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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝高校生がマーケティング〜4月の私にはこんな考え方はできなかった

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
68回目のコラムです。私は、マーケティングの仕事の傍ら、高木学園英理女学院高等学校にて、毎年高校1年生にマーケティングの授業を行っています。もう11年目に突入しています。ちょうど2学期の授業が終了しましたので、彼女たちのアイデアや感想などをご紹介します。


■ 高校生にマーケティングを教える

10年以上前に私の「とことん観察マーケティング」の講演に高木学園の理事長がいらっしゃいました。私の講演はマーケティングと言いながらもマーケティング用語は使わず、そしてすべて実例でわかりやすく伝えていきます。理事長は、おばあさまが創立した高木学園で、引き継いだお父様がなくなられて呼ばれて理事長になった高木暁子さんです。民間企業で活躍されていましたので、現在の教育が、企業で役に立つ育成ができているのかに疑問を持ち、その場でお声をかけてもらってからの11年になります。そういえば、Spinartを運営する株式会社4DTの清水代表もその場にいましたね。
1学期は、「コンビニエンスストアのキャラクターマーケティングを考える」「ブックオフが次にやるべきリサイクルを考える」「面白い発想の自動販売機を考える」など身近な題材で、ディスカッションと発表を繰り返します。
2学期なると、「スターバックスとドトールの違いを話し合い、それぞれの戦術を発表する」「ミニストップの特徴を生かして生き残り戦略を考える」「ステキすぎるゼクシィの付録を考える」「とらばーゆ(女性の転職)の心を揺らすキャッチコピーを考える」などちょっと難易度がアップします。
常に大事にしているのは「どんな誰は何をしてあげるとなぜ幸せになるのか」の追求です。ここがぶれない限り20分でも生徒たちは面白いアイデアをひねり出します。こちらの方が勉強になってしまいます。


■ 花嫁すぎるゴム手袋

結婚式場を探す雑誌リクルートのゼクシィ。私もリクルート時代に携わってましたし、現在も顧問をしている株式会社聡研プランニングは、ゼクシィの付録制作がメインビジネスの1つです。また、キャラクターマーケティングの株式会社レッグス時代にも、ゼクシィの付録「花嫁すぎるゴム手袋」を作らせていただき、ギネス販売部数をたたき出したこともあります。とても大事にしているメディアです。
ゼクシィが大事にしている「花嫁1000人委員会」では、プロダクトやプロモーション以外にも、生活についてたくさん聞いています。1000人のうち6割くらいは一緒に生活されています。結婚式までのワクワクと同時に、生活が始まっているので「不」もあります。その代表が、「洗い物の時のゴム手袋が嫌!」ということらしいのです。そこで、ウエディングドレスを着ているところにはめてもステキな「花嫁すぎるゴム手袋」を付録として開発しました。びっくりするくらいの反響でした。


■ ゼクシィの付録を考える

それをヒントに、「〇〇すぎる〇〇」が定番化し、文法を無視して、心を揺らす企画がどんどん出現しました。
授業では、まだ結婚をしたことがない16歳たちに、この「〇〇すぎる〇〇」を考えてもらうことにしました。いろいろあるお題の中でも一番人気があり、楽しかったと言われる企画です。
今年の生徒の作品は以下の5つ。
・ハッピーすぎるコスメセット
 廃棄化粧品の活用したSDGsという観点で発想してくれました。
・いい関係すぎるエプロン
 リバーシブルで、帰ってきたときに「喜」と「怒」のご機嫌がわかるエプロンとティッシュボックス。
・最強すぎる花嫁修業BOOK
 食材図鑑からレシピ・家計簿まで最強のツールを用意してくれました。
・便利すぎるプレートセット
 間伐材を使用したプレートセットで環境問題に取り組んでくれました。
・運命すぎるペアキーケース
 初めての生活のキーケースをペアにしましたが、男女だけでなくジェンダー平等を意識してくれました。
SDGsやジェンダー平等など、社会の課題が以前よりも生徒たちの目の前の課題となっているようです。

