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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝成功する姿を妄想する 勘違いする力が目標を達成させる

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。 アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
38回目のコラムです。今回は、私も登壇させていただいた助成金制度推進センターが運営する「あしたのミカタセミナー」という経営者などの生き様を中心に行う講演に、元格闘家の大山峻護さんに登壇いただきました内容が、みなさまにも大変役に立つのではないかということで紹介します。


■ 助成金制度推進センター

私が、元ミスマガジンの小阪有花さんが主催する「小阪食堂」にて、食事体験タイムの合間にマーケティングの講演をした時のリスナーの内田奈央子さんという方が運営しています。縁のスタートはそこでした。
彼女が私の講演を聞いて、「このカスタマーに寄り添った考え方を広めたい!」ということで、第1回の講演者となりました。
そもそも以前のコラムでも書きましたように、大山さんは「人と人のご縁つなぎ」を十年来ずっとやってきていまして、小阪さんも大山さんとのご縁つなぎの会で知り合いました。この会には、ミュージシャンや芸術家の方々もたくさんおり、経営者やステキなサービスを展開している方々ともよく交流しています。大山さんは作業ではなくて趣味のように今日の10人はどういう組み合わせにしようかなとたくらんでいます。
助成金制度推進センターは、複雑怪奇でプロでないとうまく進められない雇用助成金(とくにアルバイトの正社員化とか健康診断受診とか時給アップなどに助成されるものです)を企業に変わって成功させてあげるところです。私もかかわっていますが、クライアントや代理店へのサービスとして企画されているこのセミナーですが、センターの人たち本人がとても楽しんでいます。役割ではなくて一緒に成長しようというスタンスですね。そんな大山さんつながりもあって、当の本人にも講演していただきました。


■ 勘違いする力

大山さんの人生は、大きな挫折の連続だったのです。しかし、彼は、「勘違いする力」を持っていたと話します。まずは常に成功する姿を妄想しているというのです。
右目の網膜剥離、なんとかリハビリしたあとの試合での左目の網膜剥離、右腕・左腕の靭帯断裂、両膝損傷…学生時代からプロの格闘家という人生の中で、致命的な怪我を何度も何度も繰り返し、しかし、その都度、自分が最高のステージで勝利して喜ぶことを妄想してきたというのです。周囲にその体では闘うのは無理だと言われたり、ランクが違いすぎて君には無理だと言われたりしたとしてもです。成功を妄想してモチベーションをあげる人生なのです。彼の見本は、ウルトラマンであり、柔道の古賀稔彦さんでした。学生時代は柔道に明け暮れ、うまく上には上がれなく、競っていた同僚の瀧本誠さんにも大きく差をつけられてしまいます。そんな時でも成功を妄想していた彼は、誰もが考えていなかった躍進で決勝戦まで進み、勝ちたいと思っていたその滝本さんと当たることになり優勝してしまうのです。


■ プロ格闘家として

「勘違いする力」は続きます。
あるジムで出会った方の進言により、格闘家を目指すことになります。PRIDEでは桜庭和志vsグレイシー一族の闘いが日本を熱狂させていました。彼の妄想が始まります。東京ドーム、あのリングに格闘家として立ちたいと妄想が始まる。企業所属であったが退職し退路を断ち、アメリカの総合格闘技大会「King of the Cage」でプロデビューを果たし、開始17秒カウンターの右フックでKO勝ちを収め、試合後に、「PRIDEでハイアン・グレイシーと対戦したいです!」と発言したのです。PRIDE初参戦となったPRIDE.14で桜庭和志を破ったヴァンダレイ・シウバと対戦するも、シウバにスタンドパンチ連打でTKO負け。PRIDE.15ではヴァリッジ・イズマイウと対戦するも肩固めで失神し敗北した。右目の網膜剥離を発症し、長期欠場することになってしまいます。復帰戦PRIDE.21では、ヘンゾ・グレイシーと対戦し、判定勝ちしPRIDE初勝利するも、同年、弟のハイアン・グレイシーと対戦では腕ひしぎ十字固めで一本負け、右腕肘関節脱臼骨折に追い込まれてしまいます。さらに右腕の状態が不完全ながらも復帰戦を行ない、ダン・ヘンダーソンと対戦するもKO負け、左目の網膜剥離を発症し、またしても長期欠場となってしまいます。こちらから見ていると、成功を妄想しているのに、どれだけの非情な結果と大きな怪我がついて回るのかという感じです。


■ 今も妄想は続いている

若いときは、自分のためだけに活動してきた大山さん。勝って自分が最高に喜ぶことを妄想してきました。応援してくれていた祖父が、大山さんの晴れ舞台の大会を楽しみにしていたのに、大会の前に他界されてしまった。自分の勝利で自分以外の人が喜ぶということに気がついた大山さん。自分が喜ぶ妄想を通じて、自分を通じて喜んでくれる他人の存在を意識するようになります。
先ほど紹介した「ご縁つなぎの会」ではステキな人たちをつなぎ続けています。「ファイトネス」という企業向けのプログラムでは100社以上の企業の従業員のモチベーション向上に寄与しています。朝のオンラインエクセサイズではたくさんの方々から「人生変わった」という言葉を引き出しています。そして設立したYOUDO協会を通じて、アスリートと障がいを持った子供たちをつないでいます。大山さんによる利他はとどまるところを知りません。


喜びを描き、喜びを味わい、喜びを伝える。心が揺れた講演でした。勘違いや妄想という言葉は、ややネガティブな響きを持ちますが、その言葉を、超ポジティブに変える発想と信念に触れられた機会に感謝です。

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野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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