Logo Mark連載記事

Logo Markなにか創るとうれしくて効果的なアーティスト写真について考える

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者


1966年、栃木県生まれ。

株...

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 アーティスト写真…音楽系アーティストのみなさんにとって、実は最初に出逢っていただくツールとしてはもっともポピュラーなものかもと思います。で、たいていはポートレイト写真と相場が決まってますよね。だから実は、他のアーティストさんとの違いを出すのがけっこう難しいものなんじゃないかなぁと思ったりもします。
 だって、例えばバンドだったら、メンバー全員が横に並んで、はい顔決めて〜パシャリ…って感じじゃないですか? よほど顔に特徴があるとか、衣装をはじめとするビジュアルそのものの世界観がゴリゴリにあるという場合を除けば、これで違いを出せってけっこう難しそうですよね。当然ですが見る方もそれはきっと感じていて、多分大方の場合、そのアーティスト写真を覚えているということはほぼないと思います。「あ〜4人のバンドなのねぇ〜」くらいかなぁと。
 でもそれだと、例えばYouTubeに公開しているMVを見てもらうとか、SoundCloudに上げてある試聴曲を聞いてもらうとか、つまりはそこから先のアクションに進んでもらうなんて、なかなかやってもらえそうもありませんよねぇ。せっかく目に触れる機会があったのにちょっともったいないということになりそうです。
 じゃあどうしましょう…ということで、いろいろ考えてみたいと思います。

 まずはどんなことをその一枚の写真から伝えるかを考えて撮りましょう…というのが第一歩かと思います。
 さっき書いたように、衣装やビジュアルに世界観がゴリゴリある人というのは、その時点で見せ方ということについてだいぶ考えているということになりますから、もうそれを思い切り表現すればいいと思いますということなんですが、じゃあそうではないタイプの方の場合はどうすればいいかと言えば、実は基本的な考え方はそういう方々と原則的に同じだと思うんです。

 まず自分の音楽スタイルを伝えられるビジュアルとはどんなものかと考えるということですね。
 これは自分たちの音楽が持っているジャンル的な背景や、表現している歌詞世界なんかがヒントになると思います。
 例えば、癒やし系なら工場や廃屋では撮らないよねとか、ゴリゴリのメタルなのに妙に牧歌的な自然の中というのもどうかと思うよねとか、ちょっと考えると、「いやいやそれはないでしょ〜」的に思いつくことはたくさんあると思います。
 これはNGな例から逆に考える方法ですが、これを正攻法で考えれば、例えば歌詞世界がかなり等身大の日常にあることが多いなら、大袈裟な作り込みをするよりも、その歌詞世界に近い背景を考えてそこで撮るのがいいと思いますし(例えば歌詞世界に出てくる人が生活していそうな街中や部屋とか)、また、着ているものも、その世界に合わせたものを着るのがいいと思います…というようなことなんです。
 もしそこになんらかフックになるもの(例えば強烈な皮肉やネガティヴな要素など)があって、一概に等身大の日常なんて言えないという場合は、画面の中にワンポイント、なにかそれを臭わせるような要素を入れるという手法も面白いですね(そういったネガティヴなものを連想させそうな小道具とか色合いとか)。
 なんて感じで、自分たちが表現しようとしている音世界は、どのような場面にあることがフィットするかなんて感じで考えていくのもいいかもと思います。

 ここでさらにもう一つ。以前「自分の色を決めてみよう」という文にも書きましたが「色」を意識してみましょう。
 自分たちの基本色を決めるんです。そして、基本的にその色のものを着て撮るとか、そういったものがたくさんあるところで撮るとか、写真の色味をその色に寄せるとか、そういったことをして、色調そのものが自分たちを代表する、印象づけるものになるようにするといいと思います。
 もちろん、その他のPR物…ロゴとかサイトの基本色とかフライヤーの基本色等々、すべてをその色に統一する方がより効果的だと思いますよ。
連載記事・自分の色を決めてみよう

