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Logo Mark歯を磨く様に演じる綺麗な姿勢を目指す

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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そろそろ春になってきたので黒いロングブーツを片付けようと思っていた。このブーツは本当に長い間お世話になっており、ヒールの底の部分を直してもらったり、皮の一部を補強したりして愛用してきた。最近は雨の日に防水スプレーをして気軽に履いてきたのだが、とうとうお別れの時が来た。
というのも、古くなってきたのと、このブーツを履くと何故だか腰が痛くなってくるのだ。雨の時歩くと言っても恐らく1kmも歩かないと思う。それなのに。
靴を裏返し踵の部分を見ると斜めに削れている。それも左右違って右足の削れが酷い。歩く時、力が外側にかかっている。どうもそれが原因の腰痛の様。でも靴のせいではなく、それは明らかに私の姿勢のせい。
バレエのレッスンでもよく注意された。脚の内側に力を入れてトウシューズで立つ様にと。でも、日常から内側に力を入れる事がないので、そうそう力が入らない。仕方がないので、内側を手で叩いて感覚を起こしてレッスンを続けていた。
舞台での姿勢は比較的綺麗だと言われるが、やっぱり気に入らないのが脚の運び。もっと品よくしたい。
役作りと言っても、綺麗なものは汚く出来るが、みっともない物は綺麗に出来ない。また、舞台に登場する汚れた物や人物でさえ、元々というか日常汚れた物者は出せない。これは私だけの持論ではないと思う。
話は変わって季節は春。街は花盛り。着る服もだんだん薄くなり、歩きも軽やかになっていく時期。
『パステル色に調和出来る様、颯爽と歩きたい。こんな気持ちから身体の調整に行って来ました〜!』
と軽く言えたら良かったのだが、残念ながらそうはいかなく問題はやっぱり姿勢。
昨シーズンは腕が痺れて鉛筆が上手く持てなく、姿勢調整センターに行った。今回は腰が痛くて寝返りがうてなくなったので、再度姿勢調整の救いを求めて行く事に。
勿論、原因は分かっている。寝る姿勢も悪いのだ。寒い時期になるとどうしてもカブトムシの幼虫のように縮こまって寝てしまう。それが積もり積もって春先発症する。
私の救世主は信頼している姿勢調整師、恭子先生。痛みを薬で止めるのではなく、身体の歪みを根本から治していく。
私の場合、骨盤の高さが左右違うし、お尻も数センチ下がっている。本当は2cm位上がっていないといけないそう。背骨のS字湾曲も上手く出来ていないしストレートネック。
痛みは骨のずれとそれによる筋緊張からくるのだそうだ。その上、四六時中緊張しているタイプなので、筋肉がほぐれる時がない。
その頑固親父的筋肉や骨ををパキッでもポキッでもなくゆっくり伸ばしつつ調整する恭ちゃん。
『(背骨)何番、ここズレてるねぇ。』
そういいながら骨使い、マジシャンの様に。
治療後はいつも不思議と正しい位置に力が入りやすい。自転車をこぐ時の視界も違う。
今回は特別に、
『ドクターXに出てくる米倉涼子の様に高いヒールを履いて綺麗に歩きたい』
と私の願望も言ってみた。
私の骨と筋肉を整えた後、治療室で恭子先生と私でウォーキングレッスン。膝をを曲げず、重心移動で歩く。なかなか難しい。
こんな事なら本気でヒールの高いパンプス、持ってくるんだった。練習出来たのに…。
ちなみに、
『高いヒールを履くとお尻が下がるので、履いた後は姿勢を直しておいてね』
だそうだ。

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鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
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