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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝7本指のピアニスト西川悟平さんコンサート

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
78回目のコラムです。このコラムでも何度も紹介している元K1ファイターの大山峻護さんのお誘いで、奇跡の7本指のピアニスト西川悟平さんのコンサートに行ってきました。20年以上もあらゆるジャンルのステキな方々をおつなぎし続けている大山峻護さん。経営者、トップアスリート、格闘家、トレーナー、アーティスト、ダンサー、アイドル、バチェラー、タレント、アナウンサー、プロデューサー、シェフ、映画監督、脚本家、編集長、テレビマン、マーケター、デザイナー、ビューティー・ヘルスケア専門家、講演家、医者、教授、人材コンサルタント、神主、大使、冒険家、スピリチュアル…ありとあらゆる方々と出逢うことができました。そんな中で、今回は、西川悟平さんのコンサートにみんなで行ってきました。


■ 西川悟平さん

ニューヨークを拠点に活動し、カーネギーホールなどで聴衆を熱狂させているピアニスト。輝かしいキャリアの途中で、突如ジストニアという難病に冒されながらも、懸命なリハビリの末、7本指で再起を果たした奇跡のピアニストです。ようやく動かせるようになった7本指の演奏は、力強さとやさしさを持ち、独特のスタイルとなって人の心を揺らしています。
PanasonicのCMや映画「栞」の主題歌も手掛けています。記憶に新しいところでは、2021年に「東京2020パラリンピック閉会式」でグランドフィナーレを飾っています。
コンサート当日は、様々な体験を大爆笑も誘いながら、トークの合間に楽曲がちりばめられていきます。クラシックを楽しむシナリオになっていますなどということはなく、エピソードと今伝えたい楽曲をストーリーにしていきます。


■ 世界的な音楽家になったきっかけ

学生時代に、ブラスバンド部に入部しチューバを始めたが、音大受験にピアノ演奏が必須と知り、ピアノを始めます。なんと15歳からの開始だったそうです。周囲を見れば、「えっ、今から?」という状況ですが、やると決めたら進む、それ以外のことは考えない方のようです。
就職後もピアノ演奏は続けていたが、1999年にピアノ調律師から、「海外の有名なデュオピアニストが大阪でコンサートをするから、その前座で弾いてみない?」と誘われたそうです。そのときは、和菓子屋でアルバイトをしていて、「店がとても忙しいので無理」と返答し、調律師の人がびっくりしながらも、必死に説いて前座として演奏したとのことでした。当日は、思うような演奏ができなかったと悔やんでいたのですが、当日のメイン演奏であったディヴィッド・ブラッドショーとコズモ・ブオーノから「荒削りだけどユニークでドラマティックな演奏だった。もし、本気で勉強したければ金銭的な心配はいらないからニューヨークで僕たちの弟子になればいい」とスカウトされたそうです。そして、ニューヨークに行く決断をします。


■ ニューヨークデビュー

コズモ・ブオーノの家で居候しながら夜間を猛練習で過ごし、昼間はディヴィッド・ブラッドショーのもとに通ってレッスンを受けました。3か月の予定だったようで、弟子期間が終了する1か月前に、リンカーン・センターのアリス・タリー・ホールでのリサイタルをやってみないかと言われ、このリサイタルが成功して、プロのピアニストとしての道が開けました。そして、翌年から定期的にカーネギーホールにて演奏することになります。こんなに短い期間にとんでもないDREAM COMES TRUEが起こった感じですね。


■ ジストニア

ところが、2001年脳神経が異常をきたすジストニアによって両手の演奏機能を完全に失ってしまいます。5名の医者に「プロとしてピアノを弾くことはもう不可能」と言われ絶望します。
そんなときに幼稚園に呼ばれ、演奏を頼まれますが、当時は5本がやっと動くくらいの状態なので、とても人に見せられるものではないと思ったのですが、子供たちだし!ということで、ゆっくり「きらきら星」を弾いたところ、数秒で子供たちが踊るし歌うし…という状況になったようです。特に西川さんの指を見るわけでもなく。これが今のステキな演奏につながるきっかけということでした。
私が経営に参加している高木学園も幼稚園があります。アンケートをしてみたところ、今一番求められているのが、英語×ダンスだそうです。友人の馬場彩月さんは、ハンガリー国立バレエ学校から帰国後、幼稚園に仲間と英語×ダンスを展開しています。NFLなどでチアリーダーだった方に幼稚園に来てもらうと、英語で話しているのに子供たちは数秒でのりのりに踊り始めます。高木学園でも彼女のプログラムの導入を決めました。
子供達にはそういう力があるのですね。そんな子供たちのパワーが西川さんの人生を変えたのかもしれません。リハビリにより右手と左手の指2本の7本でステキに演奏できるように回復しました。


■ 指が7本も動く

「7本指のピアニスト」として知られるようになったあと活動は大きく広がり、2008年、イタリアで行われる「アレクサンダー&ブオーノ国際音楽フェスティバル」に招かれ、ヨーロッパデビュー。2009年、ピアノ界の殿堂ニューヨークスタンウェイホールにてリサイタルを開催。同年、バンクーバーで行われた「国際障害者ピアノフェスティバル」でクリスタル賞を獲得。2015年、フィラデルフィアで開催された国連創設70周年コンサートにてソロ演奏。2016年、NYカーネギーホール大ホール公演「Harmony of Peace」にソロ出演。定員2800席を超え、ステージに客席を作り、3200名以上動員し大好評を博します。また、財団のチャリティーイベントを通じて、パーキンソン病を患うマイケル・J・フォックスや女優のアン・ハサウェイなどとも会い、交流が続いています。
2017年には、テレビ番組で、鬱病により自らの命を絶ってしまった、日本が大好きだった少年、リアム・ピッカー君の生前の夢を、西川さんが叶えるという特集が放映された。彼の両親が西川さんの音楽活動を知り「日本人のあなたにこの曲をアレンジしてピアノで演奏してほしい」というリクエストがあり、リアム・ピッカー君との共同制作曲となった「Winter」という大事な曲もコンサート当日演奏してくださいました。われわれ聴衆は目を閉じてその情景をかみしめながら聴きました。
「指が7本しか動かない現実を、7本も動くと考えを切り替えたことで今がある。多くの人にとっての不具合は実は考え方次第なのではないか」とのメッセージをいただきました。


■ 東京パラリンピック2020の閉会式

大会の締めくくりはみなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか? 東京オリンピックが決まった時から、この大会のエンディングを自分でやることをイメージしていたということで、決まってから数年、世界中で関係する人に「自分がやりたい」と本当に何人にも何度でも言い続けたとのことです。妄想は必ず実現するまでこだわる! 以前にコラムに書いた大山峻護さんと全くシンクロする話です。ぞくぞくしました! そして、このステキな実現のために、今後のアメリカでの大成功が約束されたような環境や人脈を振り切って、夢であった東京パラリンピック2020の閉会式を優先して、そして日本で活躍する西川さんの姿があります。

この日聴かせていただいたコンサートは、銀座にある「GINZA 7th Studio」というスタジオです。西川さんの音楽活動を応援する人が、スタインウェイ社製のピアノや宿泊設備などを備えた銀座のスタジオです。ご挨拶もさせていただきましたが、もともとはTVプロデューサーの方でした。ほんとうにほれ込んだのですね。西川さんのホームページも覗いてみてください。
西川悟平オフィシャルサイト


■ 【おまけ】泥棒とのエピソード

ステキなコンサートなのですが、とにかくトークが面白すぎます。その中の1つ…。
当時住んでいたニューヨークの賃貸マンションに在宅中、2人組の泥棒に入られた。侵入された瞬間は恐怖したが、彼らが子供の頃から不幸な家庭環境だったことを知って、恐怖から好奇心に変わります。その日が犯人の誕生日だったことから「ハッピーバースデートゥーユー」をピアノで弾いてあげると、誕生日を祝われたことがない泥棒は感激し、いろいろ境遇を話してくれた後、何も取らずに立ち去ったそうです。去り際に、カーネギーホールの一番大きなホールで弾く日が来たら招待する約束をし、翌年カーネギーホールで演奏会の開催を知った彼らから連絡が入り、VIP席を用意して、2人を迎えたとのことです。この話はなんと映画にもなったそうです!


夢は大胆に妄想し、実現すると信じる力が成功へと導く。以前、大山峻護さんのことを書いたコラムでも同様にコメントしました。信じることと続けること、ここからステキなストーリーが生まれます。

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