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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝遠州流茶道 伝統を正しく受け継ぎ新しい創造を加え発展していく茶道

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
81回目のコラムです。先日、友人(元リッツカールトンのソムリエ)のお招きで遠州流茶道の体験をすることができました。当日は、「人生がときめく片づけの魔法」で世界中から愛されている近藤麻理恵(こんまり)さんの会社の代表、SNSのコンサルや運用代行などをされているあの「せら課長」さんと私(風貌はヘヴィメタル)という異色な茶道体験でした(笑)。ご指南いただいたのは、遠州茶道宗家13世家元小堀宗実氏の次女小堀宗翔さんです。大変プロレス好きということで私も呼ばれたのかなあと思います。


■ 遠州流茶道

遠州流茶道は、江戸時代初期の大名茶人で総合芸術家として有名な小堀遠州を流祖とする日本を代表する大名茶道です。小堀遠州は、歴史の教科書に出てきますのでピンとくる方も多いのではないでしょうか。流祖以来440年の歴史を持ち格式ある茶道として、今日まで受け継がれています。
遠州流茶道の真髄は「綺麗さび」と称され「わび・さび」の精神に、美しさ、明るさ、豊かさを加え誰からも美しいと云われる客観性の美、調和の美を創り上げたことにあります。「思いやり」「もてなし」の心を大切にする今日の茶道の基礎となっています。遠州流茶道の理念は、「稽古照今」(けいこしょうこん)、古を稽えて、今に照らすという言葉に表現されます。先人が築き上げた伝統を正しく受け継ぎ現代に活かし新しい創造を加え、時代とともに発展していく茶道と、その心を育んでいくとされています。


■ 小堀遠州

近江小室藩主で江戸初期の大名茶人です。近江の国に生まれ、幼少の頃より父新介正次の英才教育を受け、千利休、古田織部と続いた茶道の本流を受け継ぎ、徳川将軍家の茶道指南役となりました。慶長13年(1608年)駿府城作事奉行をつとめ、その功により諸太夫従五位下遠江守に叙せられ、「遠州」と呼ばれるようになります。
生涯に400回あまりの茶会を開き、招かれた人々は大名・公家・旗本・町人などあらゆる階層に、延べ人数は2000人に及ぶとされています。書画、和歌にもすぐれ、王朝文化の理念と茶道を結びつけ、「綺麗さび」という幽玄・有心の茶道を創り上げました。
遠州は、後水尾天皇をはじめとする寛永文化サロンの中心人物となり、また作事奉行として桂離宮、仙洞御所、二条城、名古屋城などの建築・造園にも才能を発揮しました。大徳寺孤篷庵、南禅寺金地院などは、代表的な庭園です。美術工芸においては「中興名物」の選定や、高取・丹波・信楽・伊賀・志戸呂など国焼の茶陶の指導にも偉大な足跡を残しています。 また、中国、朝鮮、オランダなどの海外への茶陶の注文にも力を注ぎました。豊臣から徳川へという激動の時代を生き抜き、日本の美の系譜を再構築し、新たに近世初頭の明るい息吹と瀟洒を極める美意識を生んだ遠州は平和な時代へ向けて基礎を築きました。
まさに、アートディレクターであり、クリエイターであり、プロデューサーでもある秀才だったのでしょう。


■ 小堀宗翔さん

小堀宗翔さん。
遠州茶道宗家13世家元次女なのですが、元ラクロス日本代表というすごい一面もお持ちです。茶道の普及に努めながら2021年まで、ラクロスの選手としても活躍し、スポーツと文化の融合・発展、アスリートに向けたアスリート茶会など新たな試みで注目を集めてる若手アスリート茶人です。
学習院大学卒業後、内弟子として茶の湯の道にすすまれました。現在は自身の経験を活かし「茶道」と「スポーツ」の融合をテーマに幅広く活動中で、親しみやすいキャラクターで若手女性茶道家として各界より注目を浴びている。趣味は、ミュージカル観賞、プロレス観戦、サウナということで、早めについた私は早速プロレス談義になりました。共通の趣味は一瞬で距離を縮めますね。


■ アスリート茶会

メディアにも引っ張りだこの小堀宗翔さんですが、彼女が力を入れているアスリート茶会。ざっと列挙しますと、 アメリカプロラクロスプレイヤー、スタンフォード大学ラクロス部、ウインスロップ大学ラクロス部、プロレスラー ドリー・ファンク・ジュニア、アルムンドサッカースクール、プロゴルファー 天沼知恵子選手、日本水泳連盟「トビウオジャパン」、ボストン大学ラクロス部、NCAA全米ラクロスチャンピオン、シラキュース大学、ボクシング 村田諒太選手、全日本柔道連盟男子日本代表、ジュニアユースラグビー日本代表、ラクロス男子日本代表ワールドカップ壮行茶会、米プロラクロス選手、ビーチサッカー日本代表後藤崇介選手、柔道日本代表向翔一郎選手、ラグビー元日本代表廣瀬俊朗さん、プロサッカー那須大輔選手、NTTコミュニケーションズ 金正奎選手、元サッカー日本代表播戸竜二さん・石川直宏さん、アメリカンフットボール前田眞郷さん、新日本プロレス SANADA選手、ラグビーセブンス日本代表 園木邦也選手・日野レッドドルフィンズ藤田選手、フェンシング日本代表 西岡詩穂選手・久良知美帆選手、FC東京サッカー 丹羽大輝選手・橋本拳人選手、蒼開高校柔道部茶道体験、19歳以下ラクロス日本代表監督茶道指導、ラグビー女子冨田真紀子選手、水上スキー日本代表アジア王者 廣澤沙綾選手、競泳日本代表 塩浦真理選手、アメリカンフットボールオービックシーガルズ 李卓選手、ソフトボール上野由岐子選手、サッカー 横浜Fマリノス李忠成選手、扇原貴宏選手、喜田卓也選手といった幅広いアスリート茶会になっています。ドリー・ファンク・ジュニアさんというのが私のツボにはまりました!
集中力を高めることが重要な要素となるトップアスリートから求められていることが分かります。


■ いざ体験

遠州茶道宗家に到着しましたら、ステキで涼やかなお着物で小堀宗翔さんが現れました。最初からとても気さくに接していただきました。道具や所作について丁寧に意味や流れを教えてくださったので、なぜその形、なぜその動きというのがよくわかりました。アスリート茶会という発想もすごいなあと思っていたのですが、茶道そのものが戦国時代に必要なものであったわけです。集中力だけでなく、冷静な戦略マネジメント判断、また人払いをしているところでの戦術会議など必然であったこととかぶって聞こえてきました。
驚いたのは見学ではなくて「それではみなさんもお茶を点ててみましょう」という言葉でした。宗家からも「宗翔さんは、どんどんゲストにもやらせちゃうんだよなあ」と言われるとのことでした。伝統を知り伝統を重んじながらも、カジュアルに接してもらい、ひいては海外の方にも体感してもらう、そういった新しい進化を考えていらっしゃるのだと思います。みなさん、ステキに点てておりましたが、私のはちょっとロックな感じになってしまいました。反省反省。


先人が築き上げた伝統を正しく受け継ぎ現代に活かし新しい創造を加え、時代とともに発展していく茶道。
まさに納得がいく小堀宗翔さんの思いを感じられたステキな時間でした。
ご覧いただいているアーティストのみなさんも、伝統やルールの理解ともに、未来に向けての新しい進化にチャレンジされていると思います。ぜひ参考にしてみてください。

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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