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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝『妖怪魔混大百科』原画展に行ってきました

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
87回目のコラムです。『妖怪魔混大百科(ようかいまぜまぜだいひゃっか)』原画展に行ってきました。今回は、その様子と、著者東ちづるさんの活動についてレポートします。


■ 妖怪魔混大百科(ようかいまぜまぜだいひゃっか)

著名な女優であり、一般社団法人Get in touchの代表でもある東ちづるさんがコアな妖怪からメジャーな妖怪まで愛情いっぱいに描いて、自ら解説した『妖怪魔混大百科(ようかいまぜまぜだいひゃっか)』を出版しました。
ゴマブックス株式会社からAmazon POD(プリント・オン・デマンド)及び電子書籍で販売されています。表紙、大きさがお好みで選べる仕様になっています。オンデマンドならではですね。Amazonの朗読サービス「オーディブル」でも9月22日に発売されるとのことです。東さんが本書で解説したテキストを自身の声で収録しています。多様性にも配慮し、見えない人、読めない人にも楽しんでもらえるコンセプトになっています。
現代風にアレンジしたメジャーな妖怪から、オリジナル妖怪まで、61体を東さん自らが描き、社会風刺も交えながら解説したものになっています。本作での東さんの思いは、「『妖怪魔混大百科』では、表現と現実の多様さを楽しんでいただきたい。自分で生み出し描いた妖怪に、自分でオリジナル解説をつけて、自分で読む。広島弁や関西弁を話す妖怪もいます。それぞれの妖怪の特性にあわせたセリフ言い回しは、とても愉快でした! 視えない方にも、読みにくい方ににも、妖怪を妄想しながら楽しんで頂きたい」とのことです。
まさに東さんが提唱する「まぜこぜの社会」のコンセプトです。


■ Get in touch展と『妖怪魔混大百科(ようかいまぜまぜだいひゃっか)』原画展に行ってきました

2023年9月8日〜9月24日に、有楽町駅から新橋駅の高架下スペース「日比谷OKUROJI」にて、日比谷OKUROJI3周年記念イベントとして開催されていました。
誰も排除しない「まぜこぜの社会」をめざして活動してきた11年の軌跡を、吊るす・並べる・立てる・隠す、などなど、さまざまにまぜこぜに展示し、「まぜこぜ」の心地よさを、多様な妖怪たちと楽しむイベントでした。
差別のない、誰も排除しない社会を作ることを一生懸命進めている東さんですが、「人間が言うと角が立つけど、妖怪なら伝わる可能性が上がるかも」と笑顔でおっしゃってました。

以下が、ご挨拶文です。 
ニンゲン界にも“多様性を受け入れよう”というムードは広がってきましたね。ですが、自分たちとは違ったり、理解できない人を、遠ざけたり、認めなかったり、傷つける、という残念なニンゲンもいます。
自分と違う、理解できない、会ったことがない、得体が知れない.... 妖怪はその象徴かもしれません。
この展示会では、想像力の広がりと表現の多様さを楽しんでいただきたいと思っています。
誰も排除しない「まぜこぜの社会」は、全ての人にとって居心地がいいはずです。
だって、常に健やかな者(健常者)なんて、ニンゲン界にはいないのですから。
ニンゲンも、お互いの違いをおもしろがって、自分をおもしろがって、ハッピーに生きたいですね。

ゲストもたくさん、常に笑顔にあふれた会場の真ん中に東さんがいらっしゃいました。
ご招待いただいたのが、すてきカンパニーの鈴木社長、鈴木さんがサンリオの頃からの盟友です。私が常に発信に使う「ステキ」から社名を取っていただいたということで光栄に感じています。出版したゴマブックスは嬉野さんという元リクルートで、今はPODを普及されている先輩。ステキな人にはステキな人が集まります。


