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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝キャラクタープロモーション講座をシェアします

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
66回目のコラムです。今回は、宣伝会議さんにて、「成功するキャラクタープロモーション」という講座を収録してきましたので、キャラクターマーケティングについて記していきます。


■ 宣伝会議とは

そもそもは、1954年創刊の月刊誌です。70年近く、広告宣伝やクリエイティブのあり方を発信しています。
『宣伝会議』というマーケティングの総合誌と、『販促会議』というプロモーションの専門誌をもっています。
そして、教育事業として実務に役立つマーケティング・クリエイティブ・広報などのノウハウ提供のセミナーを実施しています。受講者は、年間8,000社、20,000名以上とのことです。その講座の1つとして「キャラクターマーケティング」が取り上げられ、もう何年もお話しさせていただいています。


■ キャラクタープロモーション講座の始まり

私は以前、キャラクターマーケティングでは日本一の広告代理店だと思っている株式会社レッグスという会社で専務取締役CMOという役割をいただいていました。
アニメ系ですとほとんどのライセンサーとの深いコミュニケーションがあり、ローソンのキャラクターキャンペーンを手掛けていたことからライセンサーの絶大な信頼を得ていました。
その手法は、ほんとうは企業機密なのですが、私はなるべくそれをコンテンツ業界に発信して、日本のステキな文化がもっと世界を席巻するサポートができるようにしていました。
そんな中で多くのエンターテインメント業界のイベントで講演することとなりました。株式会社キャラクターデータバンクというキャラクター関連の調査やイベントや教育を行っている重鎮の陸川社長と懇意にさせていただき、さらに、ADK総研でキャラクターの歴史や効果を学術的にまとめている野澤さんとともに3人で始めたのが、キャラクタープロモーション講座です。


■ 講座の概要(自分の講座の最初のページです)

日本のアニメやアイドルは文化となり世界に発信されキャンペーンやタイアップ商品など経済効果も高くなっています。アニメ以外にも、アーティスト・アスリート・ゲーム・ブランドなど活用できるコンテンツは様々です。
クライアントのターゲット、コンテンツのファンを世界観を一致させてつなげることも、意外なマッチングで「わざわざ来る理由」にすることもできます。
ただ、弁当の上部に告知を載せるだけ、どこにでも売っているようなデザインのクリアファイルをつけるだけ…など、せっかくのコンテンツの効果が発揮できない施策も散見されます。
ほんとに欲しいものは何か、それを追いかけ他者に発信してもらうにはどうしたらいいか 徹底的に考えたものが大きな効果を生んでいます。

・悩んだらカスタマーに聞く
・わざわざ来る理由を創る
・ステキなストーリーを考える
本日はそれを感じてもらいます。


■ 講座の意図

よくある講座では、売上が上がる手法、データの分析手法、WEBマーケティング実践…などがあると思います。私が大事にしているのは、その手法の前に、「どんな誰は何をしてあげるとなぜ幸せになるのか」の追求が必要ということです。講座の中に、何度もその要素を入れて、感じてもらいたいと思っています。講座に来る人は、マーケティング担当、ライセンスビジネス担当、広告代理店、キャラクターが使いこなせない企業の方、業績が上がらないので打開したい方などさまざまです。キャラクターは使えばよいというものではありません。キャラクターをつかってブランドイメージをあげる、わざわざ来る理由にするために行います。いくつか子供の好きそうなキャラクターを見繕ってきて…という乱暴なオーダーも散見します。ステキに組み合わさることで、キャラクターも企業も成長する…そういう役割を持っていると思っています。


■ アニメキャラクターを使った施策はリスクが少ない

タレントさんを使ったプロモーションももちろん有効なのですが、コンビニエンスストアやファミリーレストランがアニメキャラクターを頻繁に使う理由があります。

・アニメキャラクターにはスキャンダルが少ない
リラックマはたばこを吸いませんし、キティは麻薬をやりませんし、ミッフィーは解散しません。
スキャンダルがない安心感は何にも代えがたいことです。

・実売効果が高い
アーティストよりも裾野が広いので、うまくファンの心をとらえれば売上効果はリアルタレントよりも高いという経験をずいぶんしました。

・二次利用において制約が少ない
タレントさんに比べると、実写を使用するのはNGとか、SNSにあげるなら追加料金とかいろいろ制約があります。もちろん監修は必要ですが、自由度はだいぶ大きいです。

他にも以下のようなメリットを感じています。
・コストが安い
・イメージがストレートに伝わりやすい
・ターゲットが設定しやすい
・世界観の共有がしやすい

さらに、店舗では、集客のために、値引、クーポン、ポイントなどの施策をしますが、そのタイミングをお客様も見ているので、定期的にやらないといけなくなり、疲弊していきます。そんなときにキャラクタープロモーションを投入することで、ファンが新規ユーザーとして来店したり、複数買いやまとめ買いをしてくれたり、リピーターとしてキャンペーン期間中に通い詰めてくれたりします。

当日は、ローソンやレッグスで行ってきた数多くのキャラクタープロモーション事例を話しながら、キャラクターの世界観と、企業の意図を、妥協ではなくて、ステキに創りあげるスタンスが重要ということを念入りにお話ししました。


■ よくある質問

・クライアントとキャラクターとの親和性はどのくらい大事ですか?
その施策で獲得したいターゲットによります。
 既存のターゲットに喜んでもらう →スポーツ用品×トップアスリート
 新しい顧客を獲得する →ローソン×リラックマ、くら寿司×ワンピース
 男性比率の高いコンビニエンスストアに、女性の来店が促進されました。
 回転寿司ではなくファミリーレストランをめざすためにワンピースとタッグを組みました。
従来のクライアントのターゲットとの親和性というよりは、そのキャンペーンで獲得したいターゲットとの親和性で考える方がよいでしょう

・どうやってそこまでこだわった施策が実現できるのですか?
クライアントはキャラクターを深く知らない。キャラクターもクライアントの意向がわからない。
間に入るプレイヤーが、キャラクターの世界観やストーリーを理解する。そのコンセプトやデザインがファンがほんとうに欲しいものになっているのか確認する。
そして、キャラクターに詳しい人、クライアントの利用できる資産を知っている人、技術・手法を知っている人など、しっかりとチームでストーリーを創る。

・失敗例はありますか?
カスタマーを見ていないとき、失敗します。

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 ローソンで行ったプロレス団体「ハッスル」キャンペーン。私は、プロレス好きなので、業界に貢献できると喜んで企画しました。そのときは、「元気になろーそん」というキャッチフレーズでしたので、ハッスルもぴったりだと考えていました。ところが、キャンペーン開始前にTV東京の「どハッスル」という番組が終了してしまいました。タレントが多く出場していましたが、プロレスラー以外は単体でのプロモーションができないという事態に。スター不在のキャスティングでした。残念ながら大きな影響力を出すことができませんでした。


今、宣伝会議では、リアル講座ではなく、ウエビナーになっています、聞いている人の反応がないのはやはり寂しいですが、多くの方々のステキ創りの参考になればよいなあと思っています。

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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