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Logo MarkThe Great Journeyガンを経験して得たモノ

沢木 優

1967年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。
埼玉県出身。
血液型:B型。
LINX / 元THE POWERNUDE のドラマー。
パー...

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今日は、ガン経験者としての健康ネタを…。
先月、俳優の萩原健一さんが亡くなりましたね。
自分的には、ショーケンと言えば“太陽にほえろ!”でのマカロニ刑事。
“傷だらけの天使”も好きだったけど、“太陽にほえろ!”信者だった自分としては(笑)、やはりショーケン=マカロニ刑事なんです。
その、ショーケンの死因をニュースで見て、衝撃でした。
自分が患ったものと同じ希少胃ガン・GIST(消化管間質腫瘍)だったからです。
そもそも、このGISTって、どういうガンかと言いますと…。
通常のガンは、臓器の粘膜(要するに外側です)に出来るんですね。
それに対して、このGISTは臓器の壁(筋肉)の中に出来るのです。
発症は10万人に1〜2人というコトで、希少ガンとされています。
臓器の壁の中に出来るので、通常のガンよりは転移するスピードは遅いですが、一般的な抗ガン剤が届かないとされるので、細胞が大きくなって転移などをしてしまうと、なかなか完治は難しく厄介な病気です。
また、極めて珍しいガンというコトで、GISTを扱える医師があまり多くないというのも、GIST患者にとっては深刻な問題でもあるようです。

さて、自分の場合を振り返ってみようと思いますが…。
ガンが発覚したのは、2011年の秋に受けた市の健康診断でした。
思えば若い頃から音楽中心の生活で、いわゆる保険があるようなちゃんとした仕事をしていなかったのもあり、高校を卒業して以来、一度も健康診断を受けていなかったコトを知った嫁のMiwaから、もの凄い勢いで激怒されまして、しぶしぶ受けたのです。
健診後、胃で要再検査という通知が来たワケですが、ネットにも大概は何事もない…とあったので、全く気にもせず指定された日に健康診断センターへ。
ガラガラなのに随分待たされるなぁ…と思いつつ、ようやく名前を呼ばれたと思ったら、何やら奥の別室に通されて、そこでいきなりのガン告知でした。
この時の心境は今でもハッキリ覚えていますが、あまりにショックが大き過ぎて、取り乱したり涙が出たり…なんてのを通り越して、妙に冷静なんですよね。
ひと通り説明を聞いた後に、“どれくらいのステージですか?”と、自分でもビックリするくらい淡々と聞いていましたし。
家系的にもガンの人が殆どいないし、何よりまさか自分が…なんて考えたコトもなかったので、この衝撃は人生の中でもそうそうないですね。

その告知を受けた際に、ステージ云々はさておき、とても珍しいタイプの希少ガンである疑いが強いと告げられ、近くの大学病院への紹介状を書いて頂き、その足で検査に向かいました。
先程も書きましたが、このGISTを扱える医師は何処の病院にもいるワケではなく、地方にお住まいでGISTを患った方などは、まずは主治医を見つけるのが大変で、その検査や治療のために遠出をしなければならないと。
その点、自分の場合は、たまたま近くの大学病院に専門の医師がいたという部分で、本当に幸運だったなと思います。

ここからは、当時のblogでも書いていますが、とにかく検査!検査!の日々でした。
当時のblog「You Sawaki ☆ Blog」
手術する前に、検査でゲンナリするくらいの数を受けましたね。
そして、ガン告知されてから検査が始まるようになって、徐々に怖さや不安に襲われるようになった気がします。
入院期間は、10日ほどだったかな?
手術は、予定よりもかなり長引いていたようですが、GISTの手術実績が豊富な医師だったおかげで、キレイに取り除いてくれました。
まぁ、術後3日目に胴体部分の麻酔が切れた時の激痛は、ホントに死ぬかと思いましたし、カラダにたくさんの管がついた状態での歩行訓練も、とても辛いものがありました。
そして、何より辛かったのが厳しい食事制限ですね。
手術の前日から手術翌日までは、一切食べれませんが、食事が再開されてからが本当の試練でした。
上の写真にある食事がまさにそれですが、たったこれだけの量を1時間以上かけてゆっくり食べなきゃいけないんです(泣)。

そして、退院後もなかなかの日々でした(笑)。
主治医から、コーヒー、お酒はもちろん、生野菜、麺類など…とても細かな食事制限を言い渡され、1ヵ月間は厳守するように!と…。
更に、自身の復帰ライヴでもあった(当時所属していた)THE POWERNUDEのライヴが、退院1か月半後に決まっていたので、入院で劇的に落ちてしまった体力を回復させるためのリハビリと、腹腔鏡手術による傷の痛みと格闘する日々でした。

この手術を機に、カラダも確実に変わりました。
まずは、ビールや幾つかの食べ物の味覚が以前とは違ったり、(カラダが)お酒を受け付ける量が激減しました。
以前は、ライヴの打ち上げでも平気で朝まで呑んでいましたが、今では考えられないです(笑)。
外へ呑みに行くこと自体が減りましたが、お店だと2〜3杯でもう十分!な感じですね。
それと、元々大食いな自分ならではの現象だと思いますが(笑)、食べたい量のイメージと受け入れる胃のギャップに、かなり苦しんだり…。
それなりに生活面で戸惑うコトもありましたが、今ではすっかり上手く向き合えるようになったと思います。
そして、転移・再発の可能性が最も高いとされる術後5年間のフォローも無事にクリアしまして、2017年の術後検診でようやく完治のお墨付きを頂きました!
この病気を機に、それまで甘く見ていた健康の有難みが、どれほど大きいモノか…思い知った気がします。

ガンから生還出来るか否か…。
全ては発見のタイミングかなと思いますが、この辺りはホント紙一重のトコだなと。
そういう意味では、発見のきっかけをくれたMiwaにはアタマが上がらない(笑)。
そして、同じガンで生還出来なかった友人や先輩もいる中で、自分は本当にラッキーだった、生かして貰えたんだなぁって心から思います。
このチャンスを無駄にせずに、そしてこの経験を単なる不幸自慢で終わらせるコトのないように、これからの人生の一瞬一瞬を大切にしていきたいと思っています。
というコトで、このコラムの結論としては…健康診断は大切です!!


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こちらが、切り取ったガンのようです。
部分切除した胃は、既に何処かへ…(笑)。

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1967年5月12日、福岡県大牟田市生まれ。
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