連載記事2025/08/09
脳内伝言板
やりたいことしかやらないと決めた日から3 放浪時代
静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。
20代前半人...
私はどうせ帰るのだからぶらぶら歩いて静岡まで帰ろうと思い自然の成り行きで旅人になった。
取り合えず八重山諸島をブラブラと歩いてみることにした。
まずは「よなぐに」に渡ってみた。
与那国島(よなぐにじま)は日本のいちばん西の島である。
日本の一番はしっこと聞くとそれだけで行ってみたくなった。
沖縄自体何処へ行っても美しいのだが、この島は別格だった。海の青 空の青がこんなにも違うものかと、感動とともに、まだまだ知らないことがいっぱいある事に感激した。
あるとき海で魚釣りをしていると 腕に 馬の入れ墨を入れた マー君と言うおじさんと出逢った。ある日、マー君に「明日、馬を引くバイトしないか」と誘われ 人生初のヨナグニ馬を引く体験をすることになる。
ここでは手綱(たずな)は一本手綱で鞍はなく 背中に座布団を敷いただけの裸馬に乗馬するという 原始的なスタイルだった。裸馬はヒザや足首でしっかりグリップしないと簡単に振り落とされるので 乗るのはかなり難しいのだが、それゆえとても楽しかった。公道を馬で走ったり、一緒に海で泳いだりもした。
そんな中 いったい自分は何がやりたいのか もう一度 根底から 考え直すことにした。
時間はあるし気力も十分、だけど行きたい所があるという訳でもない。
どんどん考えを単純化し、自分の中の本質はなにかと追及してみたところ一つの結論に達した。
私はただ色々な人と出逢いたいのだ。
その時、私の荷物から「地図が消えた」。
現実的な地図も、私の人生からも地図が消え、地図のない旅が始まる。
地図が無いのはいつも迷子の状態なのかもしれないが、言い換えれば行先が見えなくても問題ない。気力さえあればどんな時も迷子にはならないという事にも気が付いた。私の場合の気力の殆どは好奇心だった。
行き先がわからないというのは、もちろん不安はあるけれど、それ以上に毎日が刺激的だった。
ジャングルでの生活と同じように、五感をフルに使い、感覚は 研ぎすまされ、覚醒していく。
初めて訪れた場所であっても、今まで培った経験とそれに基づく知識を駆使して、食料を探す。
海を知り、川を知り、山を知り 植物や生物を知る事で、なんとなく見えてくることがある。
どこに何がいて 何が採れるのか。何が危険で 何が楽しみを生むのか。
今ここで豊かな時間を送るにはどうすればよいのか。
こんなふうにいうと何かの修行のようだけれど、ただ単に楽しくて仕方ないだけだった。
もちろん楽しい反面危険もある。
森の中では毒ヘビや動物、町での野宿は人間が危険な時もある。そんな中で快適なねぐらを毎日見つける。
色々な状況を想定しながら旅をした。
そういった日々の積み重ねが感性を磨く事だとは、このころは全く考えてもみなかった。
ある時沖縄本島へ行くことがあった。
そこで出会った旅人が黒くて長い筒のような物を吹いていた。その音を聞いたとき私の中で何か得体のしれないものが目覚めた。出逢ったというべきか。
それがディジュリドゥだった。
イダキ、イキ、ディジュ、呼び名は様々だ。これはオーストラリアの先住民アボリジニに伝わる楽器で今から30年くらい前は、ほとんど知られていなかった。
私は海岸で拾ったパイプを加工して吹き始めた。これが自作ディジュ第一号だ。それから地元に帰りしばらくして桐の樹の伐採の仕事が入った。そこでまっすぐ伸びた桐を見てこれでディジュを彫ろうと思った。それ以降、気になる木が手に入るとディジュを制作するようになる。
私は木を二つに割って彫り、中の空気の流れや厚みをコントロールして、少しの振動を効率よく増幅させるように試行錯誤しながら制作している。
これまで 樹や、陶器、紙など様々な素材で制作してきた。どれも、素材にあった作り方をすれば、魅力的な音を発してくれる。
様々な流れの中で、やがて私はアートと出逢い、ディジュリドゥを、彫刻としての側面と音楽としての側面を融合させた表現として発表し始める。
私の中でゆっくり生まれ育だったもので、様々な経験が繋がっていく事を感じている。
