2024/10/13
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
113回目のコラムです。顧問先の助成金制度推進センターにて「ファン作り講座」というものを開発して2時間の研修を行ってきました。ファン作りは、アーティストやアスリートにとってはもちろんですが、営業でもスタッフでも経営者でもステキなストーリーを進めていく上ではとても大事なことです。どんなふうに講義したのかを書きたいと思います。
ベテランが増えて自分のやり方を押し通したり、社員の入れ替えが起き、新しい人に体系的に教えることができなかったりといろいろ課題があって、経営幹部の方々と再度、助成金制度推進センターのファン作り、ずっと寄り添って中小企業を支えながら永続的に成長していけることについて、覚悟を決めて作り上げていこうと約束をして改革がはじまりました。個人で闘うのではなくてチームで闘う、そのためにはそれぞれの引き出しを共有して強いチームになる。社内だけではなく社外から見た自分たちを意識するなどのことが大事そうでした。
助成金制度推進センターの原点は、「1社でも多くの中小企業に雇用助成金を獲得してもらい、ステキなストーリーをもって永続的に成長していただくこと」です。いろいろ手を出したり、我流に進めてしまったことに気がついたときに、振り返ることができる原点です。みなさんにも原点があるはずです。
会員企業様が契約を更新してくれるには、結果が出ることとパートナーとして認めてもらうこと。
新規企業様が契約してくれるのは、担当者が信頼できること、たくさんの企業を幸せにしている事実があること。
当たり前のことですが、主語は「お客様」でなくてはいけないのですが、こちらの都合、システムの制約、自分の部署のことではないという縦割りなどなど往々にして主語が変わってしまってファンは離脱していきます。
まずは社外のお客様が優先なのですが、こちらのチームがしっかりしていなければ所詮はお客様の役には立ちません。「俺がフロントだ、スタッフは後工程なので指示通りやっておけ」よくあることです。スタッフはフロントを尊敬し、フロントはスタッフに感謝していることがマストです。上下ではなくチームなのです。私はリクルートに入社したとき、ひどい業績の営業マンでした。すぐにスタッフに異動しましたが、こんなダメな奴がまだ存在してよいのなら、フロントがもっとやりやすくなるようにとことんサポートのしくみを改善しようと思いました。続けていくうちに、「お前がそこまで言うならやるよ」と多くの方々に言ってもらえるようになりました。こちからのリスペクトだったのですが、リスペクトが返ってきました。私はとことん役に立つと考えるようになり、その結果リクルートでも転職2社目のローソンでも考えられないくらいのいろいろな部署の兼務となって行きました。その結果、膨大な引き出しが私の頭の中に存在することになります。それでも30歳ではじめてマーケティングの部署に異動すると外国にいるみたいに言葉が通じませんでした。メディアを作っている方々にお客様の心の揺らし方をレクチャーする会でスピーチするように言われたときに呆然としたのです。短い時間で、200個の成功事例を取材し、誰でもわかる言葉しか使わずに一生懸命リハーサルして臨みました。結果は、スタンディングオベーションが鳴りやまないものとなりました。はじめての「自信」となった瞬間です。「仕切る」前に「役に立つ」を考えるのが良かったのかなと思います。「ありがとう」と言った積み上げと「ありがとう」と言われた積み上げ 社内でもファン作りを実感していきました。
自分の引き出しだけではなく、チームや知り合いの引き出しも大事です。「他人の手柄は他人のもの、他人のナレッジはみんなのナレッジ、私の引き出し」たくさんの引き出しがないと社外の方はファンになってくれません。
ローソンチケットの社長時代の話です。ミュージックシーンの中心にいる会社の役員からは、「音楽業界とばかり話していると愚痴が多くて世界が広がらない、ローソンのマーケティングをしていたあなたと話したい」「野林さんは疑問をぶつけると即レスで返ってくる、大事にしたい」と言われました。あるタレント事務所の社長からは、「うちのメインタレントだけではなく、駆け出しのバンドまで気にかけてくれた、そういう人を信じたい」。あるキャラクター会社の方からは「野林さんの言うステキなストーリーでビジネスを考えるというスタンスに感銘している、最優先で話したい」、ファン作りは、儲けさせてくれただけではなく、その人のストーリーに寄与した、とか、一緒に新しいマーケットを作ることができた などの体験が大事そうです。
ローソンのキャンペーンでは、タレント事務所、メディア、スポーツ団体、広告代理店などがかかわります。コンテンツのステキを十分に理解したうえで、それぞれにメリットがあるようにコラボしていくことが成功の条件です。そのメリットを都合の良い解釈ではなく、ほんとうに深く考えて仕上げていきます。こういうときこそ、ファン作りの真骨頂が発揮されます。
研修では商談の後のお礼メールの話もしました。よくやりがちな、「本日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。」で終わってしまうメール。即削除です。長いメールは嫌われるとも言いますが、少なくともメールに本日の感想や自分がどう役に立てそうかなどを短くても挿入します。「会ってファンになっていただき、お礼メールで受注する」くらいの心は配りたいですね。受講生のみなさんには、私もお客様とのメールのやり取りを紹介しました。ちょっと長めです。しかし、そのあとお客様からもっと長い一緒にやりたいというメールが返ってきました。原文ママ紹介しました。お客様に関心があるから、自分がどこに役に立てるのかがわかります。お客様が自社のカスタマー理解が足りないと思えば、一緒に聞いていきましょうと協業を呼びかけます。覚えてもらうのは、個性だけではなく、ステキな味方であると認識してもらうことかもしれません。
心掛けていること
・『カスタマーを知る』でインパクトを持つ
・体験する、ステキに報告する
・引き出しの出し惜しみをしない
・情報は常に自分のものにする
・自分に関係ないことも協力する
・関係に上下はない、だから、もっと役に立つ
・感謝をする、感動を伝える
・時間を守る、約束を守る
・いち早くレスポンスする
・つなぐ
アーティストのみなさんは、企業研修を受けるわけではないので、このままというわけにはいかないと思いますが、みなさんの思いを伝える、みなさんのイベントに協力してもらう、異業種とコラボするなどいろいろなシーンがあると思われます。自分なりの「ファン作り」を整理してみてはいかがでしょうか?
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
準備中