 あとは、まぁこれは必須ではありませんが、もし誰かを押し出すことでより記憶に残せるというような戦術を取るのであれば、写り方の強弱をやや極端につけるというのも手です。
 これは構図の工夫ということになりますが、まぁ基本は前面に出て顔となるヴォーカリストを押し出しておくと、結局はライヴでもその布陣になることが多いわけですから一番効果的ということになるかもしれませんね。特殊事例としては、とんでもなくすごいギタリストがいて、そちらのインパクトの方が強いということであれば、ギタリストが押し出されているような感じで撮影してもいいかもしれません。
 とにかくこれは、自分たちの見た目として、どこが一番ハイ・インパクトなのかを考えるとよろしいかと思います。

 ということで効果的なアーティスト写真撮影。是非頑張ってみてください。

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※ちなみに写真はホノルルのハードロックカフェで撮った一枚。
 まぁこれは撮影技術云々よりも、入口すぐにこのすごいオブジェを作ったハードロックカフェのインテリア担当(なんて人がいるのかどうか知らないけど)がすごいですなぁ。
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 50D + Sigma 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM / EX DC

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うまいなぁと思う例(1) - アパッチさん

 色味、着てるもの、持っている楽器、そしてそれぞれのポーズや表情。写っているあらゆるものがホントにうまくアパッチさんの音楽世界を表現してると思うんですよ。
 これでキャッチコピーが「誰もが聴きやすいカジュアルなロックンロール、ロカビリー」ですもんね。もうバッチリ。だから忘れないし、もう一度見た時にちゃんと記憶に残ってるんだと思うんですよね。
 とってもいい例として、参考になると思います。

・アパッチさんのアーティスト紹介ページはこちら。
 アーティスト紹介・アパッチ

うまいなぁと思う例(2) - Sellaさん

 こちらも、写っているあらゆるものが、ちゃんとSellaさんを表現してますよね。構図や表情の作り方がさりげないのも、Sellaさんたちの音楽世界にちゃんと結びついていると思います。
 背景の選び方や着ているもの、持っている楽器が実際の楽器をデフォルメしているところだったり、その楽器の色等々も、ホントによく考えてるなぁと思います。

・Sellaさんのアーティスト紹介ページはこちら。
 アーティスト紹介・Sella

うまいなぁと思う例(3) - eastern bloomさん

 こちらはもうやっている音楽の個性が、歌っている表情や持っている楽器からも表現されている一例と思います。また、やはり撮影した場所のチョイスもバッチリ。そして実は、つけているアクセサリーもけっこう効いていると思います。
 eastern bloomさんはご夫婦でやっているユニットなんですが、その素敵な関係性も見えてきそうですよね。

・eastern bloomさんのアーティスト紹介ページはこちら。
 アーティスト紹介・eastern bloom

最後に…恥ずかしながら若かりし頃の自分たちの写真です

 こちらは恥ずかしながら自分たちが1999年までやっていたクリムゾン・シャアというバンドのアーティスト写真。「Player」「ロッキンf」「Shoxx」「バンドやろうぜ」等々の音楽雑誌に載ったのはほぼこの写真だったかも。今の自分とはあまりに違うのできっと結びつくまいとも思ったりして出しちゃってみました。
 プリント写真のスキャニングなので状態は悪いですが、やろうとしていることはお分かりいただけるかなとは思います。
 まぁ、この写真もこうやって改めて見るといろいろ突っ込みどころあるなぁw 衣装、カラー、伝えたい雰囲気…あたりはまぁまぁ出せてると思いますけど、楽器持ってないから誰が誰でなにを担当しているのか分からないとかね。そう考えると、楽器ってキャプションの代用にもなる記号なんだなぁ。
 是非みなさんには、この写真のどこに強みがあって、どこに問題があるのか、なんて感じで考えていただければと思います。
 ちなみにこの写真、構図等は自分で絵コンテを描いて、当時のバンド・スタッフさんに頼んで撮影してもらってます。場所も確かドラムの稔さんの部屋とかじゃなかったかなぁ。照明もデスク用の白熱灯とかだったと思います。
 ビジュアル的にゴリゴリな部類と思うので、こんなの参考にならないと思う方も多いかとは思いますが、それでも、どんなことを考えて撮っているか等、感じていただければ幸いです。

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紫水勇太郎・清水 豊

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