2024/11/17
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...
野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
アーティストのみなさんと接する機会も多いのですが、どんな人の心を揺らしたいのか、何を感じてほしいのか、人に言いたくなってしまうことはどうしたら起こるのか、そもそもあなたのアートによって人はなぜ幸せになるのか…答えは1つではありません。でも、常に考えていたいですね。そんな皆さんのヒントになれば幸いに思います。
115回目のコラムです。大物のハードロックバンドが次々に来日しています。サミー・ヘイガー、アイアン・メイデン、ジャーニー。衰えのないヴォーカルと、レベルの高い演奏をキープする彼らのステージを観て、興奮というより満足感という感覚になりました。少し記していきます。
サミー・ヘイガーは、ヴァン・ヘイレンの元ボーカリスト。1973年、モントローズのボーカリストとしてデビューしましたが、1976年にソロ・デビュー。「ヴォイス・オブ・アメリカ」と賞賛されるようになり、「I Can't Drive 55」の大ヒットはMTV世代は何度も見たことでしょう。1985年、ヴァン・ヘイレンに加入し、スタジオ・アルバム4枚をBillboard 200の1位に送り込みました。2024年7月13日より、ワールドツアー『The Best of All Worlds 2024 Tour』を開催。今回の来日公演となりました。
来日メンバーは、サミー・ヘイガー、ジョー・サトリアーニ、マイケル・アンソニー、ケニー・アロノフ。ケニー・アロノフは、緊急で来日できなくなったジェイソン・ボーナムに変わっての参加でした。ヴァン・ヘイレンの楽曲を含んだパフォーマンスをするツアーで、日本のみ「Can't Stop Lovin' You」を演奏しました。演奏された曲は全21曲、サミーのソロ楽曲は5曲演奏されました。
合間合間に休憩していたサミーですが、とにかくテキーラやビールを飲みまくってました。すごい77歳です。
エンディング・パートの3曲の前に、サミーのソロ作品の4曲が演奏されました。とくに「I Can't Drive 55」では当時ヘビーローテーションであったミュージッククリップとともに演奏され興奮しました。エンディングは日本公演のみ演奏された「Can't Stop Lovin' You」「Jump」と続き、「When It's Love」で幕を閉じました。ジョーのプレイはエディへのリスペクトを感じましたし、マイケルは、サミーとの当時のコミュニケーションを感じさせてくれました。とにかくサミーが元気。だいぶ歳を取った自分などと言っていられません。
アイアン・メイデンは、1980年代初頭にイギリスで発生したヘヴィメタルの潮流「NWOBHM」(New Wave Of British Heavy Metal)の代表格として地位を確立。現在もコンスタントにアルバムを発表し精力的に活動しています。
1983年4thアルバム『頭脳改革』、1984年5thアルバム『PowerSlave』、1986年6thアルバム『Somewhere In Time』、1988年7thアルバム『第七の予言』、1992年9thアルバム『Fear Of The Dark』など数々の名盤を残し、脱退したブルース・ディッキンソン、エイドリアン・スミスが1999年に再加入してトリプル・ギターの全6人編成となっています。リユニオン期にも、6枚のアルバムをリリース。2021年日本の侍をモチーフにした6年ぶり2枚組の17thアルバム『Senjutsu』をリリースしました。現ラインナップは、ブルース・ディッキンソンVo、スティーヴ・ハリスb、デイヴ・マーレイG、エイドリアン・スミスG、ヤニック・ガーズG、ニコ・マクブレインDr。
最新作のサムライ化したマスコット・キャラクターのエディが日本刀を掲げるジャケットの『Senjutsu』と新宿歌舞伎町ばりのサイバーSFのイディオムを取り入れた86年の傑作『Somewhere In Time』という2枚のアルバムにフォーカスしたワールド・ツアーの日本公演でした。観客は気合の入ったベテランが多めでしたが、最近の伝説のバンドのライブでは普段着の方をよく見かけますが、思い思いのアイアン・メイデンのTシャツを着たファンであふれていました。ライブ前後の会場近くの居酒屋でもマスコットであるエディがプリントされたTシャツをたくさん見かけました。もちろん私もその中でも狂暴そうなエディを身にまとっていきました。
ブルース・ディッキンソンの相変わらずのパワフルなヴォーカル、激しいのに完璧感を感じさせる演奏、今回のツアーではラインナップされていなかった『The Number Of The Beast』『Seventh Son Of A Seventh Son』なども映像を駆使したヴィジュアルで観客を煽りました。「Fear Of The Dark」「Iron Maiden」「The Trooper」「Wasted Years」で一気に仕上げてくれました。個人的にはずっと演奏していない『Power Slave』からの楽曲の演奏をいつか期待したいですね。
1970年代中期から隆盛した「アメリカン・プログレ・ハード」の代表的なバンドとしても知られています。ニール・ショーンG、スティーヴ・ペリーVo、ロス・ヴァロリーB、スティーヴ・スミスDr、ジョナサン・ケインKeyの5人体制となったころに発表されたアルバム『Escape』が全米1位を獲得。その後もヒット曲を量産するが、スティーヴ・ペリーが心労を理由にリタイアし、活動休止となってしまいます。2005年ころからは、メンバー全員がそれぞれリード・ボーカルを担当する「持ち曲」が設けられていました。今回の日本公演でも、そのスタイルが随所に大事にされていました。へえ、全員歌うんだ…という感じ。2007年フィリピン人シンガーのアーネル・ピネダをリード・ボーカリストに迎え、バンドは再始動しました。
ボーカリスト不在の中、ニール・ショーンが、YouTubeでアーネル・ピネダがジャーニーの「Faithfully」を歌っているのを偶然視聴し、スティーヴ・ペリーを彷彿とさせる声質と高い歌唱力に衝撃を受け、アーネルに連絡を取り、オーディションを通じてヴォーカリストとなりました。アメリカンドリームです。アーネルがジャーニーに加入してから既に17年経っています。ジャーニーの顔ですね。
オープニングから人気曲が披露され、アリーナとスタンドを埋め尽くしたファンは大歓迎。アーネルは、とにかくアクティヴに動き回り、観客を煽り、つねに笑顔で観客とのコミュニケーションを楽しんでいました。まさにジャーニーヒットパレード。来日直前にブラジルで行われた音楽フェス「ロック・イン・リオ」に出演して、アーネルへの批判がSNSで渦巻いたとニュースになっていました。アーネルは、ほんとうに批判が多いのならジャーニーを辞めても構わないとツイートしたり、ニール・ショーンやジョナサン・ケインが彼以外にジャーニーのヴォーカルはあり得ないなどと反論していることもニュースになっていました。そのフェスではサウンドの問題があったのかもしれませんが、この日ライブを聞く限り何ら問題のない素晴らしいステージでした。全25曲の大満足のヒットパレードでした。大阪・横浜公演を含む計4公演で25,000名を動員する超満員のライブでした。
今回の来日メンバーは、ニール・ショーンG、ジョナサン・ケインKey、アーネル・ピネダVo、ディーン・カストロノヴォDr、トッド・ジェンセンB、ジェイソン・ダーラトカKeyの過去最多の6人編成で、厚みのある演奏を堪能させてくれました。「Open Arms」では、客席のスマホのライトのなかでアーネル・ピネダが最高のバラードを歌い上げました。「Separate Ways」「Don’t Stop Believin’」では興奮のるつぼでした。
私はどちらかというとスラッシュメタルのファンですが、ここにきて往年のバンドの変わらぬヴォーカルと安定感のある演奏に心地よさを感じてきています。次は12月12日のジューダスプリーストです!
ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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