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Logo Mark歯を磨く様に演じる空間を表現すること

鵜飼雅子

舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
日本演劇教育のさきがけ的な存在である劇団らくりん座の正式団員として全国各地で公演を経験。
朗読や表現、コミュニケーショ...

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先日、クリスマス公演「クリスマス・キャロル」の新聞記事用の取材があった。
今年は素敵なヴァイオリニストさんを迎えての公演で、お初にご一緒させて頂く渡邊響子さんと一緒に取材を受けた。
クリスマス時期、音楽関係の売れっ子さんはとてつもなく忙しい。この方も勿論そうで、公演当日はその日の朝、前日演奏されていた所から宇都宮に戻り会場入りをしてくれるそうで、大忙しなのだ。
さて、取材でいろいろ話をした後で、記者の方がなかなか聞けないヴァイオリンのお値段を質問したので、記事の取材とは別にヴァイオリンに関する雑談で盛り上がった。
「3ケタですか? 4ケタですか?」
と問う記者に対し細かく答えはしないが、プロが使うバイオリンのお値段だから何となく予想はついていたものの、かなり高額のようだ。
記者さんの子供の時のヴァイオリンを習っている友人は500万のヴァイオリンを持ってきたそうで、子供のヴァイオリンでさえも驚きの価格だ。
忘れていたが、ヴァイオリンには弓も必要で、
「高いものになると4ケタですね」
と笑顔で話す響子さん。
ヴァイオリンの値段の話で頭の中に自分の預金通帳を開いて、瞬時に預金の引き出しをした私だが、弓の値段が加わった時にはもう開きも出来なかった。
一方私のほうだが、今回のクリスマス公演だけではなく、最近はもっぱら舞台セットは簡略化しているので、実際にその舞台を物理的に作る際にはお金はあまり必要としない。そしていろいろなものを表現すべくパントマイムを使っている。だから習得する為の料金だけはかかるがヴァイオリンに比べたら微々たるものだ。
パントマイムもどきとしては最近からではなく、ずっと昔から私も芝居の随所で使ってきたし、巷の劇団も使っている。
しかし、最近わかったのが、芝居の中でのパントマイムというものは、もともと自分達がやってきたものでは宜しくないのである。
というのは自分が依然やっていたものや、往々にしてやられている劇中のパントマイムはちゃんと大道具があって成り立つものであり、最近よくある大道具、小道具がなくて行われているものでは成り立たないのである。
特に今回の私の作品は、象徴化された道具であり、見立てに利用できるようなものが舞台上にあり、風景や建物などまったく無いのだ。
無いからこそ、その風景や雰囲気も含めてマイムで表現しなくてはいけない。
例えば街が変わっていったり、そこがどの状況であったり、そこに置かれているものが何であったりと表現するものは様々。
やっている本人にとってはもうわかりきった場所であり、状況なのだが、観客にとってはそうではない。台本も何もないのだから。
その為、やっている側にとっては、ちょっとくどかったり、くさい演技となっていても、周りのものが省略されているので、そこを補わなければならないので良かったりする。
当たり前といえば当たり前だが、マイムの先生に教えてもらった私にとっては目から鱗なのであった。
そう気づいてからは、あそこもこうした方がわかるのではないかと動画にとっては見て、
「う~ん。このタイミングはどうかなぁ。やっぱりこの動きを台詞の最後にかぶせたほうがよく伝わるんじゃないかなぁ。」
と微妙なところまで気になるようになった。
こうして蟻地獄のようにどんどん表現することの深みにはまっていく。これは本当にとても疲れることなのだ。
しかし、これが自分にとって夢中になれる面白いところなのではないかといまさらにして思う。

クリスマス公演2024『クリスマス・キャロル』

12月15日(日) 14:00時開演
場所:アトリエほんまる
   栃木県宇都宮市本丸町1-39
料金:前売り3,000円 当日3,500円

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舞台役者、朗読家、アトリエほんまる 副支配人。
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