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スピナート調査部

あらゆるジャンルの表現者・アーティストと出逢えるサイト「Spinart(スピナート)」が、アーティストのみなさんの、ちょっと普段はなかなか聞けない内容についてアンケート調査する。それがこの「調査...

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SpinartのX(元Twitter)アカウントで実施するアンケート企画。
今回のお題はこちら。
「SSWのみなさん、初めての方に覚えてもらうためにどんなことしてる?」
(アンケート期間:2024年4月17日〜4月23日)
こちらの結果についてレポートさせていただきます!


まず結果発表

4つの選択肢の順位・割合はこちら。
1位:自分ならではの歌い方でつかむ…37.5%
2位:詞や曲の特色で勝負…25.0%
2位:衣装やメイクを工夫してる…25.0%
4位:MCでつかみはOK…12.5%
※その他の意見なし。
※総回答数8票。
※インプレッション727。


この結果から見た考察

 今回も、それに関わるみなさんの真面目さを感じる結果だと思います。1位となった「自分ならではの歌い方でつかむ」。これまさに正攻法だと思いますもの。
 2位の「詞や曲の特色で勝負」も正攻法だと思いますが、この2つがどう違うのかと言えば、「詞や曲の特色で勝負」が作品としての完成度にフォーカスしていることによって、ファースト・インプレッションの後ある程度の時間、その作品に触れていないとその特色までいきなりは伝わりきれないことが多いと思えるのに対し(そんなことなくいきなり伝わる作品を作ればいいんですが…いや、路上なんかだとAメロあたりから聞き始める方もいることを考えるとやはりある程度の時間は必要になるケースが多そうですよね)、1位の「自分ならではの歌い方でつかむ」は、とにかく瞬発的なインパクトで一気につかむことができると思える…という点で両者は似ているようでちょっと違うと思えます。

 これを強く感じる事例としては、例えばAdoさんが出てきたきっかけとなった「うっせぇわ」が思い浮かびますね。
 あの曲、「うっせぇわ」という短くてキャッチーな言葉とオクターヴ・ジャンプしているメロディーが両者ともかなりインパクトの強い要素となっているのでそこにも引っ張られますが、じゃあそれだけであれほど記憶に残る曲になったかと言うとそれはちょっと違うかもと感じてるんですね。
 このそもそもインパクトの強い要素を持った楽曲をあのAdoさんのとんでもない歌唱で表現したからこそあれほどの衝撃になったのではないかと思うんです。だって「うっせぇわ」の前あたりにあるうなりとか、最後の「かもね」の抜き方とか、ホント常人ではないと思いますよ。Adoさんはその後に出したさまざまな楽曲でもそのとんでもない歌表現をこれでもかと披露していて、「唄」なんかも、とても印象的なパフォーマンスをしてますもんね。
 逆に楽曲「うっせぇわ」については、以前テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW(今は「EIGHT-JAM」になったのかな?)」で、その元となったボカロ・ヴァージョンも聞いたことがありますが、さすがに歌が変わるとインパクトが下がる…まぁこれは当たり前かもしれませんが、まぁ改めてAdoさんのとんでもなさを感じた次第です。もちろん「うっせぇわ」は楽曲としてもすごいと思いますが、Adoさんとの組み合わせがあったからあれほどの現象にまでなったのだとは言えそうと思いました。

 そしてこの「自分ならではの歌い方でつかむ」の場合、楽曲の途中のどこから聞かれても、おそらくはかなり短時間でその魅力を伝えることができると思えます。
 もちろんサビとか、ここ一番の聞かせどころはあると思いますが、しかしインパクトを感じる歌い手さんって、いわゆる歌の導入でもあるAメロの頭あたりを聞いただけでも、
「お!? これはすごいな!」
なんて思ったりしますもんね(これはTBS「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」の「透明カラオケ」なんかを見ていてもよく感じます)。
 つまり「自分ならではの歌い方でつかむ」には即効性があると言えると思います。

 もっとも「自分ならではの歌い方」を確立できるかどうかはさすがにちょっと難易度が高いかもなぁとも思います。だって世の中にはとんでもない歌い手さんがもうごまんといて、それぞれみなさん方向性の異なる独自のいろいろなスタイルを、それもハイレベルに表現している…という中にあって、「自分ならではの歌い方」とはどのようなものかを見つけて確立するのは本当に難しいことだと思います…が、しかしこれは是非チャレンジしてみてほしいですね。なんたってこれができればそれこそ唯一無二ですし他の誰にも置き換えることのできない存在になると思うんですよ。
 この辺りをどのようにしたらいいのかということについては是非、このSpinartで記事連載してくださっているヴォーカル・トレーナーのやま♪げんさんの記事「論理的ボイストレーニング」を読んでみていただければと思いますし、また、その他にもヴォーカルに関する記事がありますので、合わせてお読みいただければと思います。
やま♪げんさん「論理的ボイストレーニング」
バンドの個性を確立する(1)〜例えばVo.が弱いと言われたら
昔、洋楽に感じた違和感と「歌う」ということ
自分プロデュース〜歌う人としての自分を振り返ってみたり

 さてでは「詞や曲の特色で勝負」は「自分ならではの歌い方でつかむ」より劣るのかと言えばもちろんそんなことはありません。当然ですが、どんなに歌がすごくても、曲の内容がすっからかんではきっとなにも相手に残りませんよね。逆に、歌にとてつもなく強い個性がない場合でも、曲が良かったから聞き手の心に残ったというケースも山ほどあると思います…これは例が多そうだなぁ…あ、でも迂闊な例を出すとその人の歌能力を批判しているみたいにもなりかねないので具体例を出すのは避けたほうがいいかなw…でもみなさんも思い当たる事例はあるでしょ? 歌や声表現にはさほど強い印象が残ってないのに(下手とは言ってませんぜw)曲や歌詞だけはやたらと自分に刺さっちゃってる曲。きっとありますよね?(ここでないと思った方はここからしばらく読み飛ばしてください)
 これについて、ことSSW(シンガー・ソング・ライター)のみなさんの場合、多くのケースでシンプルな楽器構成に乗って表現されることが多いと思いますので(ギター一本やピアノだけで弾き語りとかが多そうですかね)、相対的に歌詞やメイン・メロディーの重要度が高くなるようにも思いますが、これはもうどんな言葉のチョイスをしてそれをどんなメロディーに乗せて歌うかに尽きるかもと思います。これは言葉とメロディーが相乗効果になっている部分が大きいと思いますからそれをどこまで磨けるかが鍵なんでしょうなぁ。
 そう言えば昔宇崎竜童さんが山口百恵さんの曲を書く際、作詞担当の阿木燿子さん(宇崎さんの奥様ですね)が作る言葉には既にリズムとメロディーがあって、読んだ瞬間にジャストなメロディーが浮かぶ…なんてことを言っていたような…。それもきっとありきたりな言葉では「〇〇の二番煎じ」みたいになったりもしそうですからこれもやはり奥が深いですね(そう言えば山口百恵さんの曲って、どれも新しいキャッチ・コピー的な言葉が印象的ですもんねぇ)。
 これはメロディー側でも言えると思いますが、コード進行にしてもある程度のパターンはありますから、その中でこれまでとは違うメロディーを探すのも難しいかも。そう言えばKing Gnuの「白日」はThe Beatlesの「Yesterday」のコード進行とほぼ同じですけど、全然違う曲…それもめちゃくちゃインパクトの強い曲になってますもんねぇ…すごいなぁ。
 いずれにしても、音楽でなにかを表現するという場合において、「詞や曲の特色」はその根幹とも言えるでしょうから、これを磨くのは実は根っこということだと思いますし、このアンケート結果は、多くの方がそれもちゃんと思っているということなのかもしれませんね。
 そうそうこれについては、「バンドの個性を確立する(2)〜例えば曲が弱いと言われたら」なんていう記事もありますのでよろしければどうぞ。
バンドの個性を確立する(2)〜例えば曲が弱いと言われたら

 とまぁここまでちょっと硬めなことを書いてきましたが、実は個人的に面白かったのが「衣装やメイクを工夫してる」が「詞や曲の特色で勝負」と並んで同数2位になったこと。
 これ、どんな工夫をしてるんでしょうねぇ。SSWさんであまり奇天烈な見た目の方って見たことがないように思うので、実際どんな工夫ができるのかは是非お聞きしてみたいですねぇ。
 私の知っている例としては、着ているものの色やスタイルの方向性をいつも統一しておくとか、必ず帽子をかぶったりサングラスをする等のアイテムで特徴づけているとか…かなぁ。
 バンド系だとね、それこそデヴィッド・ボウイとかアリス・クーパーとかキング・ダイヤモンドとかKISSとかマリリン・マンソンとか聖飢魔IIとか(この方々はあれが素顔ですが)…てか、これみんなお肌が真っ白な方々ですが;;;…じゃあ鈴木その子さんとかもここに入れていいのか?(今の若い子は分からないねw)…まぁアイコンとして突き抜けている例も数多くありますが、SSWさんだとね、どんな方法があるんでしょう?…あまり思い浮かびませんなぁ。ああ、持っている楽器で特徴付けてる人はいるなぁ。ギターの色が特徴的とか、女性SSWさんでは、アコギのサウンド・ホールがハート型の楽器を使ってる人なんて見たことあります。あれも一つの方法ですね。
 これをお読みくださっているSSWさんで「衣装やメイクを工夫してる」という方、どんな工夫をしているのか、是非お教えください。お待ちしております。

 そう言えば「MCでつかみはOK」が最下位になったもの意外なんだよなぁ。SSWさんと言えばしゃべりも面白いなんて…これはもう古い話なんですかねぇ。さだまさしさん、谷村新司さん、中島みゆきさん、松山千春さん、デーモン閣下(SSWじゃないけどw)、大泉洋(歌い手として紅白にも出たし歌詞を書いたりしてるからここにカウントしてもいいよねw)、面白かっこいいという意味では福山雅治さんとかもいいですよねぇ、SSWさんという括りではありませんが西川貴教さんも面白い。というかみなさん、本当に芸人さん並みに話が面白いですよねぇ。
 でも、こんな素晴らし話術を持ってる人って稀有な存在なのかも? 実際話で盛り上げたりウケたりとかって難しいのかもなぁ…うちの野林さんとか見てると容易くやってるように見えますがw…あ、ここに挙げた人、みんなそこそこいいお年の方ばかりかもw ということは若い年代でそういう方向性がなくなってきている…のかも? この辺りも是非ご意見いただければと思います。


 ということで「SSWのみなさん、初めての方に覚えてもらうためにどんなことしてる?」でした。
 とにかく星の数ほどもいる表現者の中でたまたま訪れた新たな出逢いのチャンスにしっかりと記憶に残していただくための工夫は、やはり一筋縄では行かないかもしれませんし、またそれぞれの方法についても奥が深いと思います。
 またそれ以前に、どんな覚えられ方をしたいのかをちゃんと考えて自己プロデュース、ブランディングをすることが大切にもなるかと思いますから、考えることは本当に多いなとも思いますね。
 でもやればやっただけ経験値が上がって自分の中に引き出しが増えると思いますから、是非チャレンジしてみていただければと思いますし、「こんなことやってみたよ」なんていう事例も是非聞かせていただければと思います。
 ということで次回もお楽しみにどうぞ。

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