2024/10/27
10月23日シニア対象の発声講座と公演があった。コロナ禍以前はシニア対象の講座の依頼を結構頂いていたが、コロナ禍で残念にもほぼなくなってしまった。
声を仕事としている私としては少々肩身の狭い時代があっての久しぶりのシニアさんとの講座である。参加者は約50名。私の方も以前やっていた頃からだいぶ離れていたので、参加者との距離感はどうかなと思いながら皆さんが入って来るのをなんとなく眺めながら最初のつかみを探っていた。
以前は始まる前から賑やかな会場も多く、
「朝からこれだけ声を出しているので皆さん今日の発声講座も大丈夫そうですね。」
が決まり文句になっていたが、やはり以前と比べると少々静かである。という事はその文句は使えない訳で、自己紹介をしつつ呼吸についての健康の話から入り発声する体の準備に進んだ。
表情なども控えめな日本人。そして大きな声を出すのがあまり好まれない環境を経ているので、顔の筋肉が固まって頬を摘むと痛いと感じる方も以外にいるかもしれない。
顔や肩、首周りなどをほぐしていざ声出しに入っていく。とは言っても子供の頃から日本語を話しはするが、日本語の口の開き方など学校で習った記憶は皆さんもおそらくないと思うし声の出し方も同様だ。
以前シニアではなく大人の発声の講座に参加していた方が何かの司会をする事があり、大きな声で言っていたら声が枯れてしまい、医者にかかったら声を出さない様に言われたそうだ。喉を締めて声を出す出し方が習慣になっているのが原因だ。
10代20代の若者ならまだその様な喉を痛めてしまう発声もある程度なんとかなるが、それでも若者のアマチュア劇団の公演を裏で聞いていたら、2ステージ目には、最初のステージでかなり叫んでいた男性の声が擦れてハスキーボイスになっていた事がある。
この様になってはいけないと、お腹から出てくる息を楽に出せる感覚を確認しながら、どならなくても物事の距離や思いや視線で届いたり、伸びていく声出しを実践しながら、最後に私の行う朗読舞台の作品宮沢賢治『どんぐりと山猫』の最初をキャラクター分けして私と参加者で音読していった。
そこまで約1時間。一般の方で1時間声を出している環境などほぼないだろう。その上口を大きく開けて発声してくださいと言っていたので、相当顔や喉の周りが疲れたのではないかと思う。
それでも休憩の時間になると多くの参加者が図書館の方が準備して並べてくれていた齋藤孝さんの発声の本や、『どんぐりと山猫』の絵本を関心を持って手にとっていた。
休憩の後は『どんぐりと山猫』のいよいよ見せ場の朗読舞台。もうこの作品も初演から考えると10年位は経っているだろう。少々疲れた台本には音のきっかけや音の種類が書かれている。台詞やナレーションを語りながらなおかつ皆さんの顔を見ながら演じるので、音の調節を忘れないように、公演期間があいても思い出せるよう記入してあるのだ。
それは良いのだが、なんせ10年も経つと悲しいかな私も以前見えていた文字が見えなくなっている。
この作品に関しては有り難い事に何十回と演じていたので、少し見ればすぐにその先の台詞が出てくる。
時間の流れを悲しくも実感すると共に、人間の無意識のうちに台詞を覚えている記憶力に助けられたのだ。
講座が終了してあっという間に会場の人々がいなくなるという事もあるが、こちらの参加者は生き生きと幾つになってもいろいろな事に興味を持っている方が多く、朗読に関する質問や、私の使っていた音響機材のサンプリングパッドを触るべく周りに集まって来てくれて、私も何気ない会話を楽しむ事が出来た講座&公演だった。
12月15日(日) 14:00時開演
場所:アトリエほんまる
栃木県宇都宮市本丸町1-39
料金:前売り3,000円 当日3,500円
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