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Logo Mark連載記事

Logo Mark歯を磨く様に演じる綺麗な手先指先流れる身体

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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常々思っていた事だが、私は様々な動作が男っぽい。男役をやる事も多かったので、そうなったのかもしれないし、雑多の事に追われて身体の動きが雑になったのかもしれない。まだ前者なら良いのかもしれないが、なんとなく後者と私の性格の様な気がする。
先日、先輩アナウンサーと朗読公演の稽古をしていた。今回は会話劇の作品を芝居ではなく朗読で行う。それでもいくらか動きを入れた方が面白いので、数カ所パントマイムを入れる事にした。
まず、私の役である女2が珈琲とカップを持って入って来る。そして相手に珈琲を注いであげる。それから話が進んでいくのだが、冒頭のそのパントマイムがスマートではない気がするのだ。
パントマイムの先生に見本をやってもらうと何気なくやっている様に見えるのだが流れる様に美しい。パントマイムの神様、マルセル・マルソーに教わったからか、とてもエレガントなのだ。このエレガントさにも厳しい方だった様だ。
まず私のと違うのが、指先。カップを持った指が綺麗なのだ。
カップを3本の指でつかみ、使われていない指もすらりと嫌味ない程度に綺麗に伸びている。おそらくこういうつかみ方は日常はしないだろう。でも舞台でのこういう仕草に自然と目が奪われる。
そういえば以前先生が言っていた。
『電車に乗っている時でも、何か移動している時でも指をパラパラとなめらかに動かす練習をしてください。』
言われた時はやっていたのだが、そのうちにやらなくなってしまった。こういう積み重ねがいろいろな所で生きてくるものなのだ。
それにしてもこんなに指先の違いや、動作のなめらかさだけでも見た目の印象がガラリと変わってしまう。
いきなりパントマイムをやろうとすると肩が上がったり、変なところに力が入ってぎこちなくなり、こなれていない様に見える。
私は森の中にあるお店の店主で、珈琲を運んだり紅茶を運んだりキノコを触ったりする。その行動は登場人物にとっていつもの事で、その度に力が入ったりしない。自然に流れる様に動かねば、また、動かさねばいけないのだ。
そして忘れがちなのが、例えば、珈琲ポットを使った後ちゃんと置き、手を物から離すこと。物がないのでなんとなくそのままにしてしまいがちだが、丁寧に置き手から離す事も必要だ。
あとパントマイム特有の見せ方もある。例えばお盆を運んでくる時なのだが、教えてもらった動きはお盆を肩の高さで持っていき、そこからテーブルに移動させる。通常はそんな高さではお盆は持ってこない。これはある種のパントマイムならではの手法であって、その様にした方が綺麗に見えたりフォーカスされたりする。そしてそのお盆の上の料理に載っているドーム型の蓋をすらっと伸びた綺麗な指先で摘み、取りさるわけだが、この取り方もなんていうか、バレエのようなエレガントな動きである。そして通常ならばそのドーム型の蓋を置くわけだが、この場合は蓋は消えていいそうだ。置く動作をすると、それをまた何かに使うなど、変な想像をさせてしまうかららしい。置くより出したものに集中させる為に置く動作をしなくていいそうだ。なんとも奥が深い。
またキノコを摘むシーンも、これも勿論マイムでやるのだが通常はおそらくキノコは軽いので片手で掴むだろう。しかし、キノコは見えないので、自分の目の前、そして両手を使ってやったほうがいい様だ。確かにやってみると動作が面白くそこに目がいく。
そしてマイムの動作にやっている人の年齢や性格などが加わってくるとバリエーションが広がる。例えば年齢が少々高く老眼だったりと…。
道具を作らなくていいと芝居に手軽に取り入れる事も多いパントマイムだが、見せられる物にするには、なかなか高度な物だとつくづく思う。

クリスマス公演2024『クリスマス・キャロル』

12月15日(日) 14:00時開演
場所:アトリエほんまる
   栃木県宇都宮市本丸町1-39
料金:前売り3,000円 当日3,500円

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