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Logo Mark脳内伝言板人生の分かれ道

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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良く人生の帰路を交差点に例える人がいるけれど、私の場合は、信号機のついた四つ角というよりも、どちらかというと、誰もいない丘の中腹にある分かれ道みたいなイメージに近い。一人で歩いていたらなんとなく出てきて、いきなりどちらに行くか決断を迫られる。そして必ずと言っていい程、私は脇道の方を選択してしまう癖がある。だから分かれ道があると大概は瞬間的にどちらに行きたいのか私の心の中では決まっている事が多い。悩みどころは不安要素の多い脇道に、突っ込む度胸があるかないかだ。当然それまで歩んできた道沿いを歩く方が良いように思うし、脇道にそれる事で、これまで積み重ねた物が、もしかしたら無駄になってしまうかもしれないと感じるからだ。まぁ今となっては無駄はないと捉える事が出来るようになってきたが、若くて経験も少ない頃は毎回毎回大チャレンジといった感覚で、いつも捨て身な覚悟で突っ込んで来た気がする。周りの人からは、器用なのか不器用なのか解らないねとよく言われたりもした。そこら辺は今でも変わっていないのかな。

面白い事に、これは感覚的な分かれ道ではなく実際の道を歩いている時にも当てはまる。放浪している時、国道よりも一般道、一般道よりも山道が気になる。あてもなく時間にも余裕があったので、結局山道ばかりを歩いていた。今夜の食べ物や寝る所等、不安要素は多いのだが、それよりも好奇心が上回る。私は相当数野宿しているが、人が原因で怖い目にあった事は一度もない。だが山では野生動物が怖い。迷い込んだ山で「×月×日付近にクマ出没いたしました」等の警告板があると、実際は大丈夫だろうとは思うのだが、妙に意識してしまい思いのほか怖かったりした。

この頃は変な思い込みも多く高速道路にのる事は殆どなかった。それがある時、「高速道路は時間を買える場所だ」と言っている人がいて「なるほどそうだよね」って思って以来、行く目的がある場合は、隣町に行くのも高速道路を使う事が多い。大げさと言われるかもしれないが、大人になるってこういう事なのか、少しは器用に生きれるようになったのかな。まぁ帰り道は今でも気ままに海や川に寄ったりと相変わらずフラフラしているが。

色々な人と話をしてみて感じた事なのだが、類友というのか私の周りには、あえていばらの道を選択するような、似たような人が多いように感じる。こういった話をすると共感される事が結構あるからだ。同じような感覚を持つ人に逢える事は私にとってはとても大きな体験であり、こういった共感者に出逢えると、なぜかこれでもいいんだと感じ、大きな自信に繋がっていく。それは根拠のない自信なのだが、人生をポジティブに突き進む原動力になっている。たった一人でも共感者がいるというのは、心強く救われるものだと、これまで幾度となく感じる事があった。そういった感情からは感謝の気持ちが生まれ、私の中に温かいものを与えてくれる。

                おしまい

写真作品タイトルは「UKA」です。水彩画 2013年

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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