどの素晴らしい大会でしたのでそれをレポートします。何度かプロレスをコラムにも書いてきているのですが、このスターダムの進化が目覚ましいので新たに書いてみました。
「スターダム」が2021年12月29日の両国国技館大会で年内興行を終えました。集まった観衆は3000人。残念ながらコロナ禍において4人座れる升席も1人での利用。まだまだ昔の超満員キャパは企画できない状態ではあります。
2021年度の国内観客動員は同団体最多の4万7405人(101大会)で、昨年の2万1424人(54大会)を大幅に上回り、これまで最多だった一昨年の最多3万2813人(84大会)と比べても1万4592人増で、初めて4万人台に乗せたそうです。つまりコロナ禍前を大きく上回ったかっこうです。
女子プロレスでは旗揚げ2年目の12年から10年連続トップで、男子と比較しても新日本(18万3541人)、ドラゴンゲート(5万7828人)を追う3位の座に躍り出ました。コンテンツビジネスとしてスポーツエンターテインメントとして大きな飛躍の年だったと言えるでしょう。
新日本プロレスに続き、2019年12月からブシロードファイトの運営に切り替わりました。このコラムでも何度か書きましたが、ブシロードの木谷会長は大のプロレスファンで、新日本プロレスのM&Aに続き、世界の一流団体は男女が同じ大会でプロレスをしており、日本は遅れているという意見の持ち主でスターダムも傘下に収めました。プロレス団体としては金銭面でもスタンス面でも最高の後ろ盾を得たことになります。旗揚げ10周年を迎えた今年は、コロナ禍の中でも大攻勢。3月3日武道館は、ジュリアvs中野たむの敗者髪切りマッチを敢行して話題を呼びました。6月12日大田区総合体育館では、ワールド王座戦で激突したビッグダディ3女林下詩美と朱里が43分19秒の両者KOという死闘ドロー。新人の台頭や、各選手のまさに死闘といえる試合の連続で人気は上昇の一途をたどりました。
10月には大阪城ホール、11月にはとどろきアリーナ、代々木第二体育館に進出。横浜武道館では4回のビッグマッチを連発するなど、感動ドラマの“神興行”で大場所をリレーしました。武道館(3318人)、国技館(3039人)、9月の大田区総合体育館(1539人)では動員パワーを発揮し、女子の年間ベスト3を独占する結果となりました。
選手の他団体には追随を許さないパフォーマンス、ブシロードグループのレベルの高い配信ビジネスにて圧倒的な成果の1年となりました。
◆フューチャー・オブ・スターダム選手権試合 15分1本勝負
〇羽南 vs 流悪夏●
挑戦者の羽南が初めてのベルト戴冠。ふたりは同期。先に出世したヒールユニット(悪役)の流悪夏との激闘の末、JK(女子高生)ファイター羽南が初タイトルで号泣。会場も号泣。苦楽を共にしてきたが今は敵対するユニットに所属するふたりであるが認め合ってハグ。ここに最高のドラマがあった。
◆アーティスト・オブ・スターダム選手権試合 30分1本勝負
なつぽい・ひめか・〇舞華 vs ウナギサヤカ・白川未奈・桜井まい●
王者組が防衛。美人3人タッグチームとしてファンが多いユニット同士の激闘は新人を入れた挑戦者ユニットの力が及ばず。今後も継続した抗争を予感させる終わり方に。
◆ハイスピード選手権試合 30分1本勝負
〇スターライト・キッド vs コグマ●
王者防衛。女子プロレスならではのハイスピードの技の応酬の止まらない選手権。じっくり型のレスラーは挑戦できないスタイルで体の小さい先週が活躍できるストーリーのあるベルトでこれも特徴的な試合です。
◆ジュリア復帰戦&小波ラストマッチ 30分1本勝負
〇ジュリア vs 小波●
大怪我からの復帰のジュリアと、体調不良につき休養に入る小波との一戦。これも敵対ユニットの闘いながら、小波と書かれたガウンをまとって現れるジュリア。お互いの信頼が試合にも態度にも現れ、清々しい思いで試合に見入るファンたち。
◆ワンダー・オブ・スターダム選手権試合 30分1本勝負
〇上谷沙弥 vs 中野たむ●
王者交代。年次が若いが今年台頭した上谷が、入門以来の師匠を超える快挙。負けた王者が弟子の腰にベルトを巻く姿に感動が。ここには師を超えるというテーマがありました。
◆ワールド・オブ・スターダム&SWA世界 二冠選手権試合 時間無制限1本勝負
〇朱里 vs 林下詩美●
この試合も王者交代。女子プロレス年間MVPを獲得してきた林下、今年のタイトル総なめ女子朱里の頂上決戦が年末で王座交代の死闘。これぞ女子プロレス最高級の試合となりました。女子に限らず、この魂のこもった闘いは心が揺らされたはずです。
いくつか試合結果を割愛していますが、最強、王座、死闘、スピード、師弟、休養、復帰、姉妹、新人、裏切り、同期、洗練、意地、因縁、未来、挑戦、1つの大会でこれだけの要素がたくさんつまっているすごい大会でした。
他団体を見てもテーマのない闘いや選手を入れて興行を成り立たせていることが散見されますが、選手の個性=採用と育成、新陳代謝を常に起こすスタンス、全体の成功を目的とした組織作り、過去の焼き直しでないストーリー創造、まさにマーケティング=経営です。どんなステキもよい経営に置き換えてみることでたくさんの発見がある。そんなことを強く感じた一日でした。
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
準備中