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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝ハードロック/ヘヴィメタルバンドが押し寄せる

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
96回目のコラムです。1月の後半から2月の前半にかけてハードロック/ヘヴィメタルバンドの懐かしい来日が相次ぎました。Y&T、The Darkness、Kreator ×In Flames、EUROPE。ハードロック/ヘヴィメタルといっても時代やジャンルで客層もそれぞれ。私も還暦まじか、80年代をハードロック/ヘヴィメタルで過ごした者ですが、現在も聴き続けています。ちょっとだけレポートしてみましょう。


■ Y&T 50th Anniversary Tour in Japan@クラブチッタ 1月21日

アメリカのハードロックバンドです。1972年頃からオークランドで活動を始め、1974年にバンド名Yesterday & Todayとして正式に発足。ヴォーカル、リード・ギターのDave Menikettiを中心としたバンドです。バンド名はBeatlesのアルバム『Yesterday & Today』に由来しています。王道ハードロックですが、LAメタルの影響が強くなった時期もありました。1990年解散しましたが、1995年、さらに2001年に再結成。メンバーの死去も続き残るオリジナル・メンバーは、Dave Menikettiだけとなっています。そして今回は結成50周年の来日となりました。
Dave Menikettiは、1953年生まれですから70歳を超えています。LAメタル風の時から比べればだいぶ大きくなってらっしゃいましたが、ギタープレイと歌声は健在。クラブ・チッタでは珍しくスタンディングではなく指定席構成でしたが、同世代の方々、イス席の方が良いなあという印象。オールドファンの思い出のような開演前の雰囲気でした。指定席構成としては満席状態で、久しぶりのY&Tを堪能する準備満タンですね。「みんな立つのかな?」と思っているとオープニング・ナンバーの Open Fireとともに総立ちに。みんなまだまだ若い。新曲があるのかどうかわかりませんが、ベストヒット公演で、こんなにヒット曲があったんだと思い出しました。およそ2時間半のライブ、疲れも見せず、そして超絶ギターソロのすぐ後に力強い声でヴォーカルに戻るデイブを堪能できました。変わらない歌声に大満足で帰途につきました。


■ EUROPE The Time Capsule 40 Years Japan Tour 2024@東京ドームシティホール 2月2日

The Final Countdownの世界的なヒットで有名な北欧メタルの始祖ともいわれるスウェーデンのハードロックバンドです。1992年から長期にわたり活動を休止するが、2003年から再始動しています。昔から北欧メタルの叙情的なメロディは日本人の心を揺らすと言われています。そのJohn Norumのギタープレイに、Joey Tempestのハイトーン・ヴォーカルが加わり数々のハードロックバンドに大きな影響を与えてきました。
世界的に売れていたEUROPEは、音楽性がポップ化し、Bon Joviからもライバル視されていましたが、疑問を感じたJohn Norumが脱退しています。その後もヒットを続けますが、ハードロック路線への回帰を図ったタイミングで失敗し1991年事実上の解散となります。1999年、スウェーデンで一回限りの再結成ライヴの後、時間をかけて再結成となりました。今回、デビュー40周年を記念したライブ・ツアーとして日本公演が、これまでに発表してきたスタジオ・アルバム11作からのヒット曲を盛り込み、2部構成で実現しました。ハードロックバンドには珍しく、歴史を語ったインタビュービデオや、途中の20分の休憩が入る構成でしたが、EUROPEの40年を存分に感じられる3時間でした。私は東京ドームシティホールの2階バルコニーでしたが、総立ちのアリーナとは違い、非常に見やすく座ったまま堪能しました。Joey Tempestも衰えのないエモーショナルな歌声で、超絶なJohn Norum、各メンバーの円熟した安定感のある完璧な演奏で、大満足のライブでした。
こんなにヒット曲、シングルカット曲の多いスーパーバンドだったんだと改めて感じました。ファンのみなさんも顔も高揚していました。ラストソングはもちろんThe Final Countdownでしたが、ここで1階から3階まで総立ちの大合唱となりました。メンバーの日本ファンへの感謝もとても感じられました。


