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Logo Mark脳内伝言板曲がりながら育った竹と出逢った

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

二十代前半人生は一度きりだと腹をくく...

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障害物にあたっても負けずに育った変形した竹がとても気になる。

芽が出た所に石があったり、育った先に障害物がある事がある。
石を巻き込んだり、自らの体を曲げたりねじったりしながらも成長し続ける竹。
広い竹やぶを見ながら思う。同じように見えて同じ形の物なんて一つもない。
与えられた環境で命の限り育つ。妥協なんて発想すらないだろうなぁと、竹やぶに人生を学ぶ。

家の近所の竹やぶも殆どが荒れている。
荒れた竹やぶを整理するのは本当に重労働である。切っても倒す時に他の竹に引っかかってしまう。コツコツと整備するしかない。

竹の子の季節(今真っ盛り)この時期には荒れた竹やぶにも誰かしら入っているとは思う。人じゃなくイノシシの場合もかなりあるのだが。家の大家さんの竹やぶに毎年竹の子のシーズンオフの5月くらいに竹林に入り余計に育った大きくなり始めた竹を手入れしている。これだけでも全然違う。特に今年は当たり年(豊作の年)みたいなんで凄い事になりそうだ。

竹やぶに入ると太い竹、細い竹など同じ種類でも随分違う事に気付く。気に入った竹には中々出会えないし出逢っても若い竹だったりする。何に使うかによって変わるのだが竹は3年位経ったものが幅広い用途で使える。そういうことを含め用途に合った竹を選んで制作している。

切った竹はキズを付けないように運び出す。それだけでもかなり重労働だ。運び出した竹は綺麗に洗う。それから節を抜く。竹を割れにくくするためだ。日陰で3か月位干しバーナーで軽く炙りゴシゴシ拭く。その後3年位ゆっくり乾かす。そこで割れなかったものだけが楽器になる。割れたものは更に細かく割ったりして別の物を作る素材となる。
3年寝かしたものでも激しい温度変化のある環境ではヒビが入ったりするので、プラスチック等に比べればとても扱いにくい素材ではある。もちろんひび割れはパテなどで埋めてしまえば音にそれほど影響ないものも多いい。現代では色々と扱いがやっかいに思えてもそれでも天然素材の魅力は大きく部屋に置いてあるだけでもムードが違う。
使いやすさだけを求めるのか、やっかいだがお気に入りをそばに置くのか。個々の自由である。

数年前から時々竹で制作した楽器を展示する機会に恵まれる。その度に竹好きなんですよっと言われる方がかなりいる。竹の持つ独特の美しさは人々の心を捉えているのだなぁと何故だか嬉しくなるのであった。

私は元々造園屋の息子だったんで竹に触れる機会は多かった。今では竹に似せたプラスチック製の垣根が主流になっているが、一昔前は皆竹を加工して垣根を作っていた。雨の日は植木屋は庭の仕事はできないのでそういう時に倉庫で竹を加工したりしていた。元々植木屋を入れるというのは贅沢な事。「粋」という言葉と職人は結構イコールな感じだと認識している。今が悪いとは言わないけれど、工期等に追われ雨の中カッパを着てまで庭の仕事をするのはお客様に失礼だと言われていた。「土方殺すにゃ刃物はいらぬ雨の三日も降ればよい」とか今ではありえない感じだ。

私の制作する竹を使った楽器はデジュリドゥ・カリンバ・レインスティック・天風・ギロ・スリットドラム等。今後はマラカスや弦楽器も創ってみようかと考えている。


Brain I 【キノウミタリュウ】より

【証】

鉱石にも生物にも個体差があり 其々に其々の魅力があり
それを私なりに一番良い物にしたい

私の所に集まってくる物も人も
この広い地球のなかで私に与えられた何かの縁だと思って

その縁を大切に思い最大限に活かした物を
生きた証にこの世に遺したい

           白砂勝敏

【竹リンバ】

変形した竹にカリンバを付け共鳴させています。
自転車のスポークを叩いて弦にしております。
竹 金属 2020年制作

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

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