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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝最大手新日本プロレスが声出し声援を解禁

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
63回目のコラムです。今回は、いよいよ声出し声援解禁になったプロレス会場からお伝えします。


■ 最大手新日本プロレスが声出し声援を解禁

コロナ禍により2年以上ファンの声出しを禁止してきた新日本プロレスがついに9月5日声出しを解禁しました。声出しOKの席を限定しているのと、席の間をあけて、マスクがマストということでの実験開始でした。以前のコラムで大日本プロレスの声出しの解禁もレポートしましたが、とまどうファンと、なんとか思い出させようとするレスラーのような構図になっていました。最大手新日本プロレスには、それぞれのファンも多く、そのためテーマ曲にも馴染みも思い入れもある選手が多いのでどうなるのだろうかと思っていました。選手も一緒で、1試合めをのぞき見する選手もいました。その1試合目は、中村あゆみさんが歌う「風になれ」をテーマ曲にしている鈴木みのる選手。サビの「風邪になれ!」のところで会場全体が一緒に歌うというのがもともと定着した姿でした。ブシロードが仕掛ける配信戦略がうまくいっているのか、アメリカでもイギリスでも現地のファンが日本語で「風になれ!」と歌うほどです。声出し解禁の最初に試合が、鈴木みのる選手であったことは、会場にいたファンたちにとってもよかったのではないでしょうか。大合唱とともに試合がスタートしました。


■ 声出し解禁はヒール(悪役)にとってもありがたい

試合開始前に、高橋ヒロム選手がリングに入ってきました。「声援の練習をしよう!」とファンを煽ります。それと同時に、ヒールに対するブーイングの練習も仕掛けます。なにしろ今まで声出しを禁止されていたので、ベビーファイス(正統派)が技を仕掛けても、ヒールが反則しても、手を叩くしかなかったのです。2年ぶりにブーイングを言ってもいい機会が現れました。練習の成果もあり、ヒール登場の際には、ブーイングの嵐が巻き起こりました。ヒールもにやにやしながらしてやったりの表情です。ヒールが反則しても「おい、反則だぞ、レフェリーチェックしろ!」などの言葉を発せられなかったわけです。ヒールは、「やめろ」「帰れ」などのブーイングを受けて、より見せてやるぞという顔をしていきます。悪いのにちょっとうれしそうです。せっかく反則しているのだから、ブーイングというご褒美をくれよ というのが心境です。また、ヒールに対して抗議することによってファンの参加感も上がっていきます。声援が・・・ではなく、声援もブーイングも会場全体を生き生きとさせていました。


■ 続いて女子プロレスの最大手スターダムの大きな大会がありました

こちらもブシロードの傘下の団体ですが、こちらはまだ声出し声援が禁止でした。そのぶん横浜武道館には満員の観客が入っています。まだ、声出しを選択するか、満員の入場者を選択するか このへんがそれぞれの判断のしどころのようです。こちらも満員の観客の中で、個性豊かな選手たちがそれぞれのストーリーを実現する華やかな大会となりました。声が出せなかったとしても十分な試合展開で、満足して帰路につきました。まずは、試合内容、ストーリー!そして、それに以前の応援、以前の応援を超えるような応援が足されていくことによって、コロナ禍前よりもファンが熱中する大会になっていくことでしょう。スターダムは、他団体からの移籍選手も多く、生え抜きもうかうかしていられません。常に入団してきたり、抗争をしにやってきたりするので、対戦カードの新鮮さというものがキープされている気がします。スターダムは、ビッグマッチのほかに、スターダムおよび他団体の若手選手だけで行う大会も実施しており、ここからも新しい可能性が発掘されていきます。他団体としても月1回くらいの試合しかできないのでは、選手の成長のスピードが遅いので、実績を積むということと、上を知るという体験としても注目している大会になります。スターダムに移籍してしまうのでは?という心配は尽きませんが…。このあたりが、プロレス好きのブシロード木谷会長の「プロレス界を成長させる」というコンセプトに合致しているのでしょう。プロレス界が成長すれば、世界に発信するコンテンツビジネスにも成長します。


■ そしてタカタイチデスペマニアという興行がおこなわれました

前述した鈴木みのる選手は、フリーのプロレスラーなのですが、数多くの団体に出場しています。新日本プロレスには、鈴木軍のボスとして登場しています。そこに所属するタイチ選手(新日本プロレス)、エル・デスペラード選手(新日本プロレス)、TAKAみちのく選手(ジャスト・タップ・アウト代表)が出場しました。大会の母体は、ジャスト・タップ・アウトになり、鈴木軍の選手たちが、新日本プロレスではできないことをやろうということで参加するスピンアウト的な大会です。ブシロードや新日本プロレスも認めるというよりも協力するというスタンスになっています。他のインディーズ団体からも参加し、前述のスターダムからも、トップ選手が参加して、ジャスト・タップ・アウトの新進気鋭の女子レスラーと対戦しました。そのうちのひとりは、元ジャスト・タップ・アウトということで里帰りとなりました。移籍してしまう→関係が断絶する ということはプロレス界ではありがちですが、移籍させる側が納得しているのでこうした興行が成立するのでしょう。バリエーションに富んだ大会は、メインイベントのデスマッチの帝王葛西純選手と、エル・デスペラード選手の壮絶なデスマッチとあまりにも鳥肌の立つ感動的なコメントで幕を閉じました。新日本プロレスでデスマッチはあまり成立しませんから、こうした大会もまたプロレス界の新しい世界の可能性を出す重要な役割かもしれません。この日も声出しOKの大会であり、レベルの高い大会での声出しがファンだけでなく、選手にとってもありがたいことなのかということがみてとれました。


Withコロナという言葉が使われ始めてからもうずいぶん時間がたっています。どうすればよいのかを国に聞いても反応はありません、自分たちで、盲点を見つけるのではなくて、堂々とここまでやっている、理論的には大丈夫だからチャレンジする、万が一のためにこういう策を設けているという発言が増えてくることを期待します。

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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