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Logo Mark「ステキ」をベースに考えるインディーズ・マーケの肝FIRSTAIRLINE〜VRによるバーチャル×リアルの海外旅行体験

野林徳行

ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
常に、カスタマー(お客様)の心を揺らし、「ステキ」創りをストーリーをもって実現することで成功に導く活動をしてい...

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野林徳行です。
「Spinart」にてマーケティングコラムの連載をさせていただいています。
120回目のコラムです。先日、妻の友人から私の還暦の誕生日のお祝いに体験プログラムのプレゼントをいただいたので、行ってきました。FIRSTAIRLINEという企画で、海外旅行を2時間ほどで体験するプログラムでした。Facebookでの投稿にもけっこういいねがついていましたので、今回はこれについて書いていきます。


■ FIRSTAIRLINE

「ファーストクラスに乗って世界を巡る旅を海外を体験したいあなたにお送りする快適な空の旅をお届けします」という触れ込みで、2016年12月、池袋に国際空港として開港したようです。池袋の小さな雑居ビルの一角に入ってみると、空港カウンターという感じの受付があり、予約名を告げると、搭乗券とパスポートが手渡されました。このパスポートはおそらくポイントカードのようなものでしょう。「池袋」の出入国スタンプが押されました。部屋に通されると、10台ほどの航空機のシート(Airbus 310 340で、実際のファーストクラスで利用されていた座席)が設置されており、これに座ってVRで旅をするようです。案内文によると、「地上にいながら航空・世界旅行の体験を味わうことのできる世界初のバーチャル航空施設です。およそ120分のフライトの中で、ニューヨーク、パリ、ローマ・ハワイなどさまざまな国のさまざまなアクティビティを五感を使い、楽しみながら現地料理にあわせ、一流のシェフが趣向をこらした機内食をお楽しみいただけます。」とのことです。


■ 航空体験

離陸前にパスポートと搭乗券を受け取り、さきほど受付にいらっしゃったキャビン・アテンダントのユニフォームを着た方が、ウェルカムアナウンスをします。離陸時にはシートの振動やエンジン音など航空体験さながらの体験が出来ました。デモや、壁に打ち出された離陸の景色などを体験した後、VRを使用した体験(30分程)で、現地の観光名所をいろいろと見て回ります。今回は、イタリアツアーでしたので、ローマやベネチアやフィレンツェなどを巡ります。私がイタリアに行ったことがあるのは、大学の卒業旅行で、約40年前に訪問しています。古代遺跡や古い建物が観光地なので、基本的には新しい体験というより懐かしい体験という感じです。歩いて楽しむ目線だけでなく、ドローンの映像などもあり、実際には見ることのできない角度なども体験することができました。実際に旅行した時は、ベネチアでは暴風雨でゴンドラに乗ることはできませんでしたが、VRではそれを体験することができました。VRだけではなく、プロジェクションマッピングやタブレットを使用した体験、現地の音楽や迫力ある映像など、いろいろ趣向が凝らされています。映像についても、ずっと同じものを使っているのではなくて、いろいろリニューアルしているようでした。


■ 機内食

機内食はシェフが現場で丹精を込め作ったコース料理で、ボリュームもあり、就航先に合わせた現地料理となっていました。ワンプレートの前菜盛り合わせ、メインディッシュ、デザートと食後のコーヒー・紅茶という感じで、離陸前にアルコールを一品選べるしくみです。アルコールのおかわりはなさそうでした。けっこうボリュームがあり、小腹がすいた状態でないとちょっとヘビーでしたね。イタリア便のお食事は、前菜(水牛のモッツァレラチーズ、フルーツトマトとルッコラのサラダ仕立て)、スープ(季節のポタージュ)、メイン(岩中ポーク肩ロースの香草焼き~トリュフのソース~)、デザート(シチリア伝統菓子 カッサータ)でした。お腹いっぱいで、最後のデザートはジェラートにしてほしいと願いましたが、ショコラで味付けされたカッサータで、けっこうヘビーでした。


■ キャビン・アテンダント

元ファーストクラスのクルー達によるサービス監修によって、訓練を積んだエアラインを目指す将来のクルー候補生たちが空の旅をアテンドしてくれます。実際には、ちょっと早口で、楽しませるというよりは、業務的にしゃべっているという感じでしたので、最高の気分を味わってもらうには、どういうスピードでどういうアクセントをつけてアナウンスするかなどは、まだまだ課題かもしれません。残念ながら笑顔はありませんでしたね。今後、ユニフォームは新しいデザインにて刷新するそうです。


■ どんな便があるのか

けっこうたくさんのコースがあります。アメリカは、ハワイ便、カリフォルニア便、ニューヨーク便の3コース。 他には、ニュージーランド便、オーストラリア便、スペイン便、オーストリア便、シンガポール便、チェコ便、ドイツ便、ウクライナ便、スイス便、フランス便、フィンランド便、そして今回のイタリア便。変わったところでは、日本一周ジャパン便というのもありました。また、タイムトラベル便というのもあって、1945年のニューヨーク・タイムズスクエアの風景やエンパイアステートビルの建設時の様子、アンコール王朝時代のアンコールワットの情景、ブダペストやトルコなど、それぞれの地域の各時代をタイムスリップする企画のようでした。 ちなみに、タイムトラベル便のお食事は、歴史料理研究家・遠藤雅司氏監修で、前菜(マグロのマリネとアスパラのスフレ19世紀風)、スープ(古代小麦とラム肉のシチュー)、メイン(シャンヴァロン風豚肉とジャガイモの煮込み)デザート(マリー・アントワネットが週1で食べていたクグロフ)だそうです。フィンランドとかウクライナというあまりわかっていない地域もちょっと魅力的ですね。


■ 料金

食事サービスドリンク(アルコール含む1杯、コーヒー・紅茶)が付いて、ファーストクラス6,580円、ビジネスクラス5,980円。ファーストクラスとビジネスクラスでは、座席違いのみでサービスの差はありません。キャビン・アテンダントとお話をしたり、追加のドリンクを頼むなどのコミュニケーションの機会はないようです。リニューアルの予定があるようで、今後の料金は、各渡航先ごとに現地本場の料理を提供するファーストクラス 7200円、各渡航先共通メニューのオリジナル機内食のファーストクラス6300円(メニューは4ヶ月程で更新)、12歳以下のお子様料金は、5000円(お子様ランチプレート)となるようです。受付で渡されたパスポート持参で、リピート割として10%OFFとのことです。


■ リニューアル予定

2025年2月以降リニューアルがあるそうです。椅子が新しくなり、リラクシングやカップホルダー、パーティションなどの新しい機能が追加されるようです。そういえばカップホルダーがなかったので飲み物の置き場に困りました。また、今までは、ファーストクラスとビジネスクラスの区分けがありましたが、全てを最新のファーストクラスのお座席に入れ替えるとのことです。そして、ニューヨーク、ハワイ、イタリア、フランスのVRが更新されます。少し、画面が荒いなあという印象でしたので、最新の技術でブラッシュアップしていくのでしょう。


■ ターゲット

家族で旅行体験、デートでバーチャル体験、誕生日・結婚記念日など記念日としてサプライズ、海外旅行になかなか行けない年配の方の疑似体験、団体での貸し切り対応、旅行前の予習・復習、お一人様向けの気軽な海外旅行の疑似体験などがホームページに記載されています。いろいろな使い方になっていますが、それぞれの体験にストーリーがありそうなので、このプログラムを創った意図もわかる気がします。


体験してみての感想。プレゼントなので体験へのハードルが低かった。FASTではなくてFIRSTなので、受付での臨場感やわくわく感(ちょっと狭い雑居ビルの一角に作りました感だったので)、本当のキャビン・アテンダント感(機内放送感)などなど、実際にお客様からの目線で、また来たいと思っていただくには、低コストでも何をすればいいかは、いろいろ考えられそうだなと思いました。最近はモノではなくてコトというプレゼントも大事だなと思うし、インバウンドの方々も爆買いというよりも美容などの体験を楽しみに来ているとも言われているので、いろいろ参考になりました。

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ヘヴィメタル、プロレス、モータースポーツをこよなく愛するマーケター。
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