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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝ステキな舞台を2日続けて観た満足感!

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
80回目のコラムです。みなさん、Spinart動画部から配信しているCrazy NOVA's 【NO Vanity!(ノーバニティー)】はご覧いただいていますでしょうか? あらゆるジャンルのアーティスト・表現者のみなさんをできるだけちゃんと紹介していこうという番組です。
スピナート動画部
直近では、伊予水引金封協同組合アートディレクター・デザイナーで、武蔵野美術大学非常勤講師の、月岡彩さんをお迎えして第12回~第15回の4回にわたり配信しております。今回のコラムは、その月岡さんの夫である演劇集団円の御大:小川剛生さんの最新の舞台について記していきます。


■ 演劇集団円

総勢200名弱のとても大きな演劇集団です。小川さんの舞台はだいたい見ていますが、小川さんだけでなく円の役者さんの空間創り・表情創りを含めた演技力は本当にすごいと思います。ホームページから抜粋すると…。

特色は舞台、TV、映画、アフレコ等で活躍する俳優陣が充実しています。橋爪功さんを筆頭に、ヴェテランから若手まで、とても層の厚い劇団です。そして、公演レパートリーの幅広さと多様性。ラシーヌ連続公演、シェイクスピアならびにエリザベス朝劇の上演、チェーホフやイプセンなどの近代劇からハロルド・ピンター、マーティン・マクドナーなどの海外現代戯曲などの積極的な取り組み。別役実さん、太田省吾さん、岩松了さん、渡辺えりさんなど日本を代表する劇作家達から注目を集める若手劇作家まで、すべて書き下ろしにこだわり続け、意欲的に取り組んでいます。さらに、児童劇の分野に新生面を開いたこどもステージです。
故・岸田今日子さんの企画により始まった「円・こどもステージ」は、谷川俊太郎、佐野洋子、別役実、きむらゆういちなどによる書き下ろしにより、その作品数は30作品を超えます。良質の戯曲、音楽などが評価され、数多くの賞に選ばれ続けています。

円が目指し続けること。
それは東西を問わず、最大級の古典から今日の最新の作品までを広く視野に収めて、そこに通底するはずの真に劇的なものは何かを自由に柔軟に問い続けるということです。

と書かれています。


■ 小川剛生さん

数えきれないほどの舞台をしてきた小川さん。実は前述のアーティスト月岡彩さんを東京都港区の居酒屋で店長に紹介していただき、よく飲むようになり、それがきっかけで小川さんと知り合いました。小川さんは本業は俳優ですが、趣味でバンドのドラマーでもあります。DEEP PURPLEのカバーバンドをやっているのですが、何曲が歌ってほしいということで、年1回程度のライブに誘っていただきました。夫婦そろって素晴らしいアーティストなわけです。そして円の舞台は、海外の歴史、日本の歴史、空想の世界、現実の世界、頭の中の世界…と常に全く違うテーマの公演のため、常に新鮮なワクワクが止まりません。知り合ってからの公演はだいたい行っているのですが、毎回、感涙したり、感嘆したりの連続です。その活動は舞台を中心にしながら、TVドラマ、TVCM、映画、アフレコ、ラジオと幅広いものになっています。NHKの「平清盛」「軍師官兵衛」「花子とアン」や民放の刑事ドラマでもよく拝見します。新幹線eチケットのTVCM 乗り遅れますよ編などはもしかしたらみなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか? ほんとうに演技の達人です。


■ 幽月夜想にあたり

今回の舞台は、遊心社主催、演劇企画戯舎(あじゃらや)、下北沢の「劇」小劇場にて行われました。実は、cheerleadというタレント事務所があり、社長の小阪有花さんから若手俳優を鍛えたいという相談を受けていたため、私も小川さんに相談し、この舞台のオーディションを教えてもらい、チャレンジさせていただき3名が合格し奮闘しました。作・演出は、演劇企画戯舎の佐藤伸之さん、演劇企画戯舎と演劇集団円の役者さんが、8名で17役…すでに衝撃的なのですが、そんな中に若手も入れてもらえて、稽古では衝撃の毎日だったようですが、ほんとうに引っ張っていただきながら完走しました。当然、めまぐるしいストーリーを追いかけるのに観ている方も集中しますが、あまりにも感動したので、もう1日なんとかチケットを入手して2回観ることができました。2回目は、ストーリーを理解できているので、ベテラン役者の方々の、一挙手一投足、秒単位での表情の変化、身のこなしなどなど楽しむことができました。1日目とは違うゾクゾクがありました。表現者ってホントにすごいですね。そんなすごい役者の中で奮闘する若手!小川さんは、いつもの信頼関係のある役者だけでやっていくのではなくて、新しい血を入れて、その若手たちが変化していく、何かをつかんでいくことが大事とおっしゃっていました。自分たちの成功だけではなく、役者の世界や日本の演劇という視点を感じました。


■ 幽月夜想

作・演出の佐藤伸之さんが、20年前に執筆した作品だそうです。藤沢周平作品のように山形を舞台にし、泉鏡花作品のような和風ファンタジーを描きたくなり挑戦した作品とのことです。20年経って再びチャレンジですね。陶芸家の主人公が、母の記憶と父の行方を求めて東北の聖地出羽三山のひとつ月山の隠れ家にたどり着きます。そして、この世の者でもあの世の者でもない姉妹と会いながら、出生の秘密を不思議で因縁のあるストーリーで体感していきます。役者さんの背景に風景が浮かんできます。この世の者でもあの世の者でもない空間が日本にはあったのではないかと思えてきます。決まりを守ってきた者たちが、守る運命と壊れる運命を展開していきます。とにかく鳥肌のたつ圧巻の舞台でした。ほんとうに2回観てよかったです。3人の若手役者とも小川さんとともに話せる機会がありましたが、公演が終了したので、また時間を作りたいと思います。


マーケティングはお客様にヒアリングして、ステキなポイントや、不の部分を聞いて、それを進化させていきますが、エンターテインメントは、少し先・少しずらし、あるいは圧倒的な驚きや共感が必要な分、ロジックに加えて研ぎ澄まされた感覚のようなものも大切ですね。マーケティングとエンターテインメントは別物の様で、絡み合っています(そういえばローソン時代は、マーケティング本部長とエンターテインメント本部長が兼務だったので、とてもステキなかけ算がたくさんできました)。エンターテインメントを感覚だけで観たり、分析してみたり…とても充実した時間と空間でした。

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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