過去の生徒たちの提案もあげておきます。
・想い出すぎるフォトフレーム
・仲良しすぎる全身ペアルック
・かわいすぎるキーホルダー式GPS
・100均すぎる百均収納集
・ラブラブすぎる腕時計
・長すぎるマフラー
・おそろいすぎる財布
・部屋になじみすぎる思い出パズル
・起きれなすぎるパジャマ
・ふわっとキラキラすぎてお風呂に入りたすぎるバスタオルとボディタオル
・おじさんすぎるお掃除モップ
・妖精すぎるパジャマ
・愛情がわきすぎるサボテン
・Wonderfulすぎるかわいいセット
・ワクワクすぎる 別冊髪型・ドレス特集
・幸せすぎる宝箱(写真立てセット)
・ヤバすぎる抽選券 with ペアディッシュ
・美しすぎるタオル まるで花嫁!
・かわいすぎる目玉焼き用フライパン
・幸せすぎる四つ葉のクローバー(ハンドソープ)
解説は省きますが、どれもこれもステキなストーリーを意識してくれた作品です。


■ ディスカッション&発表の効果を生徒の感想から抜粋します

・4月の私にはこんな考え方はできなかったと思います。この授業がより良いものになったのは、今までの積み 重ねがあったからだと改めて感じ、さらに自分の大きな成長を身をもって感じることができた授業でした。
・1学期よりもジェンダー平等などの世の中的な考えも取り入れつつ企画の発表をすることができたのでよかったです。
・1学期よりお題が難しくて悩むこともあったけどグループのメンバーと議論したり、別のグループの意見を聞いたりすることで、アイデアが広がりました。自分の意見が採用されたときは、「どういう部分が良かったのか」他の子が採用されたときは「こういったことも考えられる」といったことがどんどん出てきたので、そういったところも含めて今後に生かしていきたいと思いました。
・SDGsなどの目標もある中で、他のグループでは環境問題にも取り組んで楽しくなるようなアイデアもあってステキだと思いました。どんなターゲットなのか注目してマーケティングを進めてきて、ターゲットは何を目的として〇〇するのか、様々な視点で考えられました。
・先生から教えられたことを学び、実際に自分の生活にも影響していることがよくわかりました。先生の体験を交えながらとてもわかりやすく話をしてくださって、とても楽しく改めて先生がすごい人であることが分かりました。様々な面から分析し、1つのことにとらわれないことが重要だと感じ、生活面でも活用できたらいいなと思います。将来にも役立つ、ためになる授業だと思っています。先生やクラスメートからもっともっと吸収してより一層いいマーケティングができたらいいなと思います。
・2学期は1学期よりも柔軟に考えられました。いろいろなお題に合わせて他の人の意見と自分の意見をうまく合わせて新しい、より良い意見を出すことができました。また、積極的に参加することで話しているうちに違う考えが出てきたり、まったく新しい角度からの視点での考えも出ました。1学期とのメンバーチェンジで、新しい考えを聞くことができ楽しく感じました。これからも積極的に参加し、たくさんの意見を考えられるように取り組みたいと思います。
・短い時間の中でアイデアを形にしていく力は一学期よりも断然上がったと思います。
・グループが変わることによって1学期では経験したことのないアイデアが出たり、それをもっとより良いものへとつなげるのが楽しかったです。グループに貢献したいと自分もよい意見をたくさん出したいという向上心を持つことができました。1学期より内容が少し難しくなったけれど、良い意見が出るとその分達成感もすごかったです。
・どのグループとも意見が被らなくてみんな違う考えだったのがすごかった。グループが変わって、あまり話したことない子とかと話せたりしたのでよかったなと思いました。


マーケティングに触れたこともない子たちが、こうやって成長していきます。なぜできるのか、マーケティングとは「どんな誰は何をしてあげるとなぜ幸せになるのか」さえ追求すればいいからです。そして大人と違う発想は私のとてもステキな勉強になっています。

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