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Logo Mark脳内伝言板未来の会話

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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私は、広く、深く、時間をかけて、人と付き合いたいと20代の頃から思っている。

世の中には色々な人がいる。自分と近い考え方の人もいれば真逆の人もいるし、半分半分の人もいたり。旅をしていると思ってもみない人と出逢い、自分の想像を超えた会話が出来たりすることがある。自分の中に新しい発見を促してくれる。

自分の事しか話さない人がいるかと思えば、人の事しか話さない人もいる。 そういえば以前旅先で知り合った旅人とこんな会話があった。何かのTV番組の話になり、実は私はもう10年以上TVのない生活をしているので良くわからないと言うと「それじゃあ彼女とかと普段何の話をするんですか?」と聞かれ、逆に彼女とかとTVの話をするのだと驚いた事があった。

実際何を話しているのか考えてみた 私は生きているだけで沢山の疑問にぶつかる。「これなんだろう」とか「これは一体どういう事だろう」等。それは次から次へとやってくるから死ぬまで尽きることはないと思う。めんどくさい性格なのか何なのか、時間の許す限りいちいち考察してしまう。そういった今、気になっている疑問や実体のないフワッとした空想の話をしている。

人の話をよく聞く人がいる。人の話を聞いていると、話の内容はもちろんだが、そのしぐさや表情なんかも良く見えて来たり、色々な物を吸収していく。

以前もどこかで述べたと思うが、そもそも旅をしている一番の理由は、色々な人に逢いたいからだった。ほんの一言二言で、何か通じ合う相手と出逢えた喜び、そんな相手と夜が明けるまで語り明かす、共感する幸せ。そういう出逢いは、自分とは反対の意見があったとしても受け入れやすいので、今までの自分とは違う切り口で物事を捉えるきっかけを貰える。それは内側の自分を成長させてくれて、結果、私を生きやすくしてくれた。

話尽くすってことはあくまで過去の話をしているのだと思う。話の旨い人は過去と今と未来を混ぜた話をしていることが多い。相手と会話のキャッチボールをしながら、お互いを刺激しあう。過去現在を交えた話の中に空想の世界を切り開く。そう未来をいれた会話が成立する。

とにかく思いつく事を実験してみたいというか自分にとっての未知の発想が出た時の高揚感を軸に生きている。会話をしながら生まれ出た、新しい世界。私はそれを、未来の会話をしていると解釈している。

過去の会話も大切なことだと思うが、私にとっては、未来の会話こそ今を生きる最大の原動力になっている。

               おしまい

写真は作品タイトルは 【出逢い】 水彩画です。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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