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Logo Mark歯を磨く様に演じる非日常という欲求

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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先日、宇都宮美術館で行われている企画展「コスチュームジュエリー 美の変革者たち」を観に行った。前々から楽しみにしていた催しで、私はキラキラ物で大きめのアクセサリーには目がない。身体のパーツががっしりしているので、目立つ物や大きめの物でないと身に付けると物足りなく感じるから、キラキラや大きめの目立つアクセサリーが好みなのだ。
さて、コスチュームジュエリー展のスタートは青い空間の中にポール・ポワレのタコをモチーフにした青い小さなクリスタルガラスで飾られたマスクとブレスレット『深海』がライトを浴びて一際目立つ様に飾られていた。
ポール・ポワレはファッションデザイナーで当時夜会を催しており、それを楽しむために作ったとの事。一夜限りのお衣装にしては、なんとも贅沢なジュエリーである。
彼はファッションデザイナーとして有名で、服に合うようにジュエリーを作っているのだが、その日常離れした彼の作品をまとったマダム達の集まった風景を想像するとワクワクした感情がいとも簡単に想像できる。
この展示はコスチュームジュエリーの研究家であり収集家である小瀧千佐子さんのコレクションの中の約400点である。という事はご自宅にはもっともっと沢山あるのだろう。羨ましい限りである。
また、この企画展では有料でヴェネツィアンビーズを使ったネックレスを作るワークショップも設けられており、思わず私も参加しようかと展示を見た後、思ってしまった。
ここでふと自問自答してみた。
「この作成するジュエリーが欲しいのか?」
勿論展示作品の様に豪華ではないが、お値段は別として、現在自分の持っているアクセサリーの方がワークショップで作るネックレスより派手で目立つ物があったりする。
「このネックレス自体が欲しいのではない。ヴェネツィアンビーズと触れる事。そしてこのコレクターの女性とワークショップの時間だけでも触れ合う事がしたいのだ。」
この非日常のトキメキが欲しいのだ。
この感覚と同類なのが私にとっての演劇を含めた舞台なのだ。非日常であり、ワクワクするもの。たまにやるからではなく、毎日公演してもやはり舞台の上は特別な物なのだ。
最近ふとなんでこんなに芝居という物を続けていられるのだろうと思った事がある。別にやめても世の中変わらないのにとも思う。しかしやめない。
昔は意地に近い感覚で続けている様な部分が往々にしてあった。今でもゼロではないが、それ以上に舞台にはヴェネツィアンビーズとの出会いみたいなトキメキがあるのだと思う。
この宇都宮美術館でのコスチュームジュエリーの展示を見た後こんな事を思ってしまった。
ポール・ポワレの仮装パーティー「千夜二夜」(1911年に催された豪奢な宴「千夜二夜」はアラブの説話集『千夜一夜物語』から想を得ている)の白黒写真も飾られていた。一夜のための衣装、物凄く豪華である。スルタン役のポワレや沢山の招待客全員が古代ペルシア風の衣装に身を包み、宴席を盛り上げたそうだ。やっぱり舞台だ。
私とポワレで比較するのは雲泥の差でポワレに申し訳ないのではあるが、こういった非日常を楽しみたいと思う欲求は、今も昔も変わらないのであろう。
そしてこれからもずっと。

高瀬美子&鵜飼雅子朗読公演『小枝をつたう毛虫のように』

10月14日(祝•月) 14:00時開演
場所:ティールーム パ・ド・ドゥ
   栃木県宇都宮市吉野2-3-15
料金:3,000円(ドリンク付)当日支払い

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