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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝シンディ・ローパー 究極のアートとミュージックの融合がこれだ!

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
126回目のコラムです。シンディ・ローパーの6年振り、通算15度目にして最後となる単独ジャパン・ツアーに行ってきました。日程は、4月19日大阪・Asueアリーナ大阪、4月22日・23日・25日東京・日本武道館。私は4月22日に行きました。普段は本当に偏っていてヘヴィメタルのライブにしか行かないのですが、80年代最大のポップ・スターのフェアウェルツアーということで見ておこうかなという気分で、いつものヘヴィメタルライブ参戦仲間4人で行ってきました…が、全員があまりにも感動した体験となりました。


■ 日本を愛するシンディ・ローパー

1曲目は「She Bop」、大興奮のスタートでしたが、曲が終わると日本語で「コンバンワ、トーキョー」。そして、「最初に日本に来たのは1983年。武道館で初来日公演を行ったのは1986年。「True Colors」を初めて皆さんが私に歌い返してくれたあの瞬間、皆さんのことが大好きになりました」と話し始めました。一言一言を大事に。文章を細かく切りながら通訳さんに日本語で話させます。英語が分かりすぐに反応する人もいるのですが、盛り上がる雰囲気ではなく、特別な気持ちを日本語で全部伝わるようにと通訳さんに振りながらじっくりと話していきます。そして、東日本大震災に触れます。
2011年3月11日、東日本大震災の当日にツアーのため来日。彼女の乗った飛行機は閉鎖のため成田空港に降りられず、横田基地に緊急着陸しました。ほとんどのアーティストの来日公演がキャンセルとなるなか、シンディは、3月15日の名古屋公演から予定通りコンサートを敢行。
「日本のファンがあの日、私に歌ってくれた「True Colors」は力強かった。もし私がここで日本から立ち去ってしまったとしたら、ほんとのところ「True Colors」はいったい何を意味したというのか。あのとき日本が私に心を開いてくれていたというのに。だから私が日本にとどまってパフォーマンスをすることで、元気を出してもらいたかった。」
この言葉は、自伝のなかで語っているそうですが、再度ゆっくりとこのことを私たちにステージから伝えてくれました。通訳を待つ間もなく、ファンはもう泣いていました。でも、繰り返しますが、日本武道館の人全員に必ず伝わるようにという思いで、通訳さんを入れていることが強く印象に残りました。みなさんもこのことは記憶に残っているのではないでしょうか?


■ アートとミュージックの融合

ステージのスクリーンにシンディのこれまでの軌跡が映し出され、7色のレインボー・カラーの紙吹雪が舞うと、シンディがステージに登場します。3曲目のプリンス作のWhen You Were Mineではスクリーンがパープル・カラーに染まる。
「音楽とアートが一体となったステージをみんなで創りあげたいの。」
という言葉と共に、1曲ごとに、色を変えていくステージ・ライト、そして背面のスクリーンがさらに繊細に大胆に楽しませてくれました。
アートとミュージックの融合が感動の形で展開されていて、コンサートなのに美術展に来ているような錯覚すら感じました。
終盤には、シンディがライト点灯したスマホを掲げ、観客にこちらを照らしてほしいとに促します。
「忘れないで、自分が光を灯すことができるってことを。」
雰囲気でもわかるもののこの同時通訳がかなり心に来ます。シンディだったらこういう口調だなっ…というのも意識されていました。
日本武道館中がスマホの光に包まれて「Time After Time」。もはや恍惚でした。アンコールでは、ファンに直接触れるスペースをハイタッチしながら通り、アリーナ中央に設けられたサブステージまで行くと、「True Colors」。手にしたレインボーのストールが、下からの風になびいて武道館の天にに向かって舞い始める。ラストは、「Girls Just Want To Have Fun」。スクリーンには赤の水玉模様の草間彌生さん。バンド全員がいつの間にか、彼女のトレードマークでもある赤の水玉模様の衣装に着替えていて楽しさが溢れるステージ。曲が終了後、先ほどの通訳さんを呼び出すシンディ。通訳さんも赤の水玉模様の衣装を着ている。アートとミュージックの融合を創造している仲間なのだ。これがシンディ・ローパー。


■ シンディ・ローパー72歳

最高にステキなアイデアと、最高にステキなバンド、コーラス。そして、最高にステキなパワフルな歌声。72歳です。なんの衰えも感じませんでした。数曲ごとに衣装もwigも変えるのですが、飽きさせないようにドレッシングルームにもカメラを入れて変身の様子を見せてくれました。急いでいるのに、ボーイが「ピザ食べますか?」と持ってきて断られるシーンを2秒入れる茶目っ気…みんなを楽しませる天才です。どのタイミングでピザを差し出すのか…彼はめっちゃシミュレーションしていたことでしょう。その2秒のために。飽くなき音楽探求を続ける非凡なミュージシャン。ジェンダー平等やLGBTQ+コミュニティに寄り添う提唱者として活動を続けるアーティスト。プロレスのWWEのセコンドに上がったこともありました。見ておこうくらいの気持ちでしたが、「ステキな世界」を創るとはこういうことなのか! これがショーなのか! と感動したまま帰路につきました。まさにアートとミュージックの融合。ありがとうございました。

興味がある人のために、4月22日のセットリストを載せておきます。
01. She Bop
02. The Goonies 'R' Good Enough
03. When You Were Mine
04. I Drove All Night
05. Who Let in the Rain
06. Iko Iko
07. Funnel of Love
08. Sally's Pigeons
09. I'm Gonna Be Strong
10. Sisters of Avalon
11. Change of Heart
12. Time After Time
13. Money Changes Everything
アンコール:
14. True Colors
15. Girls Just Want to Have Fun

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