■ The Darkness Permission to Land 20 Tour In Japan@Spotify O-EAST 1月23日

イングランドのロック・バンドです。ハイトーンボイスを多用したヴォーカルJustin Hawkinsの個性的な歌唱法とパフォーマンスや、1970年代風のハードロック・スタイルが特徴のグループです。2003年、デビュー・アルバム『Permission to Land』が全英アルバムチャート初登場2位にランクインし、注目のデビューでした。大活躍でしたが、2006年、Justin Hawkinsが薬物問題とその治療のため事実上の解散となっています。2011年、バンドは公式に再結成を発表。同年に行われたダウンロード・フェスティバルへ参加し、さらにLOUD PARK11にて来日もしました。
今回のツアーはデビュー・アルバム『Permission to Land』発売20周年を記念したワールドツアーの一環で、彼らの来日は2011年以来13年ぶり、単独の来日公演はなんと2006年以来18年ぶりの一夜限りのスペシャル公演でした。前述の2バンドに比べると少し若いバンドで、私は名前は聞いていましたがそんなに気にしていなくて今回は友人の誘いで行くことができました。
Justin Hawkinsは、Aerosmith、Queen、AC/DC、Def Leppard、The Cultなど1970~1980年代のロックンロールの影響を自ら語っており、とくにAerosmithのSteven Tylerのセクシーなパフォーマンスを強く感じさせる自由な天才ロックンローラーという印象でした。楽しいロックンロールショーと他のバンドメンバーも戸惑う自由なパフォーマンスを存分に楽しみました。行ってみるもんですね。


■ Kreator ×In Flames:KLASH OF THE TITANS 2024@EX Theater Roppongi 2月1日

スウェーデン発メロディック・デス・メタルの開祖In Flamesと、ジャーマン・スラッシュ・メタルのベテランKreatorがカップリング来日しました。昨年3月にLOUD PARK 2023で驚異のパフォーマンスを見せたKreator、2016年のKNOTFEST以来となるIn Flamesという強烈な待望の来日でした。とくにKreatorの最新アルバムは私個人としても絶賛する内容で、その楽曲を楽しみにしての参戦でした。
私はまだCD現物を買う派ですが、ベテランバンドの新作の過去作品と比較した音質の良さは心地よいです。昨年も、Kreatorにとどまらず、Machine Head、Accept、KKs Priest、Overkillなどのベテランの新作の音の厚みに感動しています。


■ In Flames

スウェーデン出身のヘヴィメタルバンドです。スピード・メタル、スラッシュ・メタル、デス・メタル/グラインドコアと、80年代を通じ際限なく過激化していったヘヴィメタル界だが、90年代に入るとブラック・メタル、メロディック・デス・メタルと、エクストリーム・メタル界にメロディの復権が起こった。そんなメロディック・デス・メタルの震源地となったのが、スウェーデンのイエテボリであり、このIn Flamesが、At the GatesやDark Tranquillityらと共に、新たな音楽スタイルの礎を作り上げました。このジャンルにとってはなくてはならない存在です。だいぶメンバーチェンジを繰り返していますが、メロディック・デス・メタルの本質からぶれることなく活動を続けています。
躍動するライブでしたが、もう少し客の入りは欲しかったというのが本音です。スラッシュ・メタルやデス・メタルのバンドは、メタルフェス系にもたくさん来てくれますが、オールドメタルから聞いてきた人間にとっては、派生なのか進化なのか、その進化の過程を探るのも楽しみにのひとつです。


■ Kreator

ドイツのスラッシュメタル・バンドです。ドイツスラッシュ・シーンの草創から活動しており、日本ではSODOM、Destructionと並ぶジャーマンスラッシュ三羽ガラスと称されています。80年代にリリースしたアルバム群は、単なる名盤というだけでなく、後続のデス・メタルやブラック・メタルにも大きな影響を与え、エクストリーム・メタルの流れを変えたバンドです。2022年に5年ぶりとなるニュー・アルバム「Hate Über Alles」をリリースし、その中からMVとして世に出た「Strongest Of The Strong」が私の現在の一番お気に入りです。昨年3月にLOUD PARK 2023では前方に陣取ったものの、なんとこの曲をやらなかったという唯一の悔しさがありましたが、今回は時間も十分で聞かせてくれました。
2バンドのカップリングでしたが、もう少し観客の入りがあってもよかったかなあという思いはありましたが、多くのバンドが日本公演を楽しみにしてくれているのもわかりました。日本のファンは騒ぐためだけでなく、音楽を理解し、曲の世界観を知ろうとする民族のようにとらえてくれていて、ハードロック、ヘヴィメタルなのに、ステージには笑顔と感謝もあらわれる空間でした。好きなアーティストが自分の心の居場所を創ってくれる、そんなことを感じた時間でした。リフが私の居場所です!

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