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Logo Mark脳内伝言板大井川大学にて白砂式音器ソロライブ

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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去年の暮ぐらいにメールでライブの依頼が入った。場所は大井川公民館でシニア向けの企画で大井川大学という一年間通して参加者(生徒)を募って毎月色々な催しを開催しているとのこと。3月はその卒業式があるらしくそこでライブをしてほしいとのことだった。

企画してくれたAさんいわく、チラシやネットで私のことを知り、廃材や海岸漂着物等で制作した楽器でどのようなライブをするのかと興味を持ってくださったのだといっていた。

ただ私のソロのライブは、私が気持ちのいいと思う音をつくり、気持ちのいいリズムを刻み、音から音楽に変わる狭間を延々と「たゆたう」ような感じのライブなので興味がない方が見たらとても退屈してしまうのではないかと思い企画者にその旨確認したところ、それでもかまわないといってくれたのでお受けした。
冷静に考えればyoutubeなどで私の演奏をチェックしてくれてのオファーなのだろう。まぁいつも通り出たとこ勝負でいってみようかと。それでも出来れば会場と設備の確認に一度くらい下見にいきたいと思っていたのだが思いのほか忙しく下見にも行けず本番を迎えた。

会場は大井川公民館の大会議室というスペースだった。椅子だけ並べるのならMAX300人くらい入るらしく実際会場に入ってみたら思ったより広かった。音の響きも良い感じだったのでこれならPAも手持ちの機材で問題ない感じだったので一安心だった。

あと、初めての現場というのは、搬入や搬出がかなり気がかりなポイントである。個展やグループ展もそうだが、ライブに関しては特に時間的制約があることが多い。今回の現場は控室の横のドアに車を横付けでき、控室の反対のドアを開けると会場という環境だったのでめちゃくちゃ楽で助かった。というのも今回は楽器の数も多くかさばるものも多かったのと、ライブは午後13:30からスタートだったんだけれども、午前中は現地の都合で準備できなかったので、運び込み、セッティング、サウンドチェックをするのに1時間30分というか、実際には13:00くらいから人が入るという事だったんで1時間で終わらせなければならなかったのだ。搬入が楽だと本当に助かる。現場によっては車から運びにくい場所や、重たい荷物を持って何往復も階段を行ったり来たりすることもある。誰しも共通であろう年齢を重ねるごとにリアルに襲い掛かってくるものがある(笑)。

大井川大学の卒業式(ライブ)には、多分70代〜80代の方が80人ほど参加されていた。そのほとんどが女性の方だったのがなんとなく印象的だった。企画側とも打ち合わせて、創作楽器たちの資料を、わかりやすくまとめてくださって皆さんに配布していただき、皆さんも結構興味を示していてくれたみたいだった。

普段のライブは多少楽器の説明を入れるが、どちらかというとあまりトークはせずに淡々と演奏をするスタイルが多い。一つの楽器を演奏し始めると10分位あっという間にたってしまうし、演奏中に、私自身が入り込んで演奏してしまい目をつぶって演奏することが多いのだけれど、時々我に返って客席をみると、殆どの人が目をつぶってユラユラしている。そんな感じなので例えば1時間とか限られた時間の中でライブをすることが多いので、なるべく音と空想の世界を楽しんでいただけたらと思っているからである。

そんな中今回は少し楽器の話やそれに関する私の創作の話などを盛り込みながら演奏してみようかなぁと新たな試み。ライブ前はアウェイな感じになっても仕方ないかなぁと心配もあったが、想像以上に皆さん興味を示してくれたんでよかった。考えてみれば年齢を重ねても大学なる学びの場所に自ら来るのだから、知的好奇心旺盛な人が集まっているんだろう。1時間ちょっとのライブだったんだけれどとても私的には有意義な時間を過ごすことが出来た。

ライブ終了後、「本当に人生楽しんでいるってことがつたわってくるわ〜」「あなた本当に器用ね〜」「この音凄い好き」「またライブ聴きたい」など温かい言葉をいただく。人生の大先輩たちに「あなた人生楽しそうね〜」っていわれ、うまく言えないけれどなんだか温かいものが生まれるような感じがした。そういうものが人を成長させてくれるのかなぁとも思え本当に感謝しかない。

そしてライブは、あっという間に終わってしまうことをいつも体感させられる。準備とか結構大変なこともあるのだけれど、本番のあの生な感じ、一見余裕そうに見えて実はすれすれで乗り切ったり、そういった感覚で普段も生きていたいと思いはあるのだけれど、やはり本番というのはよりリアルに感じるものだ。当然これまでライブをしていて、完璧だなんて思うことは無く、難しいものだと思うことのほうが多い。それでも得体のしれない楽しさがあるんだよなぁ〜だからいつもライブが終わると「あ〜あ終わっちゃった。楽しかったなぁ〜」って毎回思う。これまたうまく言えない不思議な感覚なんだけど。

写真作品は白砂式音器 サイクルドラムです。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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