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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝小樽訪問〜エンターテインメントは地方を救えるか

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
93回目のコラムです。地方創生の商談で小樽に行ってきました。2泊3日でしたが、観光都市として成長していく課題がいろいろありましたので、記してみます。


■ 北海道にはエンターテインメントな仕事の記憶がたくさんあります

私は、ローソンに所属していた時は、エンタテイメント部長、日用品部長、そして、エンタテイメント本部長、サービス本部長、マーケティング本部長、商品本部長補佐、ローソンチケット社長と、たくさんの大役をさせていただきました。
ローソンと言えば、Loppi。Loppiといえば「水曜どうでしょう」。ローソンの北海道支社が北海道テレビ(HTB)の人気番組「水曜どうでしょう」を、DVDで独占発売していこうと交渉しました。当時は、ローソンは、エンターテインメントに詳しい人も少なく、担当のマーチャンダイザーが独断で企画したのですが、それが少し年月をかけて全国にとどろくコンテンツになりました。
その大泉洋さんをマネジメントするクリエイティブオフィスキューさんともチームナックスの公演や、所属するロックバンドのJAKE STONE GARAGEのサポートで協業しました。また、ローソンチケットの社外取締役もしていただいていた小島社長率いる北海道最大のイベンター株式会社WESSの大きなフェス「RISING」も大事なコンテンツでした。このコラムでも紹介したことがある世界をメイクで幸せにするメイクスマイルアーティストのミワンダフルさんも北海道出身。そして、ミワンダフルさんに紹介していただいた初音ミクのライセンサーのクリプトンフューチャーメディアさん。雪まつりにて雪ミクメイクを展開しました。北海道のエンターテインメント業界は、みなさんつながっていて北海道から東京へ、そして世界への発信を続けています。


■ 小樽に行きました

商談で行ったのですが、街の課題も感じようと少し余裕があるスケジュールで回ってみました。
小樽と言えば、小樽運河クルーズ、北一硝子などのガラス細工店、漁港直送の寿司屋通り、北のウォール街と呼ばれた金融の重厚な建物の数々、ちょっと余市まで足を延ばして、ニッカウヰスキーの原点である余市蒸溜所などが浮かんでくると思います。人気のメインスポットは、北一硝子や大正硝子館や、多くの海鮮丼の店舗が立ち並ぶ堺町通り。古くからの伝統も生きているが、新しいアートのチャレンジも見受けられました。小樽駅からは10~20分のところですが、日中、この通りだけが人が多く、それ以外については、人影のない通りばかりという印象でした。途中にアーケードの商店街があるのですが、金曜日・土曜日・日曜日と見てみましたが、ほとんどの店がしまっており、商店街の体はなしておりません。近隣の南小樽に大きなショッピングモールができたことで、地元の方々も来ていないのではないかと感じます。メインの堺町通りも夕方が近づいてくると閉まる店も多く小樽駅に向かう人の流れが確認できました。つまり、小樽観光に来た方は、多くの方が札幌に戻って宿泊する傾向があるのではないかと思えます。


■ 似鳥昭雄会長の思い

みなさんもよくご存じのニトリやツルハドラッグ。北海道の有名企業です。創業者の似鳥昭雄さん、鶴羽勝さんの苗字が全国に広がって多くの方の生活を助けています。
家具・インテリア製造小売り最大手のニトリホールディングスは、小樽市に「小樽芸術村」をオープンしました。日本を代表する流通業となったニトリの似鳥昭雄会長の思いは、ここまでなれたのは北海道の皆さんが買ってくれたから、その恩返しをしたいと常々思っていたので、『北海道応援基金』や『公益財団法人似鳥国際奨学財団』などを設立してきましたが、芸術村も北海道への社会貢献との位置づけ、経営に役立てることは考えていないという言葉がありました。旧高橋倉庫を『ステンドグラス美術館』、旧荒田商会を『アール・ヌーヴォーグラス館』としてオープンして以来、3館目となります。来館者数は1年で10万人強、小樽にある施設の中では1番の来館者数で、2位は小樽水族館、3位は小樽運河だということです。さらに、旧三井銀行小樽支店を小樽を代表する歴史的建造物の一つとして公開、旧北海道拓殖銀行小樽支店を修復し、アール・ヌーヴォー・アールデコのグラス類と所蔵する絵画・彫刻を一堂に集め、『似鳥美術館』として公開した。旧荒田商会は『小樽芸術村ミュージアムショップ』へと進化させました。年間30万人を集める施設にしたいと注力しています。
似鳥さんは、札幌と小樽が一体になって観光振興を図るべきだと考えていて、複数の周遊ルートを作り、観光客に提案してはどうかと両市長にも話しているとのことです。両市は知名度こそあるが、観光資源は多いとはいえない。単独での集客には限界もあり、足並みをそろえて観光客を呼び込む努力をすべきであるとの考え方です。北海道観光全般に言えることだが、素材に頼り過ぎて工夫が足りない、観光に携わる人はもっと知恵を出し合うべきだとコメントされています。観光で有名な札幌と小樽ですが、似鳥さんのコメントそのままを感じてきました。


■ 札幌ライブバー「CROSS ROADS」

私は小樽に2泊したのですが、札幌に来たら必ず寄っているライブバー「CROSS ROADS」に行こうと、電車で40分かけて札幌に行ってきました。飲みに行っても戻れてしまう距離というのが、良いところでもあり、宿泊の課題でもあるのかなと思います。「CROSS ROADS」は、6回ほどステージでオールドロックを演奏してくれるバーです。ローソンチケット時代は、札幌に来るたびに訪問したライブバーで、前述のフェスの「RISING」のときは、出演バンドとともに訪問したものです。
行ってみるとなんと「25年間ありがとう、12月30日 CROSS ROADSは閉店します」のポスターが…。来てよかったという思いと寂しい気持ちが沸いてきました。DEEP PURPLEの「BLACK NIGHT」を聞いて帰途につきました。帰り際に、「今の名刺ください」と言っていただき、また新たに営業することを期待して帰りました。ミュージシャンが店員なので、ハイボールをお客様に出しながら、その足でヴォーカルにつくということを当たり前にやっていましたが、私のように十分に準備しないとできない者と違いすごいなあという不思議な感情ともに(笑)。


地方創生という言葉がたくさん聞かれます。地元の人も頑張っています。残念ながら、東京の代理店が入って体裁だけ整えて終わっていたり、ECやりましょうと言ってサイトは作るものの誰にも伝わらなかったりということも散見されます。Spinartの動画番組「CrazyNOVA’s NOVANNITY」でも紹介した伊予(愛媛)水引の世界を広めている月岡彩さんのように、都市のデザイナーと伝統工芸士をコラボさせていくとか、海外のアーティストとコラボをして新しい顧客層にアプローチするとか、海外の日本マニアをターゲットにするなど自分たちだけで考えないことも大事そうです。地元のステキに、エンターテインメントの力で、セオリーだけではないストーリーを創って、わざわざ行きたい居場所にしていく。そのためにアーティストの力、イベンターの力、地元の力がコラボしていく姿が浮かんできます。まだまだやれることがありますね。みなさんの活動にも注目していきます。

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