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Logo Markなにか創るとうれしくてLINXさんの作曲プロセスから考えるオリジナリティ〜好き嫌い分類法のススメ

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者
YouTube「うさぎのうみちゃんねる」のおじぃ
YouT...

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 野林徳行氏がメインMCを担当してくださっているYouTube番組「Crazy NOVA's NO VAnity!」のインタヴュー企画にゲストとしてLINXのみなさんに出演いただいた際のこと。その第3回目だったか4回目だったか(こういうことをすぐに忘れる上に確認せずにこういう文章を書いちゃうのがシミズの悪いところ…分かってるならなおせ)で、LINXさんの作曲方法についてだいぶ深くお話をいただいた。
 その中の一つでとても面白かったのが、リーダーでドラムの沢木さん曰く、
「ブルーノ・マーズのこの曲いいよねぇ、こういう曲やりたいよねぇ、という感じでZinくんに言って作り始めて、最初はみんなで笑っちゃうくらいブルーノ・マーズっぽいんだけど、やっているうちにどんどん自分たちらしくなっていって、最終的には言わなければブルーノ・マーズっぽいと思えないように仕上がる。」
というお話(正確にこう言ったということではなくて、このようなことをお話しくださったということで)。それと、
「自分たちらしさという点は重要。」
というお話もいただいた。
 これは音楽だけではなく、なんらか自分独自のオリジナルなものを作り出そうとしている人なら誰にでも参考になるとってもいい話だなぁと思う。

 まずなにかを作り始める入り口において、なんらか自分がいいと思った他の誰かが作った作品が頭をよぎるなんてことはまぁ普通にあって、もっと言えば、音楽にしろ絵にしろその他のなんであれ、(特にそのキャリアの最初の段階ではよりそういうことが多いと思うんだけど)誰かの模倣から入るなんてことも普通にあって、むしろそういうものがまったくなく最初からいきなり自分独自のものをドンと提示することができたなんていう超ド級の天才の方が少ないわけで、つまり入口としてはごく自然と思うという前提。

 で、この後別れ道になるのが、それがそこで止まるのか、それともさらにいろいろ進んでいってカタチを変えながら、入口となったその元の作品から離れていって別のオリジナルなものとして成立するのかどうか、というところ。

 これ実は、日頃多くのアーティストさんの作品に触れさせていただく中で本当によく思うことなんですよ。掲載作品として頂戴した作品からその元になったであろう誰かが透けて見えちゃう。ああこの人はこの人のことが大好きなんだろうなぁって。
 で、もちろん、その大好きなのは伝わってきつつも、その元になった誰かにはまったくない別の要素が感じられて、その元になった誰かをさらに進化させてたりしているとそれはそれでもいいんだけど、まぁよくあるのがそれそのものほぼそのままみたいな感じの作品だったりして、それだとやっぱりちょっとなにかしらさらに考えないと、その先にはなかなか行けないよなぁ…なんて思いながら見させて(または聞かせて)いただいてたりする。
 まぁ例えば音楽だと、コード進行が原曲とほぼ同じで、その上に原曲の影響をまるっと受けたメロディーが乗ってて(これは完璧に同じじゃないけどやっぱり似てるという奴…そこここに原曲の〇〇節みたいなのが顔を出すと言うか)、テンポやバッキングの基礎パターンも近くて、歌詞も似たようなテーマを割とよく使われるワードで表現してて、で、きっと大好きだからだと思うんだけど歌い方も似ちゃってたりして…そりゃ似るわなぁとw

 そこでキーワードは、LINXの沢木さんもおっしゃってくださっている「自分らしさ」であって、つまりこの状態を脱してさらに先に進めるかどうかは、この「自分らしさ」というものに対してどのくらい思考してきたのかということになるのではないかと思うということなんですね。

 「自分らしさ」…みなさん考えてみたことあります?
「あなたの自分らしさってどんなことでしょう?」
なんて聞かれたら、意外と答えに困ったりしそうですよね。実はこの文章を書きながら自分でもちょっと困るかもなぁなんて思ってみたりしてますもの。そのくらい奥が深いお話ですね。そして簡単に答えは出ないかもしれませんし、また、一度出た答えはまたいずれ変わっていくものかもしれません。
 でもこれを考えているかどうかで、作品の深度がものすごく変わると思うんですよ(まぁだから私の作品は浅いんだと言われたらまぁその通りなんですけどねw)。

 でも考えるにしてもとっかかりが難しいですよね。漠然と「自分らしさ」なんて言ったところでそう簡単に手がかりが見つかったりもしないかもしれません。
 で、お勧めするのが「好き嫌い分類法」です(名前は適当に私がつけているので専門的にはもっと別の呼び方があるかもと思います)。