■ 一般社団法人Get in touchについて

2011年に活動をスタート。アートや音楽、映像、舞台などのエンターテインメントを通じて、だれも排除しない「まぜこぜの社会」を目指して活動中。4月2日の世界自閉症啓発デーを「WarmBlueDay」と命名し、企業・自治体などに「東京を青く染めよう」と呼び掛ける「WarmBlue キャンペーン」を展開するほか、マイノリティパフォーマーが集結する舞台「月夜のからくりハウス~まぜこぜ一座~」や、LGBTQ のリアルな声を集めた映画「私はワタシ over the rainbow 」、障害者アーティストのアート作品を社会とをつなげる「MAZEKOZE アート」など、コンテンツ多数です。「月夜のからくりハウス~まぜこぜ一座~」は、以前のコラムでも紹介させていただきました。東さんは、東京2020 オリパラの公式映像「MAZEKOZEアイランドツアー」の企画・構成・キャスティング・演出・衣装デザイン・総指揮を担当され、2023年にはTEDxKyotoにスピーカーとして登壇されました。以前のテレビ番組での取材体験からずっと支援されているドイツ平和村の映像を見ていてずっと注目していたので、前述の鈴木さんに紹介していただいたときは感動しました。


■ 4月2日は国連が定めた世界自閉症啓発デー!

東京都と、一般社団法人Get in touchは、この日を「Warm Blue Day」と名付け東京都自閉症協会をはじめとする発達障害の支援団体や協賛企業と協力し、2014年から「Warm Blue キャンペーン」を展開してきました。
以前は、東京タワーを青く染め上げるイベントも開催していましたが、コロナウィルス感染拡大予防の影響により、中止となったままのようです。しかし、「東京を青く染めよう!」「タイムラインを青でいっぱにしよう」を合言葉に、オンラインで今年もたくさんの方々とつながりたいと頑張っています。


■ 「世界脳性まひの日」

一般社団法人Get in touchは「世界脳性まひの日」を「Warm Green Day」とネーミングして活動をスタートしました。脳性まひのある方が話した、「自閉症啓発デーはあるのに…」の一言から、みんなで、ネットを検索し、当事者に話を聞き、レクチャーを受け、もっともっと知ってほしいということで今に至ったと教えていただきました。話すことが難しかったり、歩くことができず身体が自由に動かせなかったり、知的な遅れがあったりなかったり。脳性まひの症状や特性はさまざま。世界各国の脳性まひ支援コミュニティでは、10月6日を「世界脳性まひの日」とし、多様性を認め合える社会の実現を呼びかけています。「世界脳性まひの日」のシンボルカラーはグリーンです。


■ 東さんからのメッセージ

会場では、妖怪たちに託したいことだけでなく、こうした一般社団法人Get in touchの活動も熱心に伝えていただきました。まだまだ、知ってほしい方々がたくさんいます。

メッセージです。
いまの日本には、生きづらさを抱えている人がたくさんいます。
障害、病気、国籍……。“ちがう”ということがハンディになる、現実があります。
そのことが明らかになったのが、3.11東日本大震災でした。
社会が不安に陥った時、マイノリティがますます追い詰められてしまう……。
そんな、成熟していない社会は不安です。
「どんな状況でも、どんな状態でも、誰も排除しない、されない社会で暮らしたい」。
そんな思いを胸にスタートしたのが「Get in touch」の活動です。

“ちがい”をハンディにするのではなく、
特性としてアドバンテージにできる、“ちがい”をおもしろがる社会がいい。
すべての人がもっと自然に、もっと気楽に、もっと自由に暮らせる「まぜこぜ」の社会はきっと作れる。
Get in touchでは、アートや音楽、映像、舞台を使って、楽しく居心地のよい空間をつくることで、
まぜこぜの心地よさをPRしていく活動を行っています。

音楽や、アートは、さまざまなちがいを超えて、わたしたちをつなげてくれます。
ひとりで見る夢は妄想に過ぎないかもしれませんが、みんなで見る夢は現実になる。
この言葉を呪文のように唱えながら活動をしています。
ぜひ、一緒に現実にするべく、アクションをよろしくお願いします。


伝え続けること、ステキな人たちを巻き込んでいくこと、講演もアートもまぜこぜの社会を創るという軸のもとにあること、本当に素晴らしい人だと思います。改めて感謝!

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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