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Logo Mark脳内伝言板続・日本みつばちがかわいくて仕方ない スズメバチの猛襲

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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みつばちを飼っていると付き物なのがスズメバチ。
家に来るほとんどが多分黄色スズメバチで彼らは一匹で狩りをする。巣の前をウロウロと飛び回り隙あらばみつばちを抱えて連れ去っていく。黄色スズメバチやヒメスズメバチの襲来のときはみつばちも臨戦態勢になり、百匹くらいの働きバチが門の外で一斉にお尻を振ってスズメバチを威嚇している。私はそういった世界観にしばし引き込まれる。だけどオオスズメバチが来たときはみつばちは皆巣箱の中へ入りオオスズメバチがいなくなるまでほとんど出てこない。またオオスズメバチだけは私も見ていてかなり怖い。体も大きく羽音もでかい。他のスズメバチはちょっかい出すと逃げていくがオオスズメバチは襲ってくる。今のところ刺されたことはないが要注意だ。

秋に3日間泊りで展覧会があり、その日の出かける前にふらりとみつばちを見に行くと、オオスズメバチが飛来していた。これまでは多分黄色スズメバチやヒメスズメバチといった単独でみつばちを襲うタイプのスズメバチばかりだったので少し油断していた。まぁ大丈夫だろうと思いそのまま展覧会へ出かけて行った。無事展覧会を終え、3日ぶりに帰宅しその日の翌日みつばちの巣箱へ行くと恐ろしいことが起こっていた。私はオオスズメバチを舐めていた。彼らは集団で襲いに来るとは聞いていたのだが、想像以上に顎の力が強く、巣箱の入り口は日本みつばちがギリギリ通り抜けれるサイズ約6mmくらいしか開いていないのだが、圧さ3cmくらいある木の巣箱を食いちぎって入り口を広げ、巣箱の中へ侵入してみつばちを襲っていた。巣箱の中を確認してみると、8匹のオオスズメバチの死骸と大量のみつばちの死骸があった。まさに死闘を繰り広げていたのだろう。ただその群れはかなり強い群れ(沢山のみつばちがいる群れ)だったのでそれでも無事に生き残れたのではないかという感じではあった。早急に入り口をブリキ(金属)で補強した。前年度はそんなことはなかったので油断していたというか私の知識の無さに自然界のこととはいえ可哀そうなことをしたなぁと反省。

飼っているみつばち3群れ中、襲われたのは2群れでもう一群れは未遂だったようで、入り口をかなりかじられていたが侵入されるところまではいかずに事なきをえていた。

なんとか大丈夫かなぁと思われた襲われた群れもそれから2カ月ほどして消滅してしまった。多分オオスズメバチの襲撃の時に女王バチが殺されてしまったのではないかと思う。女王バチがいなくなってしまうと働きばちが増えないので、今いるはちが寿命を迎えると巣は消滅してしまう。

もう一群れ、今年の春に捕獲した群れで弱い群れがあったんだけれども、ある日ずいぶん巣の周りを飛んでいるなぁと思っていたらそれから数日後どっかに引っ越してしまったようで巣箱は空になっていた。かなり数が少なかったので心配だけれど、どこかで生き残ってくれていればいいなぁと思う。

結果残ったのは一群れになり、こちらもそれほど強そうな群れではなかったので冬を越せるか心配だったのだが、今年は比較的に温かくてみつばちにとってもよい気候なのか無事に冬を越せそうであった。庭の梅の開花と同時に一斉に飛びかっていたのでホッとした。大きな梅の木の下に立つと凄い数のみつばちの羽音が聞こえてくる。なんだか厳しくも温かいものに包まれている気分を味合わせてくれる。そんな経験をさせてもらえることにも感謝の気持ちが生まれる。

これまでみつばちのいる暮らしを通してなんとなく感じたことがある。
最初のうちはみつばちが入ったり出て行ったりで一喜一憂していた。もちろん今でもそういった喜びや残念さはあるのだけれど、オオスズメバチの猛襲の辺りから、私の中で、もっと大きな感覚でとらえることができるようになった。みつばちを飼っているという感覚から、「みつばちも私も共に大自然の一部であり共存しているんだ」というとらえ方に変わっていった。元々蜂蜜が欲しかったわけではなく。ただみつばちのいる生活をしてみたいと思ったのが始まりであった。その流れで蜂蜜も採れたらいいなぁくらいに思っていた。実際飼ってみると働き者のみつばちから蜂蜜をいただくのは申し訳ないなぁとも感じたりもした。

たった2年ほどだけれど想像以上の回数の分蜂を体験させてもらった。それを踏まえて考えてみるとこの付近にはかなりの数の日本みつばちが生息しているのではないかと思う。もちろん自然界の厳しさも感じたが、この環境がある限り例え私の巣箱が空になったとしても近所の山の中にはかなりのみつばちがいるのだから。それが巡り巡って縁があればまた家の庭に巣をつくり、その時は私も少しだけ関わらせてもらえ、私も自然の一部なのだと体感させてもらえる。いつまでも豊かな自然があればいいなぁとシンプルに感じている。

     また何か進展があれば続く。ひとまずおしまい。

TOP写真は分蜂シーン

日本みつばちがかわいくて仕方ない
日本みつばちがかわいくて仕方ない2
日本みつばちがかわいくて仕方ない3
日本みつばちがかわいくて仕方ない4
日本みつばちがかわいくて仕方ない5
続・日本みつばちがかわいくて仕方ない 虫の道
続・日本みつばちがかわいくて仕方ない スズメバチの猛襲

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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