 例えば音楽で説明すると、世の中にあるたくさんの音楽の中で、まずはざっと片っ端から「これは好き」「これは嫌い」と分けていきます。それを200曲もやると、だんだん自分が好きだと思っている曲の傾向(世の中ではこれをジャンルとか言いますけど…ジャンルっていう言葉があまり好きではないので)に偏りがあることが見えてきます。
 その段階でその楽曲たちをある程度分類してみるとより分かりやすいかもしれません。
 で今度はさらに、その好きな曲のグループに入りそうな曲をさらに探して聞いてみて、今度それらを、「大好き」「普通に好き」「そうでもない」なんて感じで、もう少し細かく分けてみましょう。
 すると自分がどんな曲を特に好きなのかが見えてきます。まぁできればそこで、自分が分けてみたそれぞれの分類の曲のどこにそう感じたのかなんてことも考えてみると、それぞれの曲の要素が分解できたりして(例えばヴォーカリストの歌い方とか歌メロとか曲のリズムがとかギターの音色がとか歌詞のあるフレーズとか…)、より明確に自分の傾向が見えてくるんですね。
 これは要するに、たくさんいろいろな曲を聞くことによって、そのそれぞれに対して自分がどのように感じたかを明確にすることに意味があると思うんですが、これ、まぁできればいろいろなアーティストさんの曲を聞くのがいいと思いつつも、もし最初はそのハードルが高いというのであれば、まずは好きなアーティストさんの曲をたくさん聴いて分類してみるというところからスタートしてもいいと思います。そうねぇ、この場合は楽曲数があまり多くならない場合もあるかもしれないから、分類というより順位付けしてみるとかがいいかも。

 例えば私の場合よくRainbowというバンドが好きと公言しているわけですが、じゃあどの曲が一番好きかと言われれば「Gates of Babylon」という曲だったり「Stargazer」という曲だったり「Kill the King」という曲だったりで悩むということになるんですね。すると見えてくるのは、まぁどれもこれもだいぶ大仰で、クラシカルとか民族的とかの要素が入ってて…なんてことなんですが、じゃあ他のアーティストだとどうかと考えると、Led Zeppelinの「Kashmir」とか、オジー・オズボーンの「Mr.Crowley」とか、イングヴェイの「As Above, So Below」とか、Rough Cuttの「Take Her」とか、だいぶそういう傾向の曲が好きだなぁなんてことが見えてきたということなんですな…そう言えばさらに昔の時代から大好きなさだまさしの曲の中でも「ひき潮」「つゆのあとさき」「セロ弾きのゴージュ」「風の篝火」「鳥辺野」辺りは大好物だなぁ…なんて思ったりもして…あはは、ここまで挙げた曲をまったくご存じない方にはチンプンカンプンな例えでしたなぁ…まぁよろしければサブスクででも聞いてみてください。
 あ、そうそうここの挙げている曲は大好きではありますが大好きだからと言って弾けるとか歌えるということではないので、私と直接お逢いになった際には、
「「Mr.Crowley」のソロ弾いてよ〜。」
とかは絶対におっしゃらないように。時々そういう方がいて、期待で目をキラキラさせてそういうことをおっしゃるんですが、まぁ…できませんので予めお許しを。

 例によって話が横道にそれましたが(筆者の特技である)、要はこの「自分らしさ」が客観的に分かっていることで、例えば誰かの模倣からその作品作りがスタートしたとしても、必ず自分らしいところに着地できるようになるのではないかというお話です(実は行き詰まった時にそれを突破する方向性も見えやすくなったりという副産物も生まれます)。
 え? 例えばYOASOBI.が大好きな人がYOASOBI.の曲を元に作品作りしたらYOASOBI.にしかならないだろって?
 なるほど。う〜ん…まずYOASOBI.しか聞かないのかなぁ。他の人は誰も聞かない? 誰か他にもこれいいなって思う人いない? 多分ねぇ、探していったらいると思うんですよ。そういう人を何人か見つけていってね、それぞれが持っているいいなと思える要素を足したり、入れ替えていったりしていくんです。すると原曲が崩れて段々離れていくでしょ? もしそれが面倒でも、YOASOBI.の曲の中でもたくさんのスタイルがきっとあるはずじゃないですか(なくてどれもこれも同じに聞こえる人もいるかもしれないけどさ…少なくともYOASOBI.はね、いろいろある…はず…あまり聞かないから知らないけど)。それらを順位づけしつつ、あえて別のテイストの曲の要素をやはり足したり入れ替えていくといいと思います。
 忘れてはいけないポイントは、真似がしたいんじゃなくて、自分独自の作品が作りたいんだ、ってことをちゃんと考えるということだと思うんですよね。つまり、完成時に似ちゃった段階で既に自分独自とは言えない可能性が高いんだということを肝に銘じつつ、スタートはその曲だったとしても、最終的にはそうじゃなくなる方向を模索するのだと…それもちゃんと「自分らしい」とはどういうことなのかに沿って模索するのだと、考えていくといいと思います。

 ということで、例によってくだらないことも書いていたら長くなってしまったわけですが、LINXさんのインタヴューから思った、作品作りにおいて考えるオリジナリティと、そのために大切な「自分らしさ」についてのお話でした。
 いやぁこんなお話を聞くと、LINXさんのすごさがさらに感じられますよね。ということでみなさん、YouTube番組「Crazy NOVA's NO VAnity!」のLINXさんインタヴュー企画全4回を、是非是非ご覧いただければと思います! めちゃくちゃためになるお話が多い上に面白いこと間違いなしですよ!

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YouTube「Crazy NOVA's NO VAnity! LINXインタヴュー」

今回の文章の元ネタになったLINXさんのダブルA面シングル「I Wanna / One Last Chance」のレコーディングにまつわるインタヴューはこちらをご覧ください。
「Crazy NOVA's NO VAnity!」#5〜#8の4本です。
その他、LINXさんのライヴや曲作りに関するディープなお話も満載です!
是非ご覧ください!
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