連載記事2025/07/19
「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝
一筋縄ではいかない地方創生 福井県で新しい芽を観察してきました
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
130回目のコラムです。福井県に所用で行く機会がありました。あまり行ったことがない県なのですが、福井といえば、福井県立恐竜博物館が気になっていたので、そこを訪問する時間を捻出しておきました。今回は、地方の現状と何か起こそうとしている自治体や若者の取り組みを観察してきたので、そのあたりを記していきます。
福井県は、日本で発見された恐竜化石の約8割が集中しているそうです。特に勝山市は、日本有数の恐竜化石発掘地として知られています。勝山市の地層は、恐竜が生きていた時代(中生代白亜紀)に堆積した地層が、地表に露出している場所が多く、化石が発見されやすい環境にあるようです。1989年から30年以上、継続的に発掘調査が行われていることも集中している理由になっています。
日本最大の恐竜博物館であり、世界三大恐竜博物館の一つにも数えられています。43体もの全身恐竜骨格展示や、実物化石、ジオラマなど、見応えのある展示が充実しています。展示室は、「恐竜の世界」「地球の科学」「生命の歴史」の3つのゾーンから構成されています。昔から恐竜図鑑を大事にしてきましたし、大型の爬虫類が地球を歩いていたことや、進化の工程など子供の頃からの興味が復活しました。
「恐竜の世界」ゾーンでは、恐竜の全身骨格が43体展示されていますが、そのうちの10体は実物の化石を使ったものになっています。「地球の科学」ゾーンでは、地球科学の歴史、陸と海の堆積物、堆積物に埋積された化石、地球の活動、活動でできた岩石や鉱物などを体系的に展示しています。「生命の歴史」ゾーンでは、46億年におよぶ長い地球の歴史の中で、生命が誕生し、地球の環境変化の中で進化と絶滅を繰り返し、人類誕生まで時間の流れにそって展示しています。 非常に大規模で満足感の高い博物館で世界からも注目されていることに納得でした。予約しないといけないのか、大混雑なのかと気にしていましたが、金曜日だったからなのか、いいかどうかが別にして比較的余裕をもって見ることができました。埼玉県の大宮にある鉄道博物館など行ってみたい博物館はたくさんありますが、忙しいとか言わずに理由をつけていきたいですね。
日本の銘酒「黒龍」。今回、辰年の自分としては、「恐竜」と「黒龍」をテーマに行ってきました。永(とこしえ)からつけたネーミングですね。「ESHIKOTO」は、黒龍酒蔵を擁する石田屋二左衛門が創造した日本酒ブランドです。田園風景の中にとてもおしゃれな建物があり、蔵の感じはありません。レストランやベーカリーなども併設しながら、ここでしか買えないお酒などが、ステキに余裕をもって展示されていました。みなさん、試飲してから買うのだと思うのですが、クルマでしか行けないところなので、店員さんの説明と直感で大量に買ってきました。
「世界三大奇勝」の一つですね。波の浸食によって形成された柱状の岩肌が特徴で、遊覧船で眺めることもできました。「日本の夕陽百選」にも選ばれているようです。昔から崇拝される無人島があり、陸から橋が渡されていました。まるで江の島のようだと思っていたら、江の島を模して橋を架けましたとのことでした(笑)。東尋坊商店街があり、飲食店やお土産店が軒を連ねていますが、これも江の島のようです。残念ながらテナント募集中のスペースもけっこう多かったですが、昔ながらのお店の中に、若者が運営していると思われるおしゃれなカフェなどが近年増えているらしく、それが商店街の雰囲気を変えている気がしました。旧来の店舗の維持が大変なのと、新しい考え方の方の進出を感じました。
隣の京都府と違い、福井県はあまりインバウンドの雰囲気がありません。観光対象になってないのでしょうか。駅のほど近くの飲み屋が密集する繁華街があるのですが、あまり人とすれ違うことがなく、20時くらいでもにぎわっているという感じはありませんでした。閉まっている店、だいぶぼろぼろのビル、至る所にある鳩の糞がそのまま…などなかなかです。福井県の友人に良いお店を教えていただいていたので、ぼろぼろのビルの中に若手の創作料理の店や、京都で修業した人が福井の食材でコースをやっている店など、素晴らしい店に行くことができました。だいぶ厳しそうな繁華街でも、チャレンジする方々が店を出しているのですが、こういった誘致のようなものを県や市がやっているのかな…とも思いました。調べてみると、北陸新幹線の敦賀延伸に伴い、新たな旅行先として福井県の誘客を「食」でめざすために、県が今年、県内の食材や伝統の技を体感できる飲食店の開業を支援するために、県内で新店舗を開業する事業者に対し、施設の整備費用を上限2,000万円、費用の半額補助する制度を設けたようです。
CURU-F(くるふ)という駅の中に作られたモールのような空間がありました。「くるふ」は、「来る(訪れる)」の「CURU」と「F」を組み合わせた造語ですね。「F」には、福井のFをはじめ、Fun、Friend、Family、Future、Favorite、Feelなど様々な意味を込められています。また、その隣にある福井駅西口再開発ビル「ハピリン」は、福井駅西口駅前広場と連携した県都の玄関口にふさわしい「にぎわい交流拠点」の形成を図り、地域外からの観光客等のための「おもてなし拠点」、地域内の人のための「生活の拠点」を創出し、中心市街地の活性化を目指します…とホームページに書いてあります。観光客はもとより、現地の若者たちなども多く来ていました。さきほど繁華街の話を書きましたが、現地の若者は、この開発された駅前周辺に集まっていることがわかります。以前のコラムでガラガラになった小樽の商店街にも触れましたが、小樽の場合は、現地の人は隣の駅にできたイオンモールに行ってしまっていました。他県から集客する、現地の人の役に立つために進めていることだと思いますが、まんべんなく助成するよりもしぼって特長出しをすることが大事なのかもしれませんね。
繁華街が衰退していく、商店街が衰退していく、しかしそこに若い方々が新しいコンセプトで参入してくる。そこには行政からのサポートがある。行政も恐竜だけでなく、地元の人たちの居場所を作る(福井らしさだけではなく、流行に敏感な居場所)取り組みが、まだまだですがチャレンジされているということを観察することができてよかったです。みなさんも地域の栄枯盛衰の中に新しい芽を探してみてください。
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
準備中