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Logo Mark 脳内伝言板 やりたいことしかやらないと決めた日から4 ジャムバンド時代

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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まだその当時ディジュリドゥを演奏している人は殆どおらず 珍しがられることもあり様々な出逢いをもたらしてくれた。
その一つがモールというジャムバンドだった。そのバンドはとてもテクニカルなバンドでありながらメンバー全員で一枚の絵を描こうとしているようなアートな感覚を合わせ持つバンドだった。私は音楽の事など全くわからない状態だったが何故かメンバーに加えてもらった。そこでディジュ以外の楽器を手に取ってみることになる。そこで興味をもったのがコンガという太鼓だった。
始めてみるとこれがどえらい難しい。自分には到底できないと思った。
大人になってから楽器の練習時間を捻出することはかなり大変だ。ましてや家庭があるとなると更にハードルは上がる。それでもやりたいのだから仕方ない。この時既に30歳を過ぎていた。
私の場合は、音楽を始めるにあたり2年で何とか飯が食えるようになるからと家内に頼んだ。そして一年の内の3か月はアクセサリーを創りまくって、それをインターネットで販売する事で、数年間何とか食いつないだ。当時ネットショップの走りでその波にかろうじて乗っていた感じだった。そうやって時間を作り朝から晩まで太鼓を叩く生活へ突入していった。

バンドのメンバーは本当に様々でスタジオミュージシャンやプロもいれば、私みたいな素人もいる。
人とつるむのが好きではない一匹狼タイプばかりだった。色々な意味で本物志向で言いたい事をはっきり言うので、社会的には浮いてしまう人たち。それまで私の方がおかしいのかなと思う事が多々あったのだが、このバンドの仲間と出逢えて私の考えも間違いではないのだと、言葉ではなく肌で感じる事が出来た。お互い「ゆるくやる」というのはとても厳しい事だと、身に染みてわかった。また、そういう付き合いが出来る奴らと出逢えたのは、嬉しい事だ。
人と人が向き合うのは綺麗事だけでは片付かない。色々な物をひっくるめて、お互いが飲み込んで許しあったり支えあったりしなければ成り立たない。生きていくためには自分を鍛えるしか方法が無いのかもしれない。それは時間もかかるしやっかいかもしれないけれど、そんな風に生きたいと思ってしまう。
多分私は寂しがりやなんだろう。

毎週のようにライブがある。超絶テクニックのバンドメンバーと共に素人の自分がステージに上がるのは至難の技だった。
私は基礎的なパターンだけをニコニコしながら演奏するように努めた。不思議なもので見ている方からは「凄い楽しそうでいいですね」とよく言われたりしたが当時は全然楽しくなかった。でも今考えると、いつ落ちるかわからない綱渡りをしているような感じだったし、ゾクゾクしながら、心の奥ではある種の快感があった。ライブには演奏レベルはどうあれ、そういう不可思議な快感みたいなものがくっついてくる。
早急に演奏技術を上げる必要があったため、以前知り合った後輩に連絡を取りパーカッションの基本的な練習方法を聞いてみた。取り合えずメトロノームを使った基礎練習を教わった。
右も左もわからない状態だったので、言われた通りにメトロノームを使い、コンガとボンゴの基本フレーズをそれから2年間くらい毎日、1日に何時間も叩いた。
だがしかし、全然うまくいかない…。もう一度もう一度と思いながら気が付けばトイレにもいかず8時間くらい叩いてしまっている事もしばしばであった。
何がそれほどまでに私を突き動かしたのか、いまでも良くわからない。

メンバーの自宅にスタジオがあり、夜12時位までは練習ができたので、そこでセッションに混じりながら多くの事を学ばせてもらった。一見ゆるい感じだったが、内容は濃いものだった。ただ、「どうしたらいい」とか現実的なアドバイスは殆ど無く、良ければ「いい」と言われ、悪ければ「違う」と言われる。何が違うのかは教えてくれない。そういうものは言葉では教えられないという事を今なら理解できる。基本的にダメ出しばかりだったが、それでも毎日通った。
私の場合は本当にセンスが無く、基礎練習だけを2年程やってもそれすら上手くできなかった。だからカッコいいフレーズなんか練習する余裕も無かった。それでもずっと叩いていると、太鼓の皮が手に纏わりついてくるような一体感を感じたり、一瞬こうかもしれないと何かを掴みかける事もあった。まぁ一つ乗り越えてもすぐに次の壁にぶち当たるのだけれど。

バンドに入って二年半が過ぎようとしていた。その頃、不思議な感覚を得始めた。頭に浮かんだフレーズを次の瞬間叩けるようになっていた。基本のフレーズを叩きながら 瞬時に 思いついた別のフレーズを出せるようになった。この時初めてスタート地点に立てたような気がしたのをよく覚えている。
こうなるとただ叩いているだけで楽しくなる。段々と自分の音楽性みたいなものが芽生え始めたという事もあるが、別段大きな理由もなかったが バンドを抜けた。ファミリーみたいなバンドだったので、今でも付き合いはあるけれど。
今振り返ると、人生の流れがアートの方向に流れ始めていたのを直感的に嗅ぎ分けていたのだと思う。それでも、この時はまさかアートが生業になるとは米粒ほども思っていなかった。そして数年後アートに出逢った私は、このバンドのライブ会場にて作品を展示する事になり、そこでミュージアム白砂の館主小澤さんに出逢うことになる。こういう出逢いがあるから、人生ってメチャクチャスリリングだ。
音楽に出逢って結構な月日がすぎて、ようやく、自分の表現したい事が少しづつ見え始めている。

私は好きな音を創り、好みの音の並びをさがし、好きなリズムを刻んでいる。
音が生まれて、音楽になる、その瞬間に強い興味をいだいている。

その後私は35歳の時に更なる大きな転機を迎えた。

〜アートと出逢うに続く〜

TOP写真は港区のお寺でPV用の撮影をしたときのものです。


やりたいことしかやらないと決めた日から1 序章 少年時代
やりたいことしかやらないと決めた日から2 青年時代 社会と私
やりたいことしかやらないと決めた日から3 放浪時代
やりたいことしかやらないと決めた日から4 ジャムバンド時代
やりたいことしかやらないと決めた日から5 アートと出逢う

Ekotumi - Dream which you can see in the backside of your eyelids / ・エコツミ・ 瞼の裏で見る夢

TOP写真のMV動画。

ART designs DAYS 暮らしをデザインするアート展@Bunkamura Gallery 8 / (渋谷ヒカリエ8F)

エクリュの森がアーティストコーディネーションとイベントキャスティングを行う展覧会を、Bunkamura Gallery 8/で開催します。
GALLERYエクリュの森が推薦した現在第一線で活躍中の多様なジャンルの作家41名が、「暮らしをデザインする」というテーマに沿った作品を展示いたします。

会期:2025/8/22(金)〜9/7(日)
会場:Bunkamura Gallery 8/ (渋谷ヒカリエ8F) 
   本展は8月22日から9月7日までという、まだ暑さの残る時期にあたりますが、渋谷ヒカリエは渋谷駅に直結した施設で、館内は空調が整っていますので、よろしければお出かけくださいませ。
出展作家:明田一久、安部大雅、池田実穂、伊藤博敏、エサシトモコ、大隅篤子、大隅秀雄、太田宗平、大平實、岡部稔、OJIYU、鍛治瑞子、川合朋郎、河本蓮大朗、久米圭子、今野絢、齋木三男、榊貴美、櫻井伸也、白砂勝敏、杉山功、鈴木生、高崎沙弥香、高松明日香、竹内由美、田中毅、田中康二郎、ちばえん、富田菜摘、長友由紀、長根寛、長野順子、野村絵梨、羽石知代、hiraco、びわゆみこ、藤井慎介、本郷芳哉、ミカヅキフタツ、横井山泰、李元淑

イベントなど展覧会詳細はエクリュの森HPよりご確認ください。
エクリュの森HP

白砂勝敏展一始まりの痕跡一@小松庵総本家 銀座

この度、小松庵総本家 銀座にて展覧会を開催させていただくことになりました。
今回は陶器、油彩、銅版画等を展示します。
お食事をしながら作品を閲覧していただけましたら幸いです。

こちらでは[森の時間]平日16:00〜17:00(土日・祝日を除く)
展示してある作品をじっくりご鑑賞いただける、ギャラリー・タイムがございます(入場無料)。
※この時間はお食事の提供をしておりません。

期間中8月4日にオープニングパーティーと9月1日にライブがございます(入場無料)。
お時間ご都合つきましたら是非お出かけください。
よろしくお願いいたします。

[ 白砂勝敏展一始まりの痕跡一 ]
日時:2025年8月4日〜10月5日
   11:00〜22:00(L.O. 21:00)
場所:小松庵総本家 銀座
   東京都中央区銀座5-7-6 i liv 14F
   Tel.03-6264-5109
   11:00〜22:00(L.O. 21:00)不定休
   ※展示期間、営業時間等変更となる場合がありますのでお問合せ下さい。
   オフィシャルサイト

[ オープニング・パーティー ]
2025年8月4日(月) 16:00〜17:00
ムビラ・ディジュリドゥの演奏

[ ワークショップ・ライブ ]
2025年9月1日(月) 16:00〜17:00
自作の白砂式音器の演奏+詩の朗読等
出演:白砂勝敏(演奏)Kumi(読)

[ 森の時間 ]
平日16:00〜17:00(土日・祝日を除く)
展示してある作品をじっくりご鑑賞いただける、ギャラリー・タイムです(入場無料)。
※この時間はお食事の提供をしておりません。

Directed by 風戸重利
KOMATSUAN GINZAXTOKYO SOBA 小松庵総本家 銀座

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
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