私にとって色んな意味で、とても不思議な楽器に出逢った。楽器というくくりでは割り切れない、何か得体のしれないものを感じているが言葉では上手く説明できない。
冬の間、私は静岡に戻り、大工や植木屋の仕事をし、暖かくなるとテントを担いで北へ南へ放浪する生活に20代のほとんどを費やす。
その結果、近所のコンビニに行くのも、北海道の最果てに行くのも、あまり変わらないことに気がついた。結局自分がどうとらえるかであり、人生自体が旅なんだ と気が付いた。
それから、いくどか海外へいったりもしたが、放浪生活にはひとつの区切りがついた。
〜ジャムバンド時代へ続く〜
TOP写真は港区のお寺でPV用の撮影をしたときのものです。
やりたいことしかやらないと決めた日から1 序章 少年時代
やりたいことしかやらないと決めた日から2 青年時代 社会と私
やりたいことしかやらないと決めた日から3 放浪時代
やりたいことしかやらないと決めた日から4 ジャムバンド時代
やりたいことしかやらないと決めた日から5 アートと出逢う
TOP写真のMV動画。

エクリュの森がアーティストコーディネーションとイベントキャスティングを行う展覧会を、Bunkamura Gallery 8/で開催します。
GALLERYエクリュの森が推薦した現在第一線で活躍中の多様なジャンルの作家41名が、「暮らしをデザインする」というテーマに沿った作品を展示いたします。
会期:2025/8/22(金)〜9/7(日)
会場:Bunkamura Gallery 8/ (渋谷ヒカリエ8F)
本展は8月22日から9月7日までという、まだ暑さの残る時期にあたりますが、渋谷ヒカリエは渋谷駅に直結した施設で、館内は空調が整っていますので、よろしければお出かけくださいませ。
出展作家:明田一久、安部大雅、池田実穂、伊藤博敏、エサシトモコ、大隅篤子、大隅秀雄、太田宗平、大平實、岡部稔、OJIYU、鍛治瑞子、川合朋郎、河本蓮大朗、久米圭子、今野絢、齋木三男、榊貴美、櫻井伸也、白砂勝敏、杉山功、鈴木生、高崎沙弥香、高松明日香、竹内由美、田中毅、田中康二郎、ちばえん、富田菜摘、長友由紀、長根寛、長野順子、野村絵梨、羽石知代、hiraco、びわゆみこ、藤井慎介、本郷芳哉、ミカヅキフタツ、横井山泰、李元淑
イベントなど展覧会詳細はエクリュの森HPよりご確認ください。
エクリュの森HP

この度、小松庵総本家 銀座にて展覧会を開催させていただくことになりました。
今回は陶器、油彩、銅版画等を展示します。
お食事をしながら作品を閲覧していただけましたら幸いです。
こちらでは[森の時間]平日16:00〜17:00(土日・祝日を除く)
展示してある作品をじっくりご鑑賞いただける、ギャラリー・タイムがございます(入場無料)。
※この時間はお食事の提供をしておりません。
期間中8月4日にオープニングパーティーと9月1日にライブがございます(入場無料)。
お時間ご都合つきましたら是非お出かけください。
よろしくお願いいたします。
[ 白砂勝敏展一始まりの痕跡一 ]
日時:2025年8月4日〜10月5日
11:00〜22:00(L.O. 21:00)
場所:小松庵総本家 銀座
東京都中央区銀座5-7-6 i liv 14F
Tel.03-6264-5109
11:00〜22:00(L.O. 21:00)不定休
※展示期間、営業時間等変更となる場合がありますのでお問合せ下さい。
オフィシャルサイト
[ オープニング・パーティー ]
2025年8月4日(月) 16:00〜17:00
ムビラ・ディジュリドゥの演奏
[ ワークショップ・ライブ ]
2025年9月1日(月) 16:00〜17:00
自作の白砂式音器の演奏+詩の朗読等
出演:白砂勝敏(演奏)Kumi(読)
[ 森の時間 ]
平日16:00〜17:00(土日・祝日を除く)
展示してある作品をじっくりご鑑賞いただける、ギャラリー・タイムです(入場無料)。
※この時間はお食事の提供をしておりません。
Directed by 風戸重利
KOMATSUAN GINZAXTOKYO SOBA 小松庵総本家 銀座
静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。
20代前半人...
準備中