2024/10/05
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
112回目のコラムです。今回は、定点観察として定期的にレポートしている「コンビニの店頭幕から戦術を読み取る」です。今回は、2024年4月から2024年9月の店頭幕です。みなさんにとって当たり前の風景のコンビニエンスストアですが、よくよく観察してみるとそれぞれの戦術が見えてきます。コンビニがどれもこれも同じ戦術なわけではないのです。
4月:新作チーズ満開! からあげクン
4月:おにぎりを350円購入ごとにドリンク無料券もらえる
5月:ご褒美スティックケーキ誕生
5月:ふるふるサラダめし バランスチャージ
6月:またまた帰ってきた! お値段そのまま47%増量 盛りすぎチャレンジ 創業祭
6月:おにぎりを350円購入ごとにドリンク無料券もらえる
7月:からあげクンじゃない!? NEW海からクン
8月:おにぎりを350円購入ごとにドリンク無料券もらえる
8月:新作レモン爽快! からあげクン
8月:ローソンアプリで獲得フェア 毎日使える パン各種20円引きクーポン
9月:とろサクッ! NEW新食感メロンパン
9月:ソースが主役 新生パスタ
ローソンは、この6か月の間に、「おにぎりを350円購入ごとにドリンク無料券もらえる」を3回も投入してきました。コンビニのおにぎりも原材料高騰を受けて、そして具材のこだわりで、手軽に買える価格ではなくなってきましたね。品質には自信のあるおにぎりを買っていただくために、高額おにぎり、または、複数購買を促進しつつ、メーカー協賛のドリンク無料券という効率的なキャンペーンです。費用対効果だけでなく、実際の購買効果もあるので繰り返しているのでしょう。
その他には、チーズ、レモンなどからあげクン+海からクンというキーになる商品の訴求が目立ちました。からあげクンは、柑橘系の商品を出すと女性の購買がかなり増えるのです。そして各社とも増量という昔ながらの企画を投入しています。昔はなんちゃって増量な感がありましたが、今は数字を入れて本格的な増量になってきていますね。こういうところを各社が競うのは良いことです。
最近の大きなニュースとしては、KDDIがローソンにTOBを実施し、三菱商事と非公開後に共同経営するという発表がありました。ローソンのデジタル戦略は加速していくことでしょう。この6か月間、お得意のエンタメコラボが店頭幕に出現することはありませんでしたね。
4月:うっとり濃厚 至福のくちどけ おいしくなったカスタード SEVEN SWEETS
4月:食卓を豊かにする セブンプレミアム惣菜・冷凍食品
4月:春のおでかけに さあ!おにぎりと一緒にでかけよう
5月:感謝祭 お値段そのまま人気商品増量フェア
5月:食卓を彩るカップデリ
5月:激押し 韓国グルメ大集合
6月:魅惑のふわふわ まっしろスイーツ
6月:あんしんザ・定番 おすすめ新・定番 夏を愉しむ冷たい麺
7月:毎日がSPECIAL夏祭
8月:スタミナ満点!野菜たっぷり! 夏を乗り切るお弁当
8月:食卓をおいしく彩る セブンプレミアムゴールド セブンプレミアム
9月:確かな品質をお求めやすく! うれしい値!宣言
セブンイレブンの6か月間はオーソドックスな商品訴求になりました。あまり驚きがない感じ。セブンスイーツ、セブンプレミアム、カップデリ、冷し麺、おにぎり、お弁当など、固有商品名の登場しないジャンルを訴求し王道感をだそうということですが、ちょっと抽象的でしたね。こちらも増量フェアは展開していました。
9月の「うれしい値!宣言」では前述したカスタマーの物価高感に対応しようとしている気がします。大手スーパーでも円高還元などの名目で安くする商品を増やしています。少し安くする方が2つ買えて実は単価アップということもありそうです。
地域商品フェアが中心になったり、セブンイレブンアプリが中心になったり、オーソドックスな食事提案が中心になったり、6か月でも随分変わることが分かります。
4月:ぷるあま&ほろにが さらに新食感も! 最高プリンスイーツ登場!
4月:おいしいおむすび、続々登場 正統派(山形屋海苔店監修)vs個性派(どん兵衛・UFOコラボ)
4月:ゴディバ監修 フラッペ新登場
4月:旨い冷し麺 定番&名店監修も全麺一新
6月:対象商品週替わり ファミマのおトクが止まらない! 1個買うと1個もらえる
6月:デッかくおいしさUPでファミチキ越え!? 新クリスピーチキン
7月:ハワイのおいしさ大集合 自信作登場
8月:お値段そのままデカくてうまい!! たぶん40%増量作戦
8月:名店監修のこだわり 絶品おむすび 和の名店賛否両論 洋の名店上野精養軒
9月:背徳のコンビニ飯 本能にあらがえない禁断のうまさ
ファミリーマートは、とにかく開発商品推しです。プリンスイーツ、ゴディバフラッペ、クリスピーチキン、背徳のコンビニ飯…オーソドックスではありません。
また、対決シリーズのおむすび「正統派(山形屋海苔店監修)vs個性派(どん兵衛・UFOコラボ)や、「和の名店賛否両論 洋の名店上野精養軒」、「定番&名店監修も全麺一新」など、一度買ってみようかなという気にさせる仕掛けが満載です。
ファミリーマートも増量企画は常に仕掛けています。そして、ローソンのおにぎり購入でドリンクゲットと同様に、「1個買うと1個もらえる」も定番で投入しています。カスタマーに優しい企画が受けているのでしょう。
おもしろいネーミングと商品開発力のアピールがファミリーマートの戦略のようです。
4月:ハロハロ まっちゃ×MATCHA
4月:北海道産生乳使用 ソフトクリームバニラ / フロートカフェラテ つぶつぶいちごミルク
4月:ハロハロ パチパチ 温州みかんソーダ パチパチキャンディ入り
5月:プリンパフェ ロレーヌ岩塩使用
5月:ハロハロ パチパチ メロンクリームソーダ クラウンメロンピューレ
6月:長野県産シャインマスカット使用 シャインマスカットソフト
6月:まぜてのむ ほろにがコーヒーゼリー
7月:ハロハロ 果実氷すいか 雪塩入りすいかシロップ
8月:ハロハロ パチパチ さわやかソーダ パチパチキャンディ入り
ハロハロ 果実氷すいか 雪塩入りすいかシロップ
8月:香り広がる、幸せパフェ 完熟白桃パフェ
8月:茨城県笠間産和栗ソフト使用 プレミアムソフト贅沢和栗
9月:HOTDOG / 投票受付中 ミニストップ総選挙
9月:なめらかプリンパフェ
そしてミニストップは全くぶれないスイーツ開発一択の戦略です。
上位3社と比べると圧倒的に店舗数の少ない4位のミニストップですから、逆に大量発注ではなく、限定感を出す文言が光ります。北海道産生乳使用、温州みかんソーダ、ロレーヌ岩塩使用、クラウンメロンピューレ、長野県産シャインマスカット使用、雪塩入りすいかシロップ、茨城県笠間産和栗ソフト使用など、「今のうちに食べておこう」と思ってしまう限定感がステキです。
先般のテレビ番組「ジョブチューン」でミニストップは、番組史上初の全10商品合格を成し遂げてましたね。スイーツにかける思いが店頭幕からも伝わってきます。
9月のミニストップ総選挙では、エントリー商品が公約=値引をかかげています。大きなタイアップキャンペーンなどはできないチェーンですが、商品開発力は見逃せないですね。
各社はどれだけおいしくするか、おもしろくするか、という競争ですが、どれだけカスタマーのお財布に寄り添うかも大事になってきそうです。そして食品ロス対策=賞味期限前の商品の値引きやポイント付与なども視野に入れてくるでしょう。いろいろな素材盛り盛りで、けっこう値段が上がってきていますが、シンプルでおいしくてお手頃なものも意識していってもらいたいですね。
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
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