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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝鬼滅の刃の大ブームをどうとらえるか

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
16回目のコラムです。今回は、大ブームとなっている「鬼滅の刃」について触れてみます。原作の解説はおそらくみなさんの方が詳しいような気がして必要ないと思います。単行本や映画のヒットが破格なだけではなくて企業とのコラボレーション展開も破格なことになっています。それを感じてもらうとともに、最後にエンターテインメントの役割、人の心を揺らすこと というみなさんの役割について、再度想像してもらえるとうれしいです。


■ 鬼滅の刃の映画が破格の規模で公開された

10月16日公開したアニメ映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」、初日の16日だけで興行収入10億円を突破したと報道されました。この映画は、主人公の竈門炭治郎が家族を殺した鬼と戦うために修業し、鬼と化した妹禰豆子を人間に戻す方法を探して戦う物語です。2016年2月に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始。2019年にテレビアニメが放送されて人気絶頂の中、2020年5月に連載を終えて話題となっています。その人気を受け、10月に全国403の映画館での公開と破格の規模で封切られました。都内のTOHOシネマズ新宿ではなんと初日の16日に全12スクリーン中、11スクリーンで計42回、翌17日も41回上映されるというあり得ない展開となっています。関係者が掲げる興行収入目標100億の達成は難しくないのではないかと思ってしまいます。


■ ちまたはコラボレーションの嵐

以前からレポートしているように、今や流通やメーカーにとって人気アニメとのタイアップは大きな成果の出るキャンペーンになっています。ここ最近の中でも破格のパワーを持っているのがこの「鬼滅の刃」です。映画公開に合わせ、たくさんのコラボレーションが実現しているので、それを見てみましょう。一気にこんな数のキャンペーンが発生するなんて今までの経験でもなかったことです。

・日清食品のチキンラーメンでフィギュアプレゼントおよびコラボパッケージ展開
・ダイドードリンコでコラボ缶コーヒー展開
・丸美屋食品のカレーとふりかけに「キラキラシール」付録
・荻野屋で峠の釜めしコラボの「無限列車駅弁」発売
・築地銀だこでコラボたこ焼き及びオリジナルグッズ販売
・極楽湯でコラボキャンペーン コラボ風呂や限定グッズ、オリジナルメニューなど展開
・無添くら寿司でクリアファイルプレゼント等のコラボキャンペーン実施
・イオン店舗でサントリーフーズとキャンペーン ノートやステンレスボトルプレゼント
・お好み焼 道とん堀でコラボお好み焼き登場
・ドン・キホーテでクリアファイルやミニ色紙をプレゼント
・ユニクロで鬼滅の刃コラボTシャツ発売
・靴下屋でレディースサイズのショートソックスに刺繍で表現したキャラクター刺繍靴下発売


■ コンビニのアニメコラボといえばローソン

そして、アニメコラボといえばローソンのお家芸。私のローソン在籍時にも、ワンピース、ヱヴァンゲリヲン、リラックマ、ミッフィー、キティ、けいおん!など次々に展開してきましたが、その後も続々と展開をしてきました。このころは私は株式会社レッグスに転職してローソンのキャンペーンを提案者の立場で応援してきました。魔法少女まどか☆マギカ、進撃の巨人、ラブライブ!、Free!、弱虫ペダル、アイドルマスター、艦隊これくしょん、うたのプリンスさま、銀魂…枚挙にいとまがありません。おかげさまでファンからは、「ローソンはアニメ業界の発展に取り組んでくれているという」という評価もいただいています。当然のことながら「鬼滅の刃」についてもそのレッグスが奮闘しており、映画公開に合わせてローソンでも大々的に取り組まれています。

10月13日に発売が予定されているタイアップ商品を並べるだけでも、
・キャラクター焼印入り「からあげクン焦がしバター醤油味」
・煉獄杏寿郎の「ジャンバラヤおにぎり」「焼きカレーパン」
・オリジナルステッカー封入の「漆黒無限炒飯」「山かけうどん」「禰豆子の蒸し鶏と梅しらすのサラダ」「煉獄杏寿郎の炙り焼豚丼」
・ランチパック 炭治郎のメロンクリームと禰豆子のいちごクリーム(パッケージ3種)
・鬼殺隊サンド 炭治郎のレタス、善逸のたまごサラダ、伊之助の焼豚
・最後の試練 チョコシュークリーム
・「鬼滅の刃」マグカップ&みかんゼリー
・「鬼滅の刃」メロンミルク(パッケージデザイン6種)
・「鬼滅の刃」LOOK 抹茶(オリジナルミニ色紙付)
・チロルチョコ「鬼滅の刃」ザクザククランチ(パッケージ13種)
・ドラゴンポテトサワークリーム鬼オン味(パッケージ3種)
とすごいことになっています。また、このコラボキャンペーンは長く、このあとも続々と商品が登場する予定だそうです。また、年末年始には、「炭治郎と禰豆子のクリスマスケーキ4号」、缶とシールがついた「からあげクンBOX」が予定されており、お正月商品には炭治郎柄の風呂敷に包まれた「おせち」も発売予定とのことです。
また、すでに販売されている食品以外のオリジナル商品は「エコバッグ」「ボックスティッシュ」「アクリルスタンドマスコット」「付箋」「クリアファイル」といったアイテムを展開、野菜や果物を含む1000円以上の買い物で「オリジナル紙製バッグ」がもらえるキャンペーン、対象商品購入のレシートスタンプを集めてのグッズプレゼント、グッズの当たるスマホくじ、ローソンのATMを利用するともらえるクーポンで『鬼滅』の「クッション」「がま口財布」が当たるキャンペーンなど考えられるすべての施策でコラボが実現しています。

自分がローソンに在籍していた時のリラックマのキャンペーンでも、プライベートブランド商品だけでなく、ナショナルブランド商品も巻き込んで、そしてくじなども展開していました。そういう意味では根本的な戦術は変わっていないのだが、キャラクターの特徴や、ストーリーの面白さもあいまって、格段に強い破壊力を持って展開されています。


■ 多くの人の心をつかんだ「鬼滅の刃」

これまでの数あるアニメキャラクターコラボキャンペーンをはるかに上回るコンテンツとなった「鬼滅の刃」。週刊少年ジャンプ、コミックス、テレビアニメ、映画、配信とすべてのメディアを駆使して最強コンテンツとなったわけであるが、手法はもちろんのこと共感する原作の力が大きい。悪いものである鬼を復讐のために駆逐するのであるが、正しいことを追求する、一生懸命前に進む、逃げない・あきらめない主人公のたたずまいが共感を呼んでいる。また、鬼ももともと人間であり、鬼になった心のきっかけが、現代社会の闇である家庭内暴力、いじめ、貧困、病気という実は自分や自分の周囲にはびこっていることであることが子供にでもわかるような設計になっている。子供が惹かれるのと同様に、その子供に対峙する親や先生も身につまされ、そして社会の中でもがく人たちにも共感が広がる。自分は被害者だと思うが、加害者も苦しいかもしれないと思うこと、流されてしまいそうだが踏みとどまってみること…。たくさんある自己啓発の本やセミナーよりもすっと心に入って来るのかもしれない。

発信する側が大事にするには、「夢や希望」というちょっと遠いものより、「勇気や自信」という一歩踏み出せるものなのかもしれないと思った次第です。エンターテインメントが人の心を揺らし、ステキなストーリー創りをサポートしていく役割は無限大に大きい。さあ、我々はどう動きますか?

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