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Logo Mark脳内伝言板那須塩原での展覧会 未来の扉展を終えて

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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那須塩原での展覧会が無事終了できましたこと、関係者の皆様やご来場いただきました多くの皆、本当にありがとうございました。

今回の展覧会もまた色々な方と出逢いがあった。その中でも取り分け印象的な事が幾つかあったのでそれを記そうかと思う。
今回の展覧会は一月半ほどの長い期間だったので、途中静岡に帰宅していた。後半に少しかかるような日程で静岡でも個展が重なり、結構多忙な期間であった。そんな中、静岡にいる時に、栃木県の下野新聞の記者から電話をいただく。この記者さんものすごく丁寧な方で、事細かに取材してくれた。私の活動は文章にしようと思ったら結構複雑になるので難しいと思うので、いつも申し訳なく思う。丁寧に取材してくれたのだが、分からないことがあれば気軽に電話くださいと伝え電話を切った。するとその後文章をまとめながら解らない所があると何度も確認の電話をくれた。ここまで丁寧な記者さんは素晴らしいなと感謝しかない。そんなこんなで数日後に掲載して頂く事になった。(この時点では私は静岡にいたので新聞はみていない。)数日後、自宅で作業していると知らない番号から電話がかかってきた。電話に出てみると栃木県の矢板市でギャラリーを営んでいる方からであった。

それがまたいい感じの栃木弁で、来年は予定が一杯なんで再来年になるのですが展覧会を企画したいのですがと条件を話し出す。栃木弁というのは何とも親近感を感じる気持ちいいイントネーションである。条件を聞いて問題も無いので大丈夫ですというと、驚きの一言が…。

「それじゃあこれから展覧会見に行ってきます!!」との事。

正直笑いそうになったが、そこはグッとこらえて、よろしくお願いいたします。といい電話を切った。

「作品見てないんか~い」って電話を切ってから一人で突っ込んでみた(笑)。

でもこれに近い展開以前にもあったゾ…。そう初個展が決まった時も私の風体だけで、作品を見ないで開催が決定し、それがもとで気が付けば美術家になってしまったわけで。

まぁ作品見て気に入らなければ連絡がこないとか、「やっぱり難しいです」とかって事になるのかなぁと思ったが、それはそれで傷つくよね。

それから2日ほどたってメールが届いた。「次にこちらに来るときお逢いしたい」と。多分この時先方はまだ私が静岡に住んでいるとは思っていなかったと思う。何はともあれ栃木には後半また伺う予定になっていたので約束をしてその日を迎えた。

当日、会場にいると後ろから声をかけられる。約束の時間にはかなり速いが逢いに寄ってくれた。開口一番、新聞の写真しか見ないでいきなり連絡してすいません。今まで作品を見ないで声をかけたことは一度もないのですが、写真を見てこれは凄いと感じ思わず電話してしまいました。という。そんなこともあるのかなぁと思いながらも、私としてはちょっとホッとしたし、とても嬉しかった。
私を応援してくれているK美術館の館長が以前、美術雑誌等に紹介されている、2㎝くらいの白黒の小さな写真であっても、予感のする作品は見に行くと言っていたのを思いだした。作家が創作にハングリーであるように、キュレーターっていうのはそれと同様に新たな表現をしているものを見逃さないというのは素敵な話だ。

その方は、70代の男性だが歳を感じさせない熱い感じで、感覚的にも近い物を感じた。前にも話したかもしれないが展覧会は両想いでないと上手くいかないだろうというのが私の持論なのだが、逆にこうなると私の方から断るという判断もなくなる。だから今度は逆にギャラリーを見に行く前から断る事はないという事になるのだから人生って面白いものである。ちなみにギャラリーに着いた時に、新聞記事を見せていただいたのだが、5㎝×3㎝くらいのカラー写真でお客さんが作品を見ている所であったが、この写真からそこまで読み取っていただけるとは本当に凄いなと、改めてびっくりであった。

ということで2024年の5月に栃木県矢板市にあるギャラリーで個展を開催していただく事になった。こちらは結構先の話になるので詳細等は追ってお知らせしたいと思う。

今回の図書館みるるでの展示について、場所の特性上、個人情報等の関係もあり芳名帳が置けないのと販売が出来ないということで、感想ノートと作品のお問合せに私の連絡先を明記して置くというスタイルで行った。あと図書館での展示という事もあり前の記事でも述べたが捨てられる絵本で制作した本ブレインを数冊展示していた。感想ノートを読ませて頂くと、作品についての感想にブレインについて書かれている方が結構いた。そこは展示場所が図書館で活字を読むのに慣れている方が多いからなのかな。図書館の方からもじっくり読んでいる方が結構いましたと聞いて嬉しく思っている。

幾つかブレインについて書かれたものをここで紹介させて頂けたらと思う。

「BRAINともっと早く出会いたかった でも遅くないかも」

「BRAIN 使われなくなった絵本に新たな形と新たな文章を入れる…とても衝撃的でした。また白砂さんのバックグランドにもものづくりは、誰が始めてもいいんだなと背中を押されました。ありがとうございます。」

「BRAINの創造の泉が一番好きです。忘れたくなくてメモしました。来て良かったです!」

「詩みたいのがすごく心にささった♡」

「絵がとてもあざやかだなと思いました。詩が何度見てもいいし、読んでいくたびに深い意味が込められているのが分かります。」等々。

勿論BRAINに比べ、他の作品に対しての感想の方が圧倒的に多いのだが、足を止め、BRAINを読んでいただける方がいると思うと、それだけでもとても嬉しく、本当に感謝の気持ちが湧いてくる。しかも嬉しくなるようなメッセージを添えてくれているとなると、なんだか泣けてくる。
またハシゴや絵画等の作品についての感想は文字から推測するに子供たちが書き込んでくれているものが多く目につくのに対して、BRAINについては大人の方からのメッセージが殆どな感じだ。

多い少ないの判断は基準によって変わるので何とも言えないが、私としては、こんなに反響があるものかと少し驚いている。これまでも軽んじているつもりはないが、文字の可能性を改めて考える良いキッカケを頂いたようにも感じている。

その他にもこれまでお世話になっている方々や、今回出会った方々の中でこれから先、ご縁が膨らんでいくような予感のする方々など、色々な方と時間を重ねることが出来たことが嬉しく、中々大変な仕事ではあるけれどこうやって過ごせることに幸せを感じている。

                          おしまい

TOP写真は図書館みるる展示会場です。

BRAIN

上段2冊は捨てられる本をカットして着色し、文章を張り付けた物。
下段3冊は文章と水彩画をまとめた物です。

ご意見ご感想ノートより

嬉しい書き込みを沢山頂いた。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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