[ Spinart(スピナート) ] - あらゆる表現者・アーティストと出逢えるサイト

Logo Mark連載記事

Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝コンビニの店頭幕を見るだけ。観察から人々の生活を感じ取ろう

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

続きを読む

野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
24回目のコラムです。今回は、ずっと定点観察しているコンビニエンスストアの定点観察。中に入らずとも4つのチェーンの店頭に立って、店頭幕を撮影して考察するだけ。誰にでもできるマーケット把握です。観察から人々の生活を感じ取ろうと思って続けています。


■ コンビニエンスストアの店頭幕って意識していますか?

2020年8月から2021年1月までのGoToキャンペーンから再びの感染者拡大の中でのコンビニの対応が見て取れます。コロナ禍における中食の増加に伴い、商品開発とともにシーンを応援する取り組みが増えてきました。大手チェーンというのは従業員もたくさん抱えています。これだけ感染者が蔓延するタイミングでは従業員も感染者が高い頻度で現れます。保健所とも連動して対応が徹底されていますが、必ずレジでの対話オペレーションがありますので、いろいろな接触を減らす工夫もでてきました。また、テレビで特集されるコンビニスイーツのレベルアップによって、身近なコンビニにプチ贅沢を求める風潮も感じ取れます。そんな変化をお楽しみください。


■ 8月後半

ローソン…バカンス気分スイーツ! ブリュレパイシュー&スフレふんわりワッフル
セブンイレブン…プラスチック削減に向けて、マイバッグの利用をお願いします
ファミリーマート…アイス2個で30円引き
ミニストップ…ベルギーチョコソフト

セブンイレブンは、レジ袋有料化にあわせて長期にわたって環境への貢献を掲げています。人気のエコバッグなども発売して業界リーダーのスタンスをとっています。
ファミリーマートはメーカー協賛の企画を残暑にスポットで入れてきました。
ローソンは、次々に開発したスイーツを投入してきています。
ミニストップは、最も販売力の高いベルギーチョコソフトを投入しました。完全にブランドとなっており、修飾語なく「ベルギーチョコソフト」という店頭幕だけで最大の集客を行います。


■ 9月前半

ローソン…たまらなくたまごが好き TAMAGO↑
セブンイレブン…ポケットモンスター グッズ付前売り券 予約受付中!
ファミリーマート…スプーンを入れるとおいしい音がする! スフレプリン
ミニストップ…なめらかプリンパフェ

セブンイレブンはもう10年以上も続いているポケットモンスターの映画タイアップ。このタイアップと同時にタイアップ弁当やスタンプラリーなど人気の企画を投入します。コロナ禍によって子供たちに人気のある夏休み映画も上映時期が後ろにずれながら機会をうかがっていましたね。
ローソンは、パン、調理パンなどに卵を使った商品を投入しました。店頭幕からはちょっと伝わりにくいものになってしまいました。
ファミリーマートのスフレプリンはテレビ番組での料理の鉄人たちの間でも絶賛され大ヒット商品となりました。ファミリーマートは商品開発と広告宣伝の連動が非常によくなってきました。セブンイレブンは王道、ローソンは単発、ファミリーマートはシリーズ感という印象です。
ミニストップは自分らしさを貫く9月となりました。


■ 9月後半

ローソン…マチノパン 香りがふわっ、旨味がじわっ
セブンイレブン…今日からかしこいお買い物! セブンイレブンアプリ
ファミリーマート…ファミマのからあげ 新!ポケチキ
ミニストップ…ちびたこ / なめらかプリンパフェ

ローソンの9月後半はマチノパン。9月はパンのプッシュが続きますが、コンビニにおいてパンというのはなかなか外に伝えることが難しい商材ですね。なかなか店頭幕では伝わらない展開が続きます。
セブンイレブンは大失敗をしてしまったセブンペイの挽回ということで、ナナコやセブンアプリの訴求を続けています。セブンアンドアイホールディングスの中でアプリが散在していますが、グループとしてのポイント活用などが推進できればまた利用者も変化するのではないでしょうか。オムニチャンネルを最初に掲げた企業ですから、再度利用者の目線でアプリ戦略を考える必要がありそうです。
ファミリーマートは、ローソンが得意であったファーストフードにおいて、特にチキン関連は印象度が高くなっておりブランディングがうまくいっていると思われます。
ミニストップはファーストフードの新商品が矢継ぎ早すぎて店頭幕が2 in 1になってきました。この露出の仕方は効果を落としてしまいますが、スイーツとファーストフードが優位性のミニストップの開発スピードはすごいですね。


■ 10月前半

ローソン…鬼滅の刃キャンペーン
セブンイレブン…今日からかしこいお買い物! セブンイレブンアプリ
ファミリーマート…ぜいたく具材、たっぷり! ごちむすび新登場
ミニストップ…ソトクソトク / フォンダンショコラ

ローソンは、「千と千尋の神隠し」を超える過去最高の興行収入を超えてなお更新している「鬼滅の刃」とのタイアップキャンペーン。私がローソンにいるころからジブリ映画は常にローソンがタイアップしてきましたが、アニメタイアップといえばローソン!としての面目躍如の大ヒットキャンペーンとなりました。プライベートブランドだけでなく、ナショナルブランドもパッケージをローソン専用に変えるなど、ここまでできるかというレベルでのキャンペーンとなりました。担当する株式会社レッグスももはやライセンス業界の雄ですね。
ファミリーマートは久しぶりにおにぎりを強化してきました。
ミニストップは引き続き2 in 1での訴求。
全く違うジャンルのスイーツなので苦労がうかがえます。ソトクソトクとは、人気の韓国料理「トッポギ」でソーセージを包んだコリアンスナック。タピオカ、チーズハットグなどファーストフードの時流はコンビニの中では必ずミニストップがいち早くチャレンジしますね。楽しみです。


■ 10月後半

ローソン…ひとくちぼれ Uchi Café Specialite
セブンイレブン…今日からかしこいお買い物! セブンイレブンアプリ
ファミリーマート…本当においしいブラックコーヒーは甘い
ミニストップ…いつものおにぎり いつも100円

ローソンはコーヒーのお供になるおやつブランドのUchi Caféラインナップとして訴求してきました。ちょっとこれも伝わりにくくて、ローソン出身としては、社内論議をカスタマーの心を揺らす解決策での提示をしてほしい感じがします。
ファミリーマートは今度はコーヒーの店頭幕を、おもしろい問いかけで行ってきました。ファミリーマートは言葉でもちゃんと提案する=それは新しい提案だから、というスタンスを感じます。新しくCMOになった足立さんの影響でしょうか。
ミニストップはたまに訴求してくる100円おにぎり。手作りおにぎりも展開していますが、高額化するコンビニおにぎりの中で100円で提供、コーヒーも80円で提供 と追随しない個性があるように思います。
セブンイレブンはアプリを長期提案。店頭幕についてはこまごま変えずに訴求するスタンスがあります。


■ 11月前半

ローソン…NiZiu デビュー応援キャンペーン
セブンイレブン…今日からかしこいお買い物! セブンイレブンアプリ
ファミリーマート…あなたはどっち派?ファミマの自信作スイーツ誕生! ショコラチーズケーキ、プリンなチーズケーキ
ミニストップ…いつものおにぎり いつも100円

昨年の音楽市場で圧倒的に話題を集めたNiZiuのデビュータイアップもローソンが獲得しました。鬼滅の刃に続いてNiZiuというのはローソンのエンターテインメントブランディングがうまくいっている証拠ですね。
ファミリーマートのチーズケーキもテレビ番組で絶賛され、買いたいだけでなく、「人に言いたい」という要素も満たされています。このマーケティングは非常に優秀だと思います。


■ 11月後半

ローソン…からだ応援カンタンごはん
セブンイレブン…セブンイレブン×乃木坂46 限定動画公開中
ファミリーマート…あなたはどっち派?ファミマの自信作スイーツ誕生! ショコラチーズケーキ、プリンなチーズケーキ
ミニストップ…ショコラピスタチオ

感染者の拡大とともに中食のニーズが上がってきました。
ローソンはからだによく、簡単に調理できることの応援ということで、ブランパンやサラダチキンを強化して企画を展開してきました。
セブンイレブンは長期的な訴求の合間にエンターテインメントを挿入してきます。乃木坂46とコラボしたキャンペーン。
ミニストップは最近スイーツに使用することで話題のピスタチオをソフトクリームに盛り込んできました。ミニストップを見ているとスイーツの潮流を見ることができますね。


■ 12月上旬

ローソン…からだ応援カンタンごはん
セブンイレブン…パーティーメニューの準備はできた?最高のおうちクリスマス
ファミリーマート…新登場!魅惑の香りパン
ミニストップ…ショコラピスタチオ

12月初旬からセブンイレブンはいち早くクリスマス商戦にでました。タイアップはジャニーズ事務所のKing&Princeです。ジャニーズは一貫してトップチェーンとのコラボが続きます。
ファミリーマートはパンの新商品を出してきましたが、静かな12月上旬となりました。


■ 12月中旬

ローソン…おうちクリスマスはチキパ
セブンイレブン…パーティーメニューの準備はできた?最高のおうちクリスマス
ファミリーマート…おいしさ選べる!ぷりっと食感チキン!
ミニストップ…極旨チキン スモークチキンレッグ

中旬にてクリスマス商戦が整いました。
今年はステイホームでクリスマスというのが流れですので各社例年よりも少しプレミアムな商材に力を入れたようです。毎年の光景ですがクリスマスといえば店頭幕が赤と緑になる図式は変わらないようです。ホールケーキの予約を頑張るというよりは、チキン競争しながら2個入りケーキやアソートケーキのような提案が目立っていましたね。


■ 12月下旬

ローソン…ローソンアプリのお年玉 誰でもつかえるauPAY 総額1億円当たる
セブンイレブン…暮らしの変化に変わらない便利を
ファミリーマート…年末年始はいろいろお得!おうちで楽しくすごそう!
ミニストップ…Xフライドポテト 増量1.5倍

クリスマスが明けると一気に年末年始モードに突入します。
かなり大きなヘビーローテーションでTVCMが流れているauPAYのPONTAがもらえるプロモーション。auユーザーでなくても使えることが強調されています。
同様にファミペイもファミリーマート以外での使用に尽力していますね。あらたなPay戦争に打って出ました。
ローソンアプリの促進とauPAYの顧客拡大がタッグを組みました。以前は、コンビニエンスストアをまたいでの提携はなかったのですが、最近はPAYでもポイントでも自由自在ですね。使い勝手が良いか、お得なものが生き残る戦争になっています。
ファミリーマートもステイホーム需要喚起ですがちょっと店頭幕は曖昧でした。
ミニストップは毎年このタイミングでなぜかフライドポテトを入れてきます。
セブンイレブンは王道としての長期店頭幕の予感がする生活提案です。


■ 新年1月前半

ローソン…2021わくわくスマホくじ
セブンイレブン…暮らしの変化に変わらない便利を
ファミリーマート…700円以上お買い上げでスピードくじ
ミニストップ…鶏五目ちまき 中華まん売場にあるよ

ローソンとファミリーマートが新年のくじ企画です。
ローソンは、仮面ライダーとセーラームーン(今年はプリキュアではありませんでした)という男の子と女の子を意識したくじですが、お客様と店員との接触を下げる意味でもスマホによるくじ展開です。秋くらいからスマホくじを始めていますが定着しつつあるようです。ハードルが高いくじなので、コンテンツパワーを活用してわざわざアプリを開く仕掛けになっています。箱とくじだけでも1億円くらいは印刷費・納品費がかかりますから、効果が落ちずに定着すれば革命と言えます。
ファミリーマートは今後、どう対応していくでしょうか。
ミニストップは珍しいジャンルの告知となりました。


■ 1月後半

ローソン…NEWもっちり新食感おやつ もちもちチーズまる登場
セブンイレブン…暮らしの変化に変わらない便利を
ファミリーマート…ファミマのいちご狩り
ミニストップ…ショコラいちごソフト

ファミリーレストランなどもいちごフェアが盛んで街中ののぼりに「いちご」が溢れています。
ミニストップはいちごにショコラを加えてきました。ソフトクリームのヴァリエーションに脱帽です。
ファミリーマートの「いちご狩り」というセンスにも脱帽です。渾身のいちご関連商品をラインナップし、棚のあちこちからステキないちご商品を探せ!ということです。ここに自信が溢れています。昨年の「本当のブラックコーヒーは甘い」に続き言葉のセンスを感じます。
ローソンは次の定番商品を狙っています。ローソンは「もちもち食感」が大好きですね。


12回分レポートしてみましたが、なにかお感じになりましたでしょうか?
この下半期で目立ったには、ファミリーマートの言葉のセンス。頑張って開発した商品をキャッチコピーが促進するチームワークを感じます。本文でも書きましたが足立CMOの影響があるのでしょうか? 「本当のブラックコーヒーは甘い」「いちご狩り」など人に言いたくなるものでした。その合間でTV番組とも連動した話題にスイーツが展開されていてレポートのし甲斐がありました。
ローソンはスイーツはかなり高みに行ったと考えたか、ファーストフードの提案を多くしていました。そしてエンターテインメントコラボについては一日の長があります。
ミニストップはいつものスイーツ・ファーストフードに特化した変わらないスタンスがステキです。
トップのセブンイレブンは上半期からスタンスを変えておらず、社会的課題への返答。食品ロス対策、プラスティックごみ削減、に続き中食ニーズ拡大に伴う品質向上商品の提案をメッセージとして3~4週間の店頭幕展開できちんと訴求していくという姿勢でした。
中食という意味では、テイクアウトや通販も含めてさらに競争が激化しています。コンビニの特徴を生かした利用頻度アップ、配達、エンターテインメントな商品やコラボキャンペーンなどさらなる進化を感じてみませんか?

この記事への感想はこちらへどうぞ

この記事への感想を送る


野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

続きを読む

関連記事

準備中