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脳内伝言板つくば国際アーティスト・イン・レジデンス

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

二十代前半人生は一度きりだと腹をくく...

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今回は趣向を変えて現在開催中のつくば国際アーティスト・イン・レジデンス TSUKUBA BIENNALE「周縁の美学」展について書こうと思う。

最近よく耳にするビエンナーレとは2年に一度の芸術祭の事でトリエンナーレは3年に1度の芸術祭である。

そしてアーティスト・イン・レジデンス(Artist-in-residence program)とは、一定期間その土地に滞在しながらの作品制作を行うものでこちらも最近よく耳にする言葉だがまだまだマニアックな言葉なのかもしれない。

国内外から総勢16名のアーチストが10月22日からつくばへ入り11月4日のオープニングまで現地で滞在し作品を制作する。制作場所 宿泊場所 食事等は用意してくれてあり制作環境としては各自のアトリエ程ではないがやりやすいと言えばやりやすいといえる。

宿泊所はつくば万博の時に海外の要人が宿泊する為に作られた森の中の静かなコテージ。コテージは行政が運営している為週一日休みがあり、その時は駅前の上級なホテルを用意してくれてあった。

つくばビエンナーレのオファーを頂いたのは今年の4月に私の個展に、つくばアートセンター代表S氏とキュレーターのI氏が来てくれた時でした。展覧会は何かの拍子に決まっていくのだが毎年前半が過ぎるあたりになるとその年の流れみたいなものが見えてくる事がある。
それは作品の種類だったり人の縁だったりと色々なのだが、その殆どが意図していない事が多い。

この話が来た時は今年はホシのタマゴの流れなのかなと予感したのを覚えている。
そういう何というか流れみたいなものに逆らうとあまり上手くいかず、逆にそういったものに乗っていると先が全く見えなくても数珠つなぎに事が転がることがこれまでの人生でもよくあった。
また流れに乗ったら出来る限り攻めてみる。そうするとある程度は何らかの形が残るような感じがしている。これまでを振り返ってみると私の場合は深く追うわけではなく次々やってくる波を見極めそれに乗るようなイメージかもしれない。
いつか来るかもしれないビックウェーブを待っているのかいないのか。
そんな風に分析してみると自然の流れって良きも悪きも、引いては寄せる波のようなものと理解した方が腑に落ちる。
やはり今を感じ今を生きる事が最高に面白い。

参加作家16人中日本人は4名であとはNY、Paris、Iceland、India、Denmark、France、Taiwan、New Zealandと様々な面子で基本総て英語でした。

開催までのメールでのやり取りも滞在中の会話も殆どが英語で苦労もあったがそれはそれで結構楽しかった。私的には意味がわからない分その場の空気感をより感じる事ができたが、実は見えないところで迷惑もかけているのかもしれない。

仕事が終わるとコテージでは毎晩パーティー状態。
皆、音楽が大好きだ。
インドから来たポールがいつもギターを奏で皆それに合わせて歌っていた。
私は英語の歌詞はわからないが太鼓を持って行ったのでギターに合わせて太鼓を叩いた。何というか音楽は世界共通なので言葉がわからなくても太鼓が叩けると皆と打ち解けるのも早く理解される事も多くなるように思えた。

ただシラスナと発音しにくいようなのでK(ケイ)と呼んでくれというと皆それは簡単でいいと多分言っていた。

つくばは田んぼを少し掘ると(70cm位)粘土層が出てくるらしく、容易に粘土が手に入った。それを乾燥させ粉にしてセメントと種を混ぜ「地球(ホシ)のタマゴ」を制作した。種はドングリや栗や松ぼっくりが多く採れたのでそんなものを中心にダンゴを創った。180〜200個ほどのホシのタマゴを制作した。

今回私は前半他の展示と重なり皆より1週間ほど遅れて現地へ入った為、かなりギリギリのスケジュールだったが天候にも恵まれ無事完成することが出来た。

オープニングも盛大でプロジェクトマッピングや著名なダンサー、パフォーマー等の活躍でとても盛り上がっていた。夜のパーティーもとても美味しい料理から始まり3次会まで行く。皆疲れてヘロヘロだったようで3次会は全員メチャメチャ眠そうだった(笑)。

展覧会が始まるとワークショップをやる作家以外はフリーになるのでしばらく日本を堪能しにブラブラと出かける者や帰路につく者と様々である。

私は展覧会始まって3日程は会場にいて、残った仲間と過ごしながら、閲覧下さる方々と楽しい時間を過ごすことが出来た。会場にいるとそれはそれで色んな事が起きる。場所も公園という事もあり、紹介されたミュージシャンや通りがかりのミュージシャンとセッションしたり、毎日散歩している方も多く、大人も子供も「ナニコレ?」と多くの方が作品に気をとめてくれる。

そして話しかけると皆さん話が弾む。

毎日散歩している方で、「空から丸いものが降ってきたのかと思った」という方がいた。印象的なコメントで凄い感性だなぁと驚いた。

市長やその他市の職員の方たちも皆丁寧に作品を見ていってくれた。
つくばは知的好奇心が強い方が多いような印象を受けた。

楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
次の展覧会の準備等もあるので後ろ髪を惹かれながら一度静岡へ戻ってきたところだ。
また後半にも時間を作って行ければと思っている。

普段から旅人気分の生活をしているので生活環境の変化自体はこれと言って大きな刺激ではないのだが、しばらく一緒に過ごした仲間と別れる時の何とも言えない名残惜しい気持ちを久々に味わった。
それは単なる馴れ合いではなく、同じ環境で作品を真摯に制作する事で生まれた信頼や尊敬からくるものなのか。
帰りの車でまだ帰りたくないなーと心の底から思った。
それだけ良い出逢いに恵まれ、そしてつくばという土地を気に入ってしまったという事なのだろう。

旅は出逢いと別れなんだって事を再認識し、もっともっと時間を大切にしたいなと感じたのでした。


BRAIN II 「未来の記憶」より

【我】

目に見えない感覚をカタチにしている
わたしはそこにある生命体を描きたいのではなく
そこにある生命力を描きたいのだ

           白砂勝敏

【地球(ホシ)のタマゴ】

土に植物の種を混ぜセメントで固めた
数十年が過ぎ形が崩れても種は生き残るだろう

今回は筑波山の麓で採取した粘土と植物の種を使用して作品制作

つくばでホシのタマゴ

宇宙都市でホシのタマゴを並べる
惑星のように並び螺旋のようにひろがり
収縮と膨張を繰り返し爆発したように 先ずは公園の至る所へホシのタマゴを散りばめる

やがて世界中に広がる事を願う
通りがかりの人は何を思うだろう
僕の創造は国境も大気圏も越えていく

ホシの一つ一つが影響しあって今を刻んでいる
その理(ことわり)を説明することは誰にも出来ないが確かに繋がっている事はわかっている
ただ繋がっている事を感じて生きることは非常に重要ではないかと思う

茨城県立美術館の野外展示場をメインに中央公園の様々な場所に作品展示
公園の中に散らばるホシのタマゴは鳥が種を運ぶように子供達に様々な所へ運ばれても面白いのではないかと思っている

写真はオープニングアクト タップダンサーとホシのタマゴ photo Masabumi Kimura

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
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