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Logo Mark連載記事

Logo Markなにか創るとうれしくて技術ハードルの低下はコンテンツ・ファーストを促進する

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者
YouTube「うさぎのうみちゃんねる」のおじぃ
YouT...

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 誰でも好きな時にけっこうハイ・クオリティな写真や動画が撮れる。それも、とっても簡単に編集することができて、YouTubeやらTik TokやらInstagramやらTwitterやらにアップすれば全世界の人に見ていただくことができる。これってすごいよなと思う。だって昔はさ(ってまた老人の昔話になっちゃうけど)、そもそも撮影機材が高額で、しかも今みたいに自動化されていないからその機材をうまく使うためにも知識や技術が必要で、さらにそれを観られるようにするためには現像なんていう工程で更なる技術や時間やそして(多くは外注するから)お金がかかって、さらに編集となればまぁ機材も技術も桁違いになるという。その上それを多くの人に見ていただける機会を作るためには…インターネットがない時代ってどうしてたんだっけ?…上映会をやったとか? 写真や絵画作品の個展やグループ展は今でもやるよなぁ。ああコミケはもうあったかもしれないけど、今と違ってだいぶ閉ざされた世界だったしなぁ…とまぁ、つまり長々となにが言いたいかといえば、要はかつていろいろと大変だったことが簡単にできるようになってよかったねっていう話。
 音楽だってねぇ、昔はカセットテープを自分でダビングして売ったりしたもんだし、その後CDになって、でもそれを売るのはとっても大変で、せっせとライヴで手売りしたり(これは今でもやってるね)、自分らなんて首都圏のCDショップを手分けしてローラーして自分たちのCDを置いてもらうためのプロモーションをやったりしたもの。それが今はもうチャチャっと全世界公開。まぁその分作品の売値が激減したのでいいことばかりじゃないけど、それでもかなり誰でも簡単に作品を広く多くの人がリーチできる場所に出していくことが可能になったと。
 …ということはどういうことかと言いますと、つまり誰でもやれるしやるようになるってことよね。
 写真なんて本当にその影響を一番感じるんだけど、とにかく誰でも簡単にだいぶいい写真を撮ることができるようになったから、こうなると、少々いい写真を見てもなんとも思わなくなるっていうか…それでもいい写真には需要があると思うんだけれども、それだって、「Unsplash」やら「pixabay」あたりのサイトを開けば、それこそめちゃくちゃハイクオリティな写真がごまんと載っている上に基本的に無料で使わせてくれる…こりゃあ写真コンテストなんてもうやってられないんじゃないのとかも思ったりするし、もっと言えばレンタルフォト的なビジネスもやがて完全になくなるかもなぁなんて…。まぁつまり写真という表現の役割が変わったということになるかなとは思うけど。

 さて考えるべきはアートである。表現のことだ。さぁ、これだけ多くの人が手軽にけっこういいものを出してくるとなれば、つまりとんでもない量とまぁまぁの質のコンテンツの海に溺れるということになる。こんなに熾烈なレッド・オーシャンな環境はなかなかないかもしれない。まぁ、マーケティング的に考えれば、なにもそんな熾烈な環境で戦うのではなく、まだ比較的荒らされていないジャンルを探し出してそちらにシフトしたらいいという選択肢も出てくると思うのだが、しかし厄介なのはこれ、アートであって表現であって、つまりやる人はそれがやりたいのだということなのだ。他のものじゃ面白いと思えないことが多いってことかなと。

 それではどうする? 答えは一つしかない。いわゆる凡百(しかも最新の機材やサービス、アプリによってだいぶレベルの上がった凡百だけど)のコンテンツを超えたモノを生み出すしかない。他人が作り出さなそうなモノ。その辺の機材やサービス、アプリの力だけでは表現できない手法。もしくは複数の要素を組み合わせてみたら新しく見えるモノ。旧来の手法と手法の間で手付かずで残っていたニッチななにか。旧来の手法をひっくり返してみたら意外に面白いと思えたり…などなど、これこそ言うは易しで、本気でこんなモノを作ろうとしたらそれこそ大変だろうけど。
 しかしこれを考えていかなければ、新しい時代において本当のオリジナルと言える作品にはならないのではないか?…大変そうだね。確かに大変だ。でも、自分の現状に満足せずもっともっとなにかできるのではないかとか、そんなことを絶えず考えている人にとってはなにを当たり前なことを言ってるんだというレベルの話でもあるように思える。
 つまり再三あちこちで言わせてもらっている「コンテンツ・ファースト」とは、こういうことなのではないかとイメージしているという次第。
 なのでみなさん。是非いろいろ考えて、自分なりの新しいなにかを作ってみていただければと思います。間違っても、
「ヒット曲を書きたかったらカノン進行!」
なんていうコンテンツに惑わされて、そういう先人たちが擦りまくった手法を「そのまま」使わないように…「そのまま」じゃなければいいと思うけど。
 なんでこんなことを書くんだって? だって多いんだもん。「〇〇そっくり」みたいな奴。それでも「〇〇に似てる」とかその系統にあるけどここが違うよねとか、ここがもっとすごいよねとか…ならまぁアリだとは思うけど、まるっとクリソツってのが多いなぁと…これは音楽だけじゃなくていろいろなジャンルで思うので。

 そうそう、「まだ比較的荒らされていないジャンルを探し出してそちらにシフト」するという話はどういうことかということで少し書くと、まぁ、多くの場合は技術や手間や資金がかかるために模倣できる可能性が非常に低くて、だからやる人があまりいないという状態になっているジャンルってことなのかなと思います。
 例えば石材の彫刻。そもそも立体造形を削り出すっていうことだけでもめちゃくちゃハードルの高い技術やセンスが必要なのに、石は硬いから体力もいるし、そのための時間はかかるし、道具を揃えるのにも金がかかって、作業場もある程度ちゃんとしてないとできないかもしれないし、さらに材料の石が高かったりする。だからこれをやってる人はなかなかすごいなと…福島県白河市にすごい方がいるんだけどね(この方、Saxもめちゃくちゃうまいんだけど…ホント尊敬してます)。
 その他にもこういうジャンルはあって…例えば金属加工系とかガラス加工系とか…まぁ大抵はできるようになるまでが大変なんだけど、でも「高い水準で」できるようになるとこれがもうものすごいインパクトを生んだりする。
 ということで、そういった方向を模索するのももちろん面白いし、またこれまでの経験は絶対に自分の中に残るので、そうしたことと組み合わせると、また別のものになったりするかもしれなくて面白いかなと。
 それに、こんな方法でなくとも、もっと容易ながらそれこそ発想の転換や工夫によって面白くできちゃうっていうのは、それはそれですごいことだとは思うけどね(…まぁこの場合、模倣されやすいとすぐ真似されたりするけどね…でもやはりパイオニアにはその強みは残ると思ったりもする)。

 ということで自分もそんなことを日々考えておりますと…そんなお話です。まぁどうせやるなら、自分の作品として少なくとも自分がこれはスゲェと思えるものは作りたいと思いますので。
 まぁ、まとめると、コンテンツ・ファーストはこれからもっともっと重要性を増すように思いますぜってことでした。

※ちなみに写真は栃木県那須塩原市にある那須ガーデンアウトレット内の「果汁工房 果琳」というその場で絞った生ジュースのお店のショールームにあったザクロ。立派な実だけど、これから絞られて飲まれていくためにそこにいるんだなぁと思うと、ちょっと複雑な気持ちにもなってみたり。
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 6D + EF24-70mm F2.8L II USM

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