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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝トッププロレス団体の相次ぐ大物選手の退団・引退 危機か新陳代謝か

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
127回目のコラムです。GWはなにも予定を入れてなかったので、どの団体も力を入れて開催しているプロレス興行を観に行くことにしました。


■ GW中に観に行った興行

4月27日、スターダム@横浜アリーナ。
4月28日、大日本プロレス@後楽園ホール。
4月29日、センダイガールズプロレスリング 里村明衣子引退興行@後楽園ホール。
5月7日、タカタイチ興行(新日本プロレス)@後楽園ホール。
そして、新日本プロレスのビッグイベント、5月3日・4日レスリングどんたく@福岡国際センターはニュージャパンプロレスワールド(有料配信チャンネル)にて観ました。大日本プロレスは、5月5日の横浜武道館大会というビッグマッチの前哨戦。この時期は各団体とも力が入っています。同時に関東近辺に人がいないこともあり、集客のために早々からアプローチしていました。


■ スターダム相次ぐ大物の引退・退団

スターダム横浜アリーナ大会のメインイベントは、絶大な人気を誇る中野たむvs上谷沙弥。
ヒール(悪役)に転向した上谷選手と、世界のアイドル中野選手の抗争の決着戦で、「負ければ即引退」ルール。観客数は、スターダム史上最多の7503人。どれだけの関心かがわかります。
疑問もあります。絶大な人気の二人が負ければ引退のビッグマッチという話題、しかし絶大な人気の中で、これからの女子プロレスのトップの1人が引退する意味は何なのか? それがプロレスということでいいのか…。
壮絶な試合の末に上谷選手が勝利。中野たむ選手は引退となります。次にやりたいことがあるのか、未練はないのか、ファンは置き去りになっていないのか…。プロレスらしく、これから何が起こるのかに期待したいと思います。
そしてIWGP女子王座をかけたスターダムのアイコン岩谷麻優vs朱里の試合。
IWGP(という新日本プロレスのアントニオ猪木が創り出した世界一の称号)なくして自分ではないという岩谷選手が防衛に失敗。翌日には、「やるべきことがなくなった」と退団。そして全日本女子プロレスの推進者で、スターダムの生みの親、そしてスターダム選手の引き抜きで契約解除されたロッシー小川が立ち上げたマリーゴールドに入団宣言。
これは決まっていたことかなとも思いますが。そして観客動員に苦労していたマリーゴールドに早くも岩谷選手が5月4日に登場することが発表されるや否や、チケット完売。
裁判沙汰になりそうなくらいいろいろ問題が起こりそうな流れですが、これをクリアしていくのもプロレス界。そして女子プロレスも、活躍した選手が、次に海外移籍というケースも増えており、そこにも関心が集まっています。


■ ブシロードなくして今はなし

プロレス団体は経営能力があまり高くなく、過去何度も危機を迎えています。そんなときに新日本プロレス、スターダムを買収し、躍進の土壌を作ってくれたのがブシロードです。同じように、プロレスリングノア、DDTプロレスリングはサイバーエージェントがコンテンツとして手を差し伸べてくれました。リアルイベントが最も大事ですが、配信による規模拡大、そして世界へ…という流れは、このような会社がなければ実現しません。
マリーゴールドは、すでに林下詩美選手など大物選手をスターダムから引き抜き(一応合意の上とはなっています)、上述のように岩谷選手が移籍します。軌道に乗せてもらった感謝よりも自分らしくデザインしたい欲望優先という風に見えてしまいます(私見)。選手たちにとってはお世話になった思い入れの深い方でもあり、ブシロードに感謝しつつも、最終的には自分が選択したこと。過去を振り返っても、引退撤回、裏切り、出戻り、解雇された他のスポーツ界の人の参戦など、これがプロレスとも言えます。新陳代謝ともいえるのかな。選手たちの今後の活躍や、ストーリー創りに注目しましょう。


■ 新日本プロレスは、棚橋引退、内藤、BUSHI離脱

アメリカのプロレスはWWE一強です。しかし近年、AEWという団体が頭角を現してきています。トニー・カーンという大富豪が経営していますのでギャラも高額です。あのオカダカズチカ選手も移籍しました。WWEにしろAEWにしろ、日本とは違って女子プロレスという団体はなく、1つの興行の中に男子プロレスも女子プロレスも混合プロレスもある感じです。日本で活躍した外国人プロレスラーのAEWへの移籍も目立ってきました。ギャラという面もかなりあると思います。また、家族とともに暮らすという大事さもあるでしょうか。
棚橋選手は現在、新日本プロレスの社長でもあり、選手活動には区切りをつけるということで来年の1月4日東京ドーム大会にて引退することをすでに宣言しています。
また、人気・実力・物販ともに最強のユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の内藤選手・BUSHI選手も契約更改しないことが発表されました。ファンはがっかりしています。こちらは体のメンテナンスの上、また闘いの場所を求めると宣言しています。いずれにしても大きなコンテンツですから影響は大きそうです。
しかし、ここは新世代のレスラーたちにとってはチャンス。新世代が時代をつかもうとしていて、ファンが感動するパフォーマンスが一気に増えています。


■ 団体で見るか、プロレス全体で見るか

ジャイアント馬場、アントニオ猪木のころのプロレス団体には、バックに日本テレビとテレビ朝日がそれぞれついており、交流は阻害されていました。今と違って、番組で他局の番組タイトルを言うことなどご法度の時代でした。NHK紅白歌合戦では、山口百恵が「走りすぎてく真っ赤なポルシェ→クルマ」庄野真代が「そんなジタン→タバコ の空箱」と会社名や商品名を言わせないこともルールでした。
今のプロレス界は、交流や対抗戦などはOKになっていますので、プロレス界全体で見れば、ワールドワイドで見れば…またワクワクした闘いが見れるという視野もあってもよいかなと思います。

上場企業がプロレス団体をマネジメントすることで、経営が安定し、品質が向上し、配信やワールドワイドな活躍が担保されます。まさにブシロードやサイバーエージェントのおかげなのです。
一方で、プロレス界はいかがわしさもネタにしてきたし、また、選手たちはピュアな精神や、ファン思いのパフォーマンスも大事にしてきました。
管理とパフォーマンス、ステキに補完し合えばよいのですが、齟齬も生じます。
「会社はプロレスをわかっているのか」「会社は選手を商品としか見ていないのか」。管理側にも言い分はあるでしょう。昔はそれは表に出ることはありませんでしたが、SNSの時代、すべて表に出てしまいます。選手が自分流に発信をしてしまいます。しかし、SNSによる発信は会社が推奨していることでもあります。一般企業のような会社の一枚岩感を持つこととは少し違う側面もありそうです。

今日記している新日本プロレスとスターダムというトップ団体。トップレスラーが去っていく。そこにしのぎを削って若手レスラーがトップを狙っていく。この新陳代謝をステキなストーリーに仕上げていく。これこそ経営ですかね。「柱がいるから安心」から「筍のように生えてくる若手が柱になって行く」ことが永遠に続く姿を楽しみたいですね。
プロレスに勇気と自信をもらって今がある私としては、もちろん永遠に応援し続けますが、ファンの心を揺らすパフォーマンスと紆余曲折のうえでのステキなストーリーが大事だと思っています。これからも予想を超えたステキをよろしくお願いします。

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