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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝真のwinwinの実現こそプロデューサー(2)

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
13回目です。前回は、プロレスとのタイアップの話。エゴで進めたハッスルとのタイアップの失敗。そのあとすべてのプレイヤーのwinを実現するストーリーを考えてのチームでの展開でプロレスリングNOAHとのタイアップがワクワクするものになった話を書きました。私はSpinartの筆者紹介で公言している通り、ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツによって心が満たされている人間です。今回は、そのモータースポーツについてwinwinの事例を書いていきましょう。


■ ローソンチケットからまたしてもうれしいオーダーが来た

前回のコラムで、私がローソンのマーケティング本部長、エンターテインメント本部長のころ子会社のローソンチケットからプロレスリングNOAHとのタイアップの打診があり、ローソン、ローソンチケット、プロレスリングNOAH、週刊プロレス、東京スポーツ、日本テレビという各プレイヤーのwinwinを追求したコラボレーションがステキに実現した話を書きました。当時のローソンチケットという子会社からすると親会社の役員はやや遠い存在でなかなかミーティングするということはない関係でした。その距離を縮めてくれたのがプロレスというコンテンツでした。そしてそのコラボレーションの成功を受けて、今度はモータースポーツとのコラボレーションの相談が舞い込んできました。当時のF1日本グランプリのチケット担当は株式会社ぴあの独占販売でした。ローソンチケットは関与することができなかったのです。この課題への取り組みとしてローソンチケットから相談が来ました。


■ フォーミュラニッポンに関わる

当時、日本のフォーミュラのカテゴリーでフォーミュラニッポンというジャンルがありました。ある知人を通じて「インパル」というチームにローソンとしてスポンサー契約してくれないかという営業がありました。フォーミュラニッポンの車体はトヨタの提供シャーシ、もう1つのレースであるスーパーGTでのインパルの車体はスカイラインGTR、つまり日産。ローソンは三菱会社の子会社なので、競合のスポンサーになってしまうということでかなり無理がありました。インパルの監督は、星野一義さん。現役時代は圧倒的な日本一の早さを誇るトップドライバーで私も大ファンでした。何度か星野監督がローソンにお越しになり一生懸命説明されました。心に響く言葉がありました。「命がけで走っているのだから、一流企業を背負って走りたい」 確かに、アメリカのインディーレースのスポンサーは、セブンイレブン、AT&T、ターゲット、DHL、バドワイザー、マクドナルドなどそうそうたる企業のロゴを背負って競争していました。フォーミュラニッポンでは、スポンサーとしてはありがたいことではあるのですが、クルマの部品メーカー、パチンコ、アニメなどのロゴが目立つ状態でした。実際に契約して、ローソンチームインパルが実現しました。当時は、スーパードライバー松田次生を擁し連戦連勝でした。モータースポーツ業界からもローソンという企業のモータースポーツ参戦に大きな期待を持っていただきました。


■ インディージャパンとF1日本グランプリを運営していたモビリティランドとの接点

この活動のさなかに、鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎを持つモビリティランドさんとの商談が始まりました。前述したローソンチケットの担当者からの相談です。まずはインディージャパンというアメリカのスピードレースの日本大会の協賛なのですが、これを鈴鹿ともてぎで行われるモータースポーツ全般という契約に変えさせていただきました。インディージャパンはツインリンクもてぎで行われていましたので、ローソンのLoppiでチケットを発券するとレース当日栃木県・茨城県のローソンの店舗でからあげクン無料券が使えるとか、アシモというAIロボットと遊ぼうコーナーでの特典とか、ピットツアーができるとか、カブトムシ取り放題の森にお子様を招待とか様々な特典を考えました。サーキットの観客増に大きく寄与しました。
さらにフォーミュラニッポンを盛り上げるにはどうしたらよいかという相談をいただき、スーパーカーにはまったおじさんたちは既にファミリーがいることから、ファミリーで楽しめるサーキット作りの提案をしたのです。インディージャパンの時にいろいろと考えた施策がそのままあてはまったのです。クルマのすごさなどからの発想ではなくてファミリーを持つお父さんがファミリーに喜んでもらうにはどうしたらいいかという発想で楽しく案を考えました。そういう関係が続き、あるときモビリティランドの社長から、ここまでマーケティングサポートをしていただき、また子供のころからクルマを好きになってもらうという魂を感じたので今後の鈴鹿でのF1日本グランプリは、ローソンチケットに任せたいという言葉をいただき、それ以降ローソンチケットの独占販売が始まりました。今、現在でも応援グッズやレッドブルさんとのタイアップなどF1日本グランプリを楽しんでいただくための提案が続いています。

好きなもの・ことにのめりこむとマーケティングでは失敗することがあります。マニアックになっていって大衆と離れてしまうことです。ただし、マニアックなジャンルはなかなか広く認められることはありません。であればとことんファンの心をつかむことと、関係するプレイヤーとは駆け引きではなくてチームとして細部にわたり設計していくことが大事です。そして、緻密なストーリーでなければいけないのですが、そこにステキな笑顔がどのプレイヤーからもあふれ出すようなプロデュースが大事になります。


■ お祝いも「ステキ」を尽くす

ローソンチームインパルがチームチャンピオン、個人チャンピオンを達成しました。ローソンとしてパーティーを企画したのですが、トップドライバーはわき役で、レースに関わったスタッフやエンジニアのみなさんをヒーローにした企画を実施しました。レース中に、みなさんのいい笑顔を真剣勝負の写真を撮りためておいて、全員をDVDの中で「最速の立役者」と表現して投影し、DVDもお土産でお渡ししました。レースはチームで行うものですがどうしてもヒーローはドライバーや監督になってしまいます。立役者の皆さんから喜びの顔や涙が見られました。後日談では、奥さまや子供にDVDを見せて、「パパ、かっこいい!」と言ってもらったというエピソードもたくさん聞きました。これもプロデュースです。こちらもファンですから浮かれて監督やドライバーと話すばかりになってしまいがちですが、この「最速の立役者」というパーティーは、チームで戦うということを根本から感じられたものになりました。

2話にわたって、真のwinwinを創る、というテーマで書いてみました。みなさんのプロジェクトは、あなたのプロデュースはいかがですか。


前の記事「真のwinwinの実現こそプロデューサー(1)」はこちら。
連載記事・真のwinwinの実現こそプロデューサー